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2020.07.04

雨漏りの路を考える その⑨『雨漏り調査試験』

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援ご協力いただきまして、ありがとうございます。



前回の注水試験は自然の摂理に適った根気の必要な作業の継続です。
一連の試験・作業内容を図に示したものが上図となります。

更にこの住宅では「屋根と壁との取り合い」、「壁と水切りとの取り合い」が怪しいと考え、
そちらの箇所も試験をして頂きました。

屋根と壁の取り合いでは普通、『屋根→雨』と考えるので屋根の部分を中心に考えがちですが、
今までお伝えしてきた『雨掛かり』のことを思い出せば、壁が重要と言うことがご理解いただけると思います。

     
 屋根と壁の取り合いの点検    壁の取り合いは金属役物の加工が大切
 

屋根材は「立て平」と呼ばれる金属屋根材です。
軽くて地震に有利、また施工技術が必要でなく自由なデザインが可能に見えますが、
実は雨漏りに関して金属は非常に繊細な材料です。

今は万能と思えるコーキングが発達し多用する為(またコーキングと金属材料の耐久性の違いの認識が無いことも手伝って)、
細部の加工の重要性を認識し難く、そんな中でも加工技術の伝承が重要なので、
ベテランの職人さんは若い人の教育に苦労をしています。



プライマー使用後、コーキングをする

壁との取り合いは、「八千代折り」と呼ばれる加工を施して仕舞います。
更にここでは、隅の箇所にコーキングをしてあります。

コーキングは手頃で安価なため、職人さんはよく「あかんとこはコーキングしときます」と安心させますが、
実はコーキング単独での接着性は低く(砂や埃が付着していればさらに弱い)、
先にプライマー(接着剤)を塗布していなければ耐久性が無く、早く剥離して雨水を進入させ易いものなのです。



雨押え板金と窯業系サイディングとの止まりの部分

ここでは窯業系サイディングとの取り合いにこんな箇所もありました。
「立て平」屋根との取り合いも気になるところですね。


プライマーが使用されていない窯業系サイディングの目地

別の現場でもプライマー施工が無く、シーリング切れを起こしていたところの雨漏り補修をしました。
もちろん横田さんに補修を依頼しました。


次に、オーバーハング水切り部の注水試験でも、土台水切りの位置に水漏れがしてきました。
建物は常に動いています。地震や台風の時は我々人間に直接(感じる範囲で)変形を伝えてきます。

建物は異種の材料の組み合わせです。
たとえば各々の材料(木材、鉄、アルミニウム、紙、ガラス、プラスチック等)は熱により伸び縮みします。
(夏場に鉄は伸びて、水分を吸収している材料・木材等は水分を排出して縮みます)


そこで異種の材料が接している箇所(取り合い部分)は何らかの手立てが必要になります。
この建物の外部に使用されている材料で、セメント系モルタル、窯業系サイディングは夏に縮み、
金属系立て平(鉄)・窓・手摺笠木(アルミサッシ)は夏に伸びるのです。
そこで雨漏りを防止するには、取り合いの箇所(接合部)が重要になる訳です。


オーバーハング水切り部の注水試験

埃に弱いコーキングの登場です。
セメメント材料とコーキング、金属材料とコーキングの接点には、
埃に強いプライマーを使用することで長期の防水性を保つことが出来るのです。
もちろん横田さんはコーキング工事のプロなので安心です。


オーバーハング部のプライマーを施したシーリング工事

オーバーハング部の下部ベランダの床に、怪しい水汚れ跡が確認されました。
これは、以前より通気層を通して雨水を落としていた跡のようです。

早速、オーバーハング部にコーキングを施しました。
またこの写真では、もう一ヶ所危険な所があります。お気付きでしょうか。
そうです、赤色楕円部のドアサッシと水切りの接合部・入隅水切りと窯業系サイディング角部です。
この写真では、たまたま危険な個所が重なっているのです。またまたコーキングプロの登場です。




12階オーバーハング部、屋根・壁の壁当たり部等、雨漏りしそうな箇所全ての注水試験を行いました。

これで当面は雨漏りの危険を回避することが出来ました。
頼りになる横田さんと、忠実な社員さんがいるので安心して仕事を任せられる訳です。


自然の摂理に忠実に、重力の導きでホコリの路から「雨漏りの路」を調査出来ても、補修施工を行うのは人間です。
結局信頼できる「職人」さんを確保(育てる)することが、建築の重要なポイントになるのです。

今回で、ひとまず「雨漏りの路を考える」を終えます。
わたしの得意な『屋根部位』はもう少ししてお話します。

次回からは、『結露』に関わる「熱と水」について考えてみたいと思います。

今回は仕上げということでとても長くなりました。
お付き合いいただき、ありがとうございました。