2020.10.17
顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援ご協力いただきまして、ありがとうございます。
先週は、わが社の池本社長が太陽と地球と住宅の熱にどのように関わっているかと、
「水分子の三様態」の概念のお話をしました。
今回からは私の得意とする、屋根を絡めた熱と水のお話をします。
少しマニアックになりますけど辛抱して読んでください。
今回からは屋根の雪模様を観察して頂く為に、写真を大きくしています。
友芽ちゃんの通園路
私には現在、孫が5人おります。
娘の2番目の子で長女は『友芽ちゃん』といって、現在は小学校2年生です。
今は同じ道を3番目の『実久ちゃん』も通っています。
2018年2月10日、友芽ちゃんを幼稚園に連れて行く朝は雪の日でした。
降雪した屋根は、人が住んでいる様子を観察するには絶好の風景です。
帰り道にはスマホを構えて、色々な屋根の写真を収めました。
以下、融けた屋根の雪模様を見ながら、建物の構造や住まい方を解説します。
赤い線は、近鉄奈良線の踏切を渡って北へ進み、幼稚園に到着する道筋です。
その間、色々な屋根を観察します。
その帰りに①~⑨の屋根を観察撮影しました。
更に2月18日には、同じ屋根で雪の無い状態を観察撮影しました。
通常の屋根の状態
1. ① 現場はカラーベスト屋根の積雪模様
住まう人が熱を発生させます。また水蒸気を発生させます。
この2つが結露の発生に影響します。
更に、冬季は暖房の為にストーブや炬燵、エアコン、床暖房を使用します。
一方、水蒸気の発生は人間の気付かない間に行われています。
風邪対策と称して加湿器を使用します。
洗濯物を室内で干します。
朝・昼・晩の食事の支度、夕方のバスタイム等、様々な活動で水蒸気を発生させます。
人間は就寝時にコップ2~3杯分の水蒸気を発生させていると言われています。
通常の屋根の状態
ここでは熱を中心に考えますが、最初に乾いた状態の屋根を観察します。
この建物は切妻屋根連棟式のアパートで、屋根材はカラーベストコロニアルと呼ばれるものです。
①屋根の勾配は5寸です。
平板の屋根材を半分ずらしで施工してあります。
②その為、一段置きにジョイント(接合部)が現れます。
③このジョイントは、屋根材の横幅寸法910mmの半分の455mm間隔で現れます。
④このジョイントに雨水が浸入しながら、下へ下へと排出されていきます。
⑤この建物の前面は学校・幼稚園の校庭です。
砂ボコリを中心に、雨水の中のホコリが屋根の表面やジョイントの隙間に残り、水路を作ります。
⑥この水路が縦に白く残っているのは砂ボコリのせいだと思われます。
この跡は、屋根下地の構造とは関係有りません。
更に、屋根材の上に横線上に白いホコリが確認されます。これは何故でしょう。
①この白いホコリの横線はカラーベスト屋根材の5段毎に現れています。
②屋根材の下には防水シートとして、通常はアスファルトルーフィング940が施工してあります。
③このアスファルトルーフィングは1m(1,000mm)幅で100mm重ねます。
実質の有効幅は900mmとなり、カラーベスト屋根材の5枚分とほぼ同じ寸法になります。
④この防水シートの重なりが、屋根材を少し持ち上げます。
⑤均等に流れる雨水の流れの中に、勾配の緩い箇所があれば必然的にホコリが堆積します。
⑤このホコリの堆積した位置が5段毎に現れていることが確認できるのです。
⑥防水シートの重ね位置が微妙にカラーベストの勾配に変化を与えている訳です。
降雪時の屋根の状態
次に、雪が堆積して、一部が融けている屋根を観察します。
下記6つの現象を確認しましょう。
①人の有無が分かります。
・人が在住していれば熱を発生します。
・小屋裏の断熱性が悪ければ熱は野地板に移動し、屋根材上の雪を溶かします。
・両側の屋根の雪は融けが悪く、中ほどの屋根の雪は良く融けているのが観察されます。
・ひょっとして両側の部屋に今日は人が居ないのか、空き部屋なのかと想像できます。
②下地の構造が分かります。
・下地の構造により断熱性能が変わります。
・室内側から移動する熱の量にも変化が見られ、屋根上に堆積した雪の融け方に変化が見られます。
③垂木(タルキ)の位置が分かります。
・屋根材の下には防水シートがあり、野地板がありそれを支える「垂木」があります。
・通常垂木は500・455・450・360mm等の間隔で施工されます。
・ここでは垂木が断熱材の効果を発揮し、室内から小屋裏に移動した熱をカットする役目をしています。
・従って垂木の位置は雪が融けない状態で屋根の上に残っています。
④このアパートは北側廊下で、室内の境界と北側廊下では雪の融け方が異なります。
・廊下は外気に晒されている建物です。
・従って廊下の天井も冷やされ、その上にある屋根材も温められないので、
屋根の下1/3程度のエリアは雪が融けにくくなっているのです。
⑤界壁の位置が分かります。
・通常、アパートは防火上自室が火事になっても隣室に炎が移らないように、
隣との間を天井から小屋裏・屋根まで分離するように「界壁」と呼ばれる防火壁を設置するように
義務付けられています。
・このように界壁のある箇所で隣室との熱移動も行われなく、
屋根表面にも熱の分布が明確に現れるのです。
・従って、一般的には小屋裏の換気が悪く結露を発生し易くなるので、
換気計画に気をつける必要があります。
⑥下地防水シートの位置が分かります。
・前述したように、屋根材の下にはアスファルトルーフィングと呼ばれる防水シートがあります。
・このアスファルトルーフィングは1m(1,000mm)幅で100mm重ねます。
・実質の有効幅は900mmとなり、重なった部分には空気層が出来ます。
・アスファルトルーフィングの重なりと空気層は断熱性能をアップし、
室内、小屋裏からの熱移動を妨げます。
・この白い箇所は、カラーベスト屋根材の5枚分とほぼ同じ寸法900mmとなります。
・従って、屋根材5枚毎に雪が融けにくい箇所が現れ、雪の堆積が確認されます。
今回の説明と写真の確認で、熱の移動がご理解いただけましたでしょうか。
雪は上空で雨が冷やされてでき、液体が固体化したものです。
霜は屋根の表面が冷やされ水蒸気が固体化したものです。
よって霜の方がより鮮明に下地の状態が認識されます。
霜についてはもう少し先に、降霜した屋根の写真が多くあるので、別で説明します。
今回は雪についてですので、次回も②から先の、もう少し色々な屋根の雪模様を見ていきましょう。
どうもありがとうございました。