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2021.01.16

熱の移動と水分子を考える その⑱『窓下の熱と水蒸気移動4』インプラス窓の提案

顧問の坪内です。

いつも池本工務店の事業にご支援・ご協力いただきまして、ありがとうございます。


『洗面所の壁にカビが生えました。何故なんだろう?』の続きです。
前回は窓全体のサーモ写真を詳しくお話しましたので、今日からそろそろ本番に入ります。

これから「インプラス窓」の説明に入ります。
同時に室内換気の重要性も認識・実践することが肝要です。

冬の結露はどのようにして発生するのかな?
冬期の結露には、「
表面結露と壁体内結露」があります。
表面結露は断熱()の無い住宅の室内側壁のクロス表面やガラス窓によく発生し、
壁体内結露は断熱材が施工され内壁に防湿層(ベーパバリア)の無い外壁近くで発生するのが一般的です。
後半にもう少し詳しく説明します。

いずれも室内側の水蒸気が原因です。

外冷気で冷やされ露点温度以下になっている箇所での発生となります。
下記は冬季の窓ガラスに結露した写真です。


窓ガラスの結露写真

さて今回の洗面所結露は
表面結露と言われているものです。
当然、窓での結露も発生していましたが、お施主様は内壁でのカビが気になったのです。

ひょっとして、今カビの発生しているクロス裏側の石膏ボードでも結露が発生しているかも知れません。

1 .インプラス窓の断熱性

断熱性をアップさせるには動かない空気層を作ることです。
インプラス窓で出来た空気層は動かぬ空気の隙間が熱の伝達(対流)を防いでくれて、断熱性を高めることになります。

インプラス窓はこの考え方の応用で断熱性能を確保しています。
ただ、インプラス窓も空気層が厚くなると対流が生まれ、
断熱性能の期待を裏切ることになります。

一方で、既存窓での結露は
室内側の要らない水蒸気の除湿と考えるのが懸命です。
ところが一般的にガラスに結露すると
寒い冬は毎日のことになります。
拭いても拭いても水は付きます。

『嫌になります』


インプラス窓の説明図

上写真はリクシルさんのカタログに掲載されている写真です。
左側窓には前の写真のように異常な量の結露水がガラス付いています。
もしこの部屋で右窓のようにインプラス窓を取り付けて結露が解消したと考えて見ましょう。
さて部屋が暖かくなって室内で飽和水蒸気量が増加したとします。
水蒸気の圧力も高くなった水蒸気はどこに移動するのでしょう。

そうです。
今度は防湿機能の無い箇所 (圧力の逃げる箇所) から進入し、
見えない冷たい箇所での結露やカビの発生を促進するのです。

即ち、箪笥の裏や、押し入れの中、内壁と外壁の間(壁体内)等に移動するのです。
これが「表面結露」より怖い『壁体内結露』の発生となるのです。

実際にマンションのインプラス窓改修後や複層ガラスリフォーム後に壁紙の剥離、箪笥裏や押入れの壁での結露被害を良く聞きます。

 インプラス窓の設置後は水蒸気発生の抑制は勿論の事、
室内換気のシュミレーションをイメージした換気計画指導が重要です。
ぜひ実践したいものです。

2. 結露発生のメカニズム

もう一度「イメージ図」で復習します。冬の住宅結露には数種類のパターンがあります。

一般的に住まう人が気づくのは「表面結露」です。
カビが発生し壁紙が剥がれるので直ぐに目に付くので気になります。

気付かないうちに進行するのが『壁体内結露や小屋裏結露』です。
徐々に進行して、建物を腐朽させたり、錆びさせたりします。
結露は季節や水蒸気の滞留状態により、発生メカニズムが変わりますし、住まい方によっても異なります。

季節や発生部位により、寒冷地(冬期)型結露と暖地型(日中)結露があります。
当該現場で考えられるのは下記の2種類で、特に 1)寒冷地 Ⅰ 型結露の変形と考えられます。

寒冷地 Ⅰ 型結露 

寒い日に室内側内壁表面で発生します(表面結露)。
 ・水蒸気量が多く、内壁表面が露点温度に達している場合
 ・通常、冬期に窓部で発生する場合と同じです

①外壁が冷気や放射冷却で冷やさます
 ・冷気が熱橋部分から伝達されます(パネル構造の桟部分)
 ・柱や間柱を通じて冷やされます。
②生活している時に水蒸気が部屋の中で拡散されます
③露点温度に達したクロス表面で結露します
 ・水蒸気は非常に小さな水の分子なので、防湿層がない場合は水蒸気が壁体内に侵入します。
 ・露点温度以下の箇所があれば結露します)
④外気の低温度は クロス表面 → 石膏ボード表面 → 内壁合板表面 → 合板と桟の接点と「熱伝導」で逆に進んで冷たくなってきます。
 ・露点温度は変化します。
⑤単層ガラス窓があれば、ガラス面やアルミサッシュ面から冷気が下降し(コールドドラフト現象)
 ・床面や腰壁を冷やし、露点温度となり結露やカビの発生を促します。


表面結露の説明図


2
)寒冷地 Ⅱ 型結露 

寒い日に壁体内の外合板外側で発生します。
 ・モルタル施工の場合は金属製ラス網を固定するステップルで結露します。

①冬期に室内で発生した水蒸気は防湿層(ベーパバリア)が無いので壁体内に侵入します。
②外壁モルタルが冷気や放射冷却で冷やされます
③壁体内に侵入した水蒸気は木材各所に吸収されながら外側合板の冷所(ステップル等)で結露します
④結露すると壁体内の水蒸気圧が低くなり、

⑤他所から水蒸気が侵入して更に結露して、結露が結露を呼びます。
⑥同時に湿度が高くなりカビの発生条件が整った状態となります。


壁体内結露の説明図

下記写真は壁体内結露でモルタル固定用のラス金網を固定する金属ステップルで結露したものです。
①クロスが剥がれるので
 ・クロスを捲り石膏ボードを撤去した。
②更に断熱材のグラスウールを撤去した。

・ステップルが濡れているので雨漏りと思った。
③外壁セメントモルタルを調査したが不具合は無かった。


壁体内結露の写真

④ステップルからの水はかなりの量垂れていた。