2022.01.08
顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援・ご協力いただきまして、ありがとうございます。
今年も宜しくお願いします。
さて前回は孫の七五三のお話から「杵築神社」で観察した「黴類」「藍藻類」「地衣類」「苔類」の話をしました。
私はこれらの専門屋さんではないので、
ここにも、あそこにも「あるあるある」と観るだけで、説明の何の役にも立ちませんでした。
そこで私の目的としているモルタル・コンクリート・岩石等に生息する「藍藻類・地衣類等」を調査して表にすると下記のようにまとまりました。いくらかの文献を重ね合わせた表で「外装材に発生する微生物の種類と発生部位および環境との関係」となります。
従って名称が重なっているものが多分多く見かける種類と言うところです。
「地衣類」の名称としては『ダイダイゴケ』となる訳です。
今まで黄色い「地衣類」と表現していたのはどうやら『ダイダイゴケ』の様です。ただあちこちの文献では『ツブダイダイゴケ』もあるようなのでその違いはまだよく分かりません。
そして黒い「地衣類」『イワウロコゴケ』かも知れません。
さて、そっちの方はボチボチ学ぶ事として、またまた屋根「地衣類」の観察に移ります。
今までは畑の中を車で走っていて見つけたカラーベスト切妻屋根の住宅でした。
ここでは少し走って小さな住宅地に入って来ました。
手前にまだ建築されていない空き地があります。
その向こうの2階建ての住宅が見えます。
屋根の中央部に谷部があり、
両側に切妻屋根のような住宅が見えます。
2010.06.02 撮影の屋根の地衣類
少し近づいて見ます。
中央谷部の上方にテレビアンテナが見られます。
写真両側の棟部を良く見ると先端は小さな寄棟タイプになっています。
このように切妻部の先端に棟巴が無くて、
小さな軒先の付いている屋根を半切妻屋根と言います。
先端に棟が集まって、小さな三又部になっています。
さて、少し外壁面を観察しましょう。
外壁の造りから推察すると軽量鉄骨系住宅と思われます。
おそらく外壁は窯業系サイディングのパネル壁です。
全面にはリシンが吹き付けてあります。
1階と2階の間には鉄骨の桁空間を隠すために、中背のパネルが設置されています。
そのジョイント部はシーリングが施工されています。
その位置で黒い藍藻類のラインが出来ています。
2階窓にはフラワーボックスが付いています。
さらに出隅角には出窓が付いています。
それらの窓下にはどうやら黒い「藍藻類」が付着しているように思われます。
外壁に付着している「藍藻類」
ただ、ただの黒い埃かも知れません。
雨掛かりの少ないところには埃が付着する傾向にあります。
埃は静電気により付着するので、
基材の+、-の静電気で付着する埃に帯びている質も異なるようです。
外壁を観察しだすと目移りがして、
屋根の「地衣類」の観察が進みません。
話を元の屋根観察に戻します。
取りあえず左側の半切妻屋根の観察をします。
写真の三又部左の小さな屋根面にも多くの黄色の「地衣類:ツブダイダイゴケ」が付着しています。
写真右の三又板金の付け根辺りから流れるように黄色の「地衣類」の付着が有ります。
半切妻屋根部の「地衣類」
同じ屋根の右側に目を移すと棟部から、水が流れたような跡があります。
その部分には「藍藻類」や「地衣類」の付着は無いように見えます。
その横にはテレビアンテナがあります。
当初はこの箇所にテレビアンテナが設置してあり、
なにかの折に移動させたように思えますが。
水平棟部の何もない箇所
さてその横の屋根の中心部に谷があります。
テレビアンテナが立っています。
テレビアンテナの下は先ほどの「地衣類」の付着の無かった箇所と同様に、
白く何もないような模様の箇所があります。
谷の両側には黄色の「地衣類」の付着が観察されます。
右側面には更に多くの「地衣類」があります。
谷周りの「地衣類」
更に左側の半切妻の屋根を見ます。
右側にあった半切妻の屋根に比較して、
「地衣類」の付着は少ないようです。
こちらの屋根は南西側にあり、
乾燥度は高いように思われます。
一般的な「地衣類」はより乾燥している箇所に付着すると言われていますが、
屋根上の地衣類はより湿気ている方が付着量も多いように思えます。
他方の半切妻屋根部の「地衣類」
さて文献を少し調査していたら「財団法人 建材試験センター」が出版していた、<建材試験情報誌2008.3. VoL.44、基礎講座<かびのはなし>、
建築材料の微生物による汚れと対策について②微生物の性質と発生の実態について良くまとめられている項がありました。
残念ながら「文責」が表記してありませんでした。無断で下記のような表にしみました。
「地衣類」についての項に特徴が記してあります。
地衣類はかび類と藻類の「共生生物」であり,
表面はかび類の作る殼によって覆われており,
内部は藻類の生存域となっています。
かび類は内部の藻類に対して保湿及び保温の役目をし,
反対に藻類はかび類に水分や栄養を与えています。
従って生育条件はかび類と藻類の両方の特性を併せ持っています。
水分:水は必須条件ですが,かび類,藻類に比べ総じて乾燥には強い傾向にあります。
栄養:内部を構成する藻類が光合成を行うため
無機系の栄養分のみで生育可能です。
温度:表面のかびの殻のおかげで,
生存に耐えうる温度範囲は0 ℃~ 35 ℃と比較的広い傾向にあります
pH :共生体であるために適応pHも4 ~ 10と,一般に広い傾向にあります。
空気:空気はかび類及び藻類と同様に必須となります。
光:光合成を行うため,光は必須となります。
このような知識を持って屋根上の「地衣類:ダイダイゴケ」を観察すると興味が倍増する訳です。
今まで、奈良の屋根上にある「地衣類」を観察して来ました。
もう少し地上から観察して、さらに屋根の上に上がって観察したいと思います。
今年も宜しくお願いします。
どうもありがとうございます。