2021.04.17
顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援・ご協力いただきまして、ありがとうございます。
前回は京都北部あった「亜鉛メッキ鉄板製の錆びた屋根」の『農家屋』の鉄板屋根の錆び具合についてのお話をスタートしました。
今回からはその現象を検証したいと思います。
小さな盆地の西北部に位置しています
前回掲載した青色四角で囲ったグーグル写真です。
更に赤色四角で囲ったのが下の写真です。
赤い丸印の位置が蕎麦屋「まつばら」です。
「まつばら」と農家屋の位置
赤色楕円部が興味ある「錆びた屋根の農家屋」です。
「トタン板」の屋根が錆びるのはトタン板が鉄だからです。
トタンは、亜鉛メッキ鋼板のうち、主に建築資材として使われているものの俗称です。
亜鉛メッキ鋼板は安価で耐食性に優れており、主に建材や家電製品などに利用されています。
少し前はバケツ、如雨露、塵取等の日用品の材料にも使われていましたが、今はほとんどがプラスチックに変わっています。 トタンの語源はポルトガル語の Tutanaga(亜鉛)と言われています。
鉄の精製は鉄鋼会社が高炉で鉄鉱石に高温のエネルギーを与え、鉄鉱石を炭素によって鉄(還元)に作り出すことです。鉄を自然に放置しておくと、水分や空気によって酸化や水酸化して、酸化鉄や水酸化鉄に復って行きます。つまり、錆は還元された鉄が酸化して安定な状態(元の鉄鉱石等の姿)に帰ろうとする過程に生じる結果と考えられています。そうです、鉄は錆びて安定していくのです。
2020年の蕎麦屋「まつばら」
さてストリートビューで蕎麦屋「まつばら」を探してみます。
なんと2008年に私が撮影した写真とほぼ変わらない外観です。
急いで車で蕎麦を食べに行きたい衝動にかられますがそれは無理です。
そこで更にグーグルを見ているとストリートビューに少し前の年代別の「錆びた屋根の農家屋」写真が載っています。
2008年の7月に私が撮影した写真と比較すると錆びの状態がかなり進んでいることが確認されます。
2013年10月の農家屋
前面の水田にはお米がたわわに実っています。
この撮影日は2013年10月で「晴れ」の様で屋根が全体的に濡れています。
推測すると霜か露の降りた日の午前中ように思えます。
2016年1月の農家屋
次に2016年1月の写真を観察します。
屋根を観察すると全体的に濡れていますが、
屋根の中半分部から下軒先部分の濡れが酷いように観察されます。
2019年6月の農家屋
前面の田圃に稲苗が植えられています。
2019年の6月の撮影です。
2階軒先の右側部が2箇所錆びて落ちています。
更に2階左側部のケラバ部分も錆びて落ちています。
2020年10月の農家屋
真をみると2013年10月の写真と良く似た濡れ方をしています。
屋根を観察すると全体的に濡れていますが、
屋根半部から軒先部分の濡れが酷いように観察されます。
2019年の写真と比較すると2階軒先の右側部が4箇所錆びて落ちています。
2階左側部ケラバ部分の錆び具合は同様に見えます。
上記写真の様に同じ場所に建っている建物でも屋根部に触れる水分量は異なります。
建物が永い時間水分に晒される条件としては屋上・屋根部の勾配が有ります。
通常雨は天から地上に垂直に落下してきます。
そして水平面で保たれた場合は水が蒸発して無くなるまで濡れています。
速やかに排水するには勾配が必要です。
陸屋根の場合は排水口の詰りにより、防水層破壊部分からの水漏れがあります。
又、勾配屋根は「勾配と流れ長さ」オーバによる、溜水の逆流による水漏れがあげられます。
図で説明すると下記のようになります。
雨水の流れと屋根勾配の関係
上記図は屋根の上に降る雨と流れの長さによる軒先部水量の多さ原理を表しています。
高さ 4 に対して水平長さが 10 の時この屋根は4寸勾配と表現します。
この時、屋根面の長さを「流れ長さ」と表現します。
この屋根の上に雨が降ります。
1. 屋根の最上の部分を棟と言います。
2. 屋根の低い部分を軒先と言います。
3. そこで棟部に落ちた雨水は屋根表面を流れて、最下の軒先部に到達します。
4. 更に②部に落ちた雨は同様に最下の軒先部に到達します。
5. 同様に③④⑤と順次に、軒先に流れますので軒先部分は必然と雨水が多くなります。
6. そこで排水を考えると、屋根の流れ長さにより軒先で大量に溜まった雨水を早く排出するためには勾配を急にする必要があります。
このように屋根に均一に雨が降れば、軒先部に雨水が滞留することが分かります。
実際には水量が増えると流速は増しますので、水の高さは低くなりますが。
ここではややこしくなるのでそのまま続けます。
屋根の流れ長さと勾配の関係 KMEWカタログより抜粋
上記表はKEMW社の屋根施工指導書の「勾配と流れの長さ」の基本を示したものです。
「勾配と雨水の流れ」について、
流れの長さが長い時は勾配を急にする必要がある関係はご理解頂いたでしょうか。
屋根勾配と雨漏りの原理については又の機会にお話しします。
次回は京都の気候を考えて、屋根面の雨水等による水濡れ回数等を考えたいと思います。