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2020.05.30

雨漏りの路を考える ⑤『天敵探しの雨漏り試験』

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援ご協力いただきまして、ありがとうございます。

前回までの
『風の性質』と『雨の性質』のお話はご理解いただけましたでしょうか。
今日は実際に、その考えを踏襲した試験方法での「雨漏り調査」のお話をします。

前回と同様にチョッと横道にそれます。
お世話になった人の命日がコロナ禍の真っ只中でしたので、自粛解除後に南御堂さんへお参りに行きました。
南御堂さんの御堂筋側には東急大阪エクセルホテルが新築されスッカリ模様替えをしていました。


南御堂正面と東急ホテル


御堂さんの横手のお庭には、松尾芭蕉の辞世の句とされている句碑「
旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」があります。
そこで手を合わせ、少し安らぎを得た一日でした。

 
松尾芭蕉の辞世の句碑


さて、本題に入ります。
この建物は417日にお電話のあったお施主様のお宅です。


天敵探しの雨漏り試験


お施主様は我が社の金庫番、専務の趣味である「陶芸」仲間の方で、
木造3階建、モルタル壁、化粧スレート葺き屋根のお家です。

数年前、外装リフォームをされた後雨漏りがして、工事業者を変えて何社か調査してもらったが、
直らないので当社へ依頼がきた訳です。
前回の業者が補修したという箇所を調べて作業開始です。

室内側の調査の後、2階の天井裏から対角線上にある押入れより「内視鏡」を差し込んで濡れている箇所を観察。
外部では更に細かくモルタル壁面のひび割れ箇所を探します。
そして「天敵探しの雨漏り試験」で細かく丁寧に調査をしていきます。


内視鏡による天井裏調査



天敵探しの雨漏り試験


この試験方法では人工的速さは無く、重力に関係する落ちる力だけに変換されています。
この雨水が壁面のクラック、シーリングのピンホール、サッシのパッキン劣化箇所等を見つけて進入するのです。
やがて雨シミとなり目(視覚)、雨音(聴覚)に訴えて「雨漏り」となります。


試験で水漏れを確認


こうして静かに『風の性質』と『雨の性質』の考えを応用した「いまじん」横田さんの『天敵探しの雨漏り試験』は進められます。
ジャージャー騒がしいシャワーによるものや「色つき」の水や「赤外線サーモカメラ」は使用しません。

雨漏り箇所を確認し、専門であるシーリング工事を行い、この日の作業を完結して頂きます。
更に詳しい調査や補修は、安全を考えて足場が必要となります。
必要であれば赤外線サーモカメラ等の機器も使用しますが、今回の現場では必要ありませんでした。


シーリング補修


壁の雨漏りについて、少しはご理解いただけたでしょうか。


そして芭蕉の終焉の地ですが、、、

【芭蕉は、元禄7929日夜から下痢を発病し、病床に就く。
105日に、之道(
しどう)亭が手狭だったため南久太郎町御堂前の花屋仁右衛門宅離れ座敷に移った。
そして108日深更、呑舟に墨を摺らせてこれを作句した。】

それから12日まで生きたようで辞世では無いとのとの議論もあります。
と言う訳で、芭蕉の終焉場所は南御堂前の御堂筋を渡った並木の中にありました。


松尾芭蕉終焉の地碑


少し長い話となりました。ありがとうございました。