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2021.05.01

住宅の外部環境と小屋裏・内部環境を考える その⑤『農家小屋の錆びた屋根』

顧問の坪内です。

いつも池本工務店の事業にご支援・ご協力いただきまして、ありがとうございます。


先週は錆びの進行を助長するのは「雨」「雪」「霜」「露」で、京都気象台の過去201312月の結果、
「雨」の日は8
「霜」の日は6
「露」の日は2
「雪」の日は2日と分かりました。
この内容を導きだし12月の錆びの進行を助長する日は18日にもなると仮定しました。
実際には空気中にある水蒸気の量(絶対湿度)が影響すると思います。
ここでは上記の18日を中心に考えてみます。


2013年1~12月の京都気象台の天気結果
上記表は2013年の一年間の「雨」「雪」「霜」「露」の発生日を合計したものです。
「雨」の日は100
「霜」の日は27
「露」の日は10
「雪」の日は11日となります。
の内容を導きだしこの年の錆びの進行を助長する日は148日にもなると仮定しました。


20087月~202010月の錆びの進行を助長する日


さらに上の表は2008.7月~20212月の「雨」「雪」「霜」「露」の発生日を棒グラフに表したものです。
「雨」の日は979
「霜」の日は258
「露」の日は132
「雪」の日は124日となります。
このグラフから年間の各々の錆びの進行を助長する日は
2008
年は7月から43
2009
年は116
2010
年は120
2011
年は130
2012
年は113
2013
年は148
2014
年は121
2015
年は123
2016
年は102
2017
年は106
2018
年は113
2019
年は81
2020
年は124
2021
年は2月末まで53
の内容を導きだし合計で錆びの進行を助長する日は1493日にもなるのです。
この内容を分析すると年間平均116日が錆びの進行に関わる日があり、
3
日に1日は錆びが進行する日となる訳です。

『霜』や『露』など気象に関わる知識を得る時、近藤純正(東北大学名誉教授)の著書をお勧めします。「自然と共に暮らしている人々の観察力は鋭く,彼ら農家や漁師の体験から学ぶことは多い」と現場主義を貫きながら日本各地に出かけて自然現象を捉え、日本国中の気象を観察しながら解説されています。


   ①昼間の状態    ②夜に雲がある状態  ③夜に晴天の状態


地球は日々太陽の光を受けています。
270℃の宇宙の中で地球が暖かいのは、約6000℃の太陽光線を受けて熱を得ているからと言われています。
①昼間の状態は地球から出ていく熱よりも太陽から受ける光()のほうが強いため、地表は温められます。
③一方夜は地球から赤外線と呼ばれる目に見えない電磁波として、熱を宇宙空間へと放出しています。
このように、夜地表面から熱が放出されて冷えることを
放射冷却と言います。
②そしてこの時雲があれば熱(電磁波)は雲で受け止められ、雲の水蒸気等により蓄熱されるのです。
この蓄熱された雲から再度地球に向けて電磁波が発せられるので『
放射冷却』は発生しません。

太陽光線を受け続けても地球が熱くなりすぎないのは、受ける太陽光線と地球から放出される赤外線とのバランスが15℃程度で保たれているからです。

「などと話しながら、地球温暖化については『気象の観測点の移動』により正確な気象データーが得られず、正確な将来推測がされていない等の事を危惧します。」と近藤先生は、日本の気象観測データーの作成矛盾を指摘されています。


夜に晴天の状態(月も見えます)


これから「霜」や「露」の発生する原因として『放射冷却』を学びます。
夜、地表面から宇宙に熱が放出される『放射冷却』が発生する条件として
下記の様な項目が挙げられています

①風がほぼ無い夜間(煙突の煙がまっすぐに上昇しているとき)
 ・地面付近に溜まった冷たい空気が長時間存在さると、熱がどんどん宇宙に放出されます。
 ・風があると空気をかき混ぜてしまうので、熱が逃げに難くなります。
②上空に雲の少ない晴天の夜(月があれば、月の見える夜)
 ・晴れていると地表の熱は中間にある雲に邪魔されなくて宇宙にどんどんと放出されます。
 ・この現象のため晴れた日は冷え込み易くなります。
③大気全体が低温(TVで「上空5千メートルに寒気南下」と放映されるとき)
 ・冬になってシベリア大陸から寒気団(35℃や-45)が流れ込んでくる時です。
 ・周囲も冷たい空気に包まれて、地面の熱の逃げる勢いが強まり空気がどんどん「冷却」していきます。
④空気が乾燥しているとき(大気中の水蒸気が少ないとき)
 ・空気中に目に見えない水蒸気がたくさんある時(湿度が高い時)は、雲と同じく熱を閉じ込めます。
 ・よって空気が乾燥していると、熱が逃げ易くなります。
⑤新雪が積もったとき(積雪表層に空気が多く含まれるとき)
・新雪の空気層で地層からの熱が伝わらなくなります。
・ふわりとした新設は断熱層の役割をするようです。
⑥地面が乾燥しているとき(土壌表層に空気が多く含まれるとき)
・表面土壌の空気層で地層からの熱が伝わらないのです。
・乾燥した空気層は熱伝導率が低く冷気が地面につたわらず冷え難いのです。
⑦斜面よりは平地、平地よりは盆地(冷気が溜まりやすい地形)
・傾斜は空気が流れ、空気を混ぜるので冷え難くなります。
・盆地は冷気を溜める事により、より冷やされていきます。
⑧大きい湖や海から離れているところ(湖陸風や海陸風の及ばないところ)
・水のあるとこは水蒸気が多く、空気が湿っているので熱を蓄え易く、冷え込みを弱めます。
・そして水のある所は風が発生し易く、地面付近の冷えた空気が上にある暖かい空気と混ざり合うために気温の低下を防ぎます。

少し難しくなったでしょうか。
でも、これであなたも気象予報士と同じ知識を身に付けたことになります。


2008年7月の農家屋1階壁当たり部


ここで2008「錆びた屋根の農家屋」の1階壁当たり屋根に戻ります。
軒下部分のトタン板は白く残っています。
錆びたトタン板ジョイントの重ね部も白く残っています。
屋根流れの長さの中央から上と下では錆びの進行が異なっています。
トタン板の白く残った中央から上は少し錆の進行が遅いように見えます。
又、上部の錆が進んでいる箇所の下部も同様に錆が進行している様に見えます。
もらい錆をもらいながらの錆びの進行と思われます。
の内容で表現しています。





上記図は「錆びた屋根の農家屋」の1階屋根の錆び模様を『放射冷却』の『』と『』の影響ではないかと仮定した解説図です。

①地表の霜
②軒下に忍び寄る冷気
③屋根軒先の霜
④室内の暖気
⑤トタン板の重ねの断熱層
⑥一般部屋根の霜
⑦タルキの位置(ここでは分かり易く母屋位置)
等です。

さていよいよ本題に入って来ました。
この続きは次回といたします。

どうもありがとうございました。