2020.06.06
顧問の坪内です。いつも池本工務店の事業にご支援ご協力いただきまして、ありがとうございます。
前回の『天敵探しの雨漏り試験』の内容はご理解いただけたでしょうか。
実は「点滴」を「天敵」に掛けた文章にしていたのですが。
今日は私に「点滴」の知識が無かったおり、「株式会社いまじん」の横田さん(4/17のブログに登場)と
知り合いになる以前に、ストロー使用で同じような調査をした時のお話をします。
このお話は、私が以前勤めていた会社で、随分前に依頼された内容です。
建物はS市のもので屋根雨漏りの調査で呼ばれました。
建物は鉄筋コンクリート造2階建、モルタル壁、化粧スレート屋根です。
調査の結果、雨漏りの原因は「窓サッシ」からでした。
窓周りは何回も補修されていた
担当A氏からの依頼で現場に着きました。
建物は昭和60年頃の建築で、当初から雨漏りしていたようです。
歴代の担当者が何回も修理して直らない事件物です。
A氏は以前ゼネコンに勤務していたUターン組で、今回は自分の実力チェックで与えられた物件との事でした。
それを聞いた私は密かに、“これは何とかしなければ・・・・・・。”と心に火が灯ったのです。
通常屋根の雨漏りは図面を見て判断します。図面の無い時は頭の中で屋根伏図を作ります。
基本的に屋根材は、新築時には本体部分(一般部・地瓦部)から雨漏りする事はありません。
屋根材メーカーは、新製品開発時には本体部の試験を充分に行って雨漏りのしないことを確認して発売するからです。
(ただし経年変化によるホコリの進入は別ですが。)
そこで雨漏りする場所は「他の部位との取り合い箇所」から、となる訳です。こんなところから今回は始めます。
ホコリが教えてくれた雨漏りの路
③<室内調査>(表の青色楕円破線部分)
天井裏のシミの箇所を確認し、室内側壁部と天井のシミ部を調査します。
ここでは上部より落下した雨水が重力、毛細管現象、表面張力等の物理的性質で移動し、更に天井板に落下しています。
天井板に僅かな雨漏りのシミが確認されました
更に室内側から天井部分を確認すると、天井板表面に雨染みが残っています。
その上を見上げると「欄間窓:天窓」があります。
「分かりました。あの窓サッシですね。」
実のところ私は最初屋根に上り、窓周りを調査した時から分かっていたのです。
「こんな単純な水平部の取り合いで新築時から雨漏りする筈はない。」と。
この雨押役物の取り合い納まりは私のアイデア・・・・・・。
「窓周りは過去に何回も調べた筈なのにね。」とA氏は話をされ、次に梯子を掛けて窓サッシ部分を調査します。
この天窓が怪しいと確信
後は、窓サッシの加工補修方法を指示するだけでした。
こうして静かに「窓サッシの雨漏り調査」は終わりました。
何故静かに・・・・・・、実はこの時、部屋は休息室で、子供たちの昼寝時間と重なっていた訳です。
今回はホコリの路から目視で雨漏り箇所を発見したのです。
ホコリを水道シャワーで消さなくて解決したお話です。
「雨漏りの路を考える」も段々と面白くなってきましたね。何?そうでもない。もう少し頑張ります。
因みにこのA氏からは以後、幾度かの雨漏り調査依頼があり、屋根伏図を送っていただいてアドバイスをして解決しました。
営業も大型物件の注文を何件か頂いたようです。
ホコリ観察の大切さについて、少しはご理解頂いたでしょうか。
今回も少し長い話となりました。ありがとう御座いました。
※ 追加として ※