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2020.11.21

熱の移動と水分子を考える その⑬『屋根の雪景色と熱と水蒸気移動4』換気棟の効果

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援・ご協力いただきまして、ありがとうございます。


今回もお家に帰りながら、カラーベスト屋根材を使用したアパート屋根の観察をします。

また今回は、前回や前々回よりも、屋根に載っている雪の量が多い(断熱材が効いていて融けていない?)ので、
より鮮明に人の有無が観察され、更に水平棟位置の雪がよく融けているので、換気棟の効果も確認出来るものです。


⑥カラーベスト屋根の積雪模様

住まう人が熱を発します。
水蒸気を発します。
この2つが結露の発生に影響します。

ここでは熱を考えます。

人が住んでいれば熱が発生します。


通常の屋根の状態

この建物は、通園路沿いに駐車場がある、一戸と二戸の連棟式切妻屋根のアパートです。
雪の無い時の各々の屋根にはあまり変化がありません。


降雪時の屋根の状態

雪が堆積して、一部が融けている屋根を観察します。


①人の有無が分かります。

・小屋裏の断熱性が悪ければ熱は野地板に移動し、屋根材上の雪を融かします。
・このアパートは小屋裏の断熱材が効いているのか、全体的に雪は融けていません。
・左側に2戸と右側に4戸の住宅があり、右側の4戸の住宅の屋根の左に積もった雪がよく融けています。
・右の屋根の雪は融けが悪く、ベランダの様子や窓の開閉具合はほぼ同じなので、
 2階3軒の暖房の使用頻度に差があることが分かります。
・中ほどの屋根の雪は良く融けているのが観察されます。


②下地の構造が分かります。

・下地の構造により断熱性能が変わります。
・室内側から移動する量にも変化が見られ、屋根上に堆積した雪の融け方に変化が見られます。


③タルキの位置

・屋根材の下には防水シートがあり、野地板がありそれを支える「タルキ」があります。
・通常タルキは500455450360mm等の間隔で施工されます。
・ここではタルキが断熱材の効果を発し、室内から小屋裏に移動した熱をカットする役目をしています。
・従ってタルキの位置は雪が融けない状態で、屋根の上に残っています。


④界壁の位置

・通常アパートは防火上、自室が火事になっても隣室に燃え移らないように、
 隣との間を天井から小屋裏・屋根まで分離するように「界壁」と呼ばれる防火壁を設置するよう義務付けられています。
・このように界壁のある箇所で隣室との熱移動も妨げられて、屋根表面にも熱の分布が明確に現れるのです。
・ここでは右側の4戸の住居の屋根の真ん中の位置に界壁があるので、雪が融けずに残っています。


人が住まい熱と水蒸気を発生すると、住宅の壁体内や小屋裏で結露することが知られています。
それを防ぐには換気をすることです。換気については得意の分野なので、もう少し先に詳しくご説明します。


⑤換気棟(カンキムネ)

・棟部分の雪が融けています。
・先ほども説明したように、前回の説明の波形屋根材のアパートと比較して雪解けが少ないのは、
 断熱材がきちんと効いているということでしょう。
・さらに換気棟からも水蒸気を排出しているものと考えられ、結露の可能性は低いと思われます。


⑦カラーベスト屋根の積雪模様

住まう人が熱を発します。
水蒸気を発します。
換気棟が有効に働いて結露の発生を防ぎます。


通学路から少し離れたアパート

屋根に雪がたくさんあり、通園路のからかなり離れた場所にあります。
棟部分の雪が良く溶けているアパートを見つけて
換気棟の効果を観察することにしました。


通常の屋根の状態

ここでは熱と水蒸気を考えます。
人が住んでいれば熱を発生します。
この建物は真ん中に階段のある2階が2戸の切妻屋根のアパートです。
雪の無い時の屋根にはあまり変化はありません。



降雪時の屋根の状態

①人の有無が分かります。
・小屋裏の断熱性が悪ければ熱は野地板に移動し、屋根材上の雪を融かします。
・左右それぞれに2戸の住宅があり、右の住宅の屋根の雪がよく融けています。
・ベランダの様子や窓の開閉具合はほぼ同じなので、2階にある2軒の暖房の使用頻度に差がある事が分かります。

②下地の構造が分かります
・下地の構造により断熱性能が変わります。
・室内側から移動する熱の量にも変化が見られ、屋根上に堆積した雪の融け方に変化が見られます。

③タルキの位置
・屋根材の下には防水シートがあり、野地板がありそれを支える「タルキ」があります。
・通常タルキは500455450360mm等の間隔で施工されます。
・ここではタルキが断熱材の効果を発揮し、室内から小屋裏に移動した熱をカットする役目をしています。
・従ってタルキの位置は雪が融けない状態で屋根の上に残っています。



④界壁の位置
・通常、アパートは防火上、自室が火事になっても隣室に燃え移らないように、隣との間を天井から小屋裏・屋根まで分離するように、
 「界壁」と呼ばれる防火壁を設置するよう義務付けられています。
・このように界壁のある箇所で隣室との熱移動も妨げられて、屋根表面にも熱の分布が明確に現れるのです。
・ここでは2戸の住居の屋根の真ん中の階段位置に界壁があるので、雪の融け具合が左右の住宅で異なるのが分かります。


⑤換気棟の有無

・この写真で特徴のあるのは各々の屋根に設置してある換気棟です。
・換気棟の設置してある位置の雪が融けているのが確認されます。
・これは熱と同時に水蒸気も排出しているのが分かり、この建物では結露が発生し難いのが分かります。


棟に換気が付き、その廻りの雪がよく融けているカラーベスト系屋根材の建物を観察しました。
建物の中での熱の移動がよくわかる写真でしたね。
これで、今年の冬は屋根の雪を観察する人が増えれば嬉しいのですが。


次回は陶器系の瓦の観察をします。どうもありがとうございました。