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2022.01.15

住宅の外部環境と小屋裏・内部環境を考える その  ㉑ 『 地衣類・奈良 Ⅸ 』 

顧問の坪内です。

いつも池本工務店の事業にご支援・ご協力いただきまして、ありがとうございます。
さて前回は住宅地に入ってカラーベスト半切妻屋根の住宅の観察と文献説明でした。
同様に「財団法人 建材試験センター」が出版していた、建材試験情報誌2008.3. VoL.44、基礎講座<かびのはなし>
建築材料の微生物による汚れと対策について②を参考に「藍藻類」の特徴を記しておきます。

藻類(藍藻類)
水分:藻類は元来,水中で繁殖する水生藻類から進化したので、水分は必須条件となります。
栄養:無機塩分( N ,P ,K , Na , Mg ,)及びミネラル分( B , Mn , Zn , Cu , MO , Co , Ti )が必要となります。
       栄養は光合成によって生産
するため,必ずしも有機成分を必要としません。
    しかし有機成分を与えると藻類は著しく活性化します。
温度:生育適正温度は20 30℃となります。
pH :
 生育適正pH71。ただし,かびと異なりアルカリ側はpH10程度まで生育が可能です
    (セメント・コンクリート面はアルカリ性なので黒く点画の様に付着しているのはこれと思われます)
空気:光合成を行うために,適量の空気が必要となり
:  光合成を行うため,光は必須となります。
波長は可視光線領域(400nm ~ 70 m )とほぼ一致します。
また照度は1000ⅸから3000ⅸが適正範囲となります。

さて前回と同じ住宅地で寄棟屋根の住宅を探します。
前方の中程に谷樋のある寄棟屋根の住宅があります。
観察に適しそうな屋根形状です。
屋根勾配は5寸です。
カラーベスト系住宅で5寸勾配が流行し始めたのは今から35年位前です。
それまでは3寸勾配程度の屋根が主流でした。
某大手住宅メーカーが5寸勾配住宅を企画し販売すると、
他の住宅メーカーがこぞって5寸勾配前後の屋根になっていきました。
屋根勾配と流れの長さについては
2021.04.17
 のブログで少しお話しました。
『屋根勾配と雨漏り』についてはもう少し先にお話しします。
私は「日本屋根の理想的勾配は4.55寸程度」と考えています。
屋根勾配の理想的勾配で重要な事は
1.一番に屋根被害が発生し難い事
 ①強風で飛散し難い
 ②雨漏りし難い
1.
二番に補修が容易(職人が)
 ①補修で屋根に容易に上がるのが可能
 ②一般人は上がり難い
以上が上げられます。


寄棟の住宅が2棟有ります。
どちらも屋根勾配は5寸勾配のようです。
手前の住宅はスッキリとした長方形の住宅です。
この住宅は新しいのか、屋根上は綺麗で「地衣類」の著しい付着は確認されません。
その向こうに、前回と同様に水平棟が2本ある住宅があります。
棟は同じ方向に平行で、手前が低くなっています。
右側の遠くにある水平棟にテレビアンテナがあります。
テレビアンテナの下にはダイダイ色の「地衣類」が付着しているようです。


    2010.06.10  撮影の屋根の地衣類

手前の住宅に絡んでいる電線が少し邪魔をしますが、拡大して見るとダイダイ色をした「地衣類」は
棟より少し下がった位置に3箇所ほど濃い付着が確認されます。
通常、テレビアンテナの脚は4本あります。
水平棟を挟んで、各々2本ずつ異なった屋根面にあります。
下の写真のテレビアンテナ脚の付け根部から、
屋根面に沿って垂直な位置(青色破線)
ダイダイ色をした「地衣類」の少ないラインが確認されます。
これはテレビアンテに当たった雨水の内、
アンテナ柱に沿って誘導された雨水が4本脚に流れたものと考えられます。
そして、その雨水はそのまま屋根面で垂直ラインに流れ、
「地衣類」の付着していない箇所となっています。
前回、「地衣類」の性質で学んだように
「地衣類は」少し乾燥した箇所に付着します。
従って、雨水の激しく多く流れる処は適さないことが証明されています。

       雨の激しく流れる箇所

さて次に隅棟板金に沿って軒先の先端 (専門用語で剣先部と呼びます) を見ます。
殆ど「地衣類」は確認できないように見えます。
しかし、赤色破線楕円部の屋根面には微かにダイダイ色をした「地衣類」があるような。
なぜこんな箇所に「地衣類」があるのか。
黒色破線はテレビアンテナ固定の番線です。
先端は隅棟板の剣先部近くの固定金具に付けてあります。
従って、この番線の垂直ラインの屋根面近くに「地衣類」の付着が確認されるのです。
そうです。
この番線の上部はテレビアンテナに固定されて済ます。
そこから伝って流れた雨水が軒先部に到達する前にライン状にポトポトと落下していると仮定すると、
この疑問は解ける訳です。
実はこのような現象の写真を何件も撮影しています。
一軒一軒説明すると紙面が足りませんので今回はこれぐらいで。

       剣先部の番線固定箇所

次に、このテレビフンテナのある屋根の反対側に移動して見ます。
この住宅地には所々に空き地があります。
左側の水平棟が高くテレビアンテナが乗っている先ほどの屋根があります。
確かに目指す住宅の裏手に付きました。
水平屋根を跨いでテレビアンテナが付いています。
反対側の脚部にもダイダイ色をした「地衣類」の付着が確認されます。


       テレビアンテナの廻りの「地衣類」 

テレビアンテナ脚部周りの「地衣類」を観察します。水平棟部近くには「地衣類」の付着は無く、反対側のテレビアンテナの足廻りに
ダイダイ色をした「地衣類」」が筋状に付着しているのが観察できます。
更に隅棟板金から少し離れた位置から、黒色の「藍藻類」が筋状に付着しているのが観察できます。
この筋状の黒い「藍藻類」の流れの始まり位置を緑色矢印破線で記して見ました。
この位置は雨水が隅棟板金に沿って流れながら、
垂直方向に落下していくラインとなる訳です。
これはカラーベストとカラーベストの横の接合部で、
雨水が集まり、軒先部に誘導する箇所となります。
従って他の箇所より雨水が多いので、
黒い「藍藻類」が生育していることになります。

    「藍藻類」が生息している位置

もう少し走ると赤い橋の向こうに、寄棟の住宅が見えます。
やはり屋根の水平棟中央部にテレビアナテナが立っています。
少し手前には煙突のような物が付いています。
これだけの特徴があればこの住宅は大企業のPホームと分かります。
大手ハウスメーカーの屋根には色々と特徴があります。
(屋根の形状、役物の形状、換気棟有無等)
これらの特徴を知るとハウスメーカーの名前が分るのです。

    テレビアンテナと煙突のある住宅

住宅メーカーは建材関連部材を系列会社で製造し、屋根材も使用しています。
屋根材は30年以前の屋根材と以降の屋根材は形状が異なります。
従って先ほどの住宅屋根の「地衣類」や「藍藻類」付着の仕方が異なります。
テレビアンテナ周りのダイダイ色をした「地衣類」の付着を観察します。
水平棟板金とテレビアンテナ廻りには「地衣類」付着は無く、
少し離れた位置から、テレビアンテナを取り囲むように付着しています。

     テレビアンテナ周りも「地衣類」

煙突部周りの板金の少し離れた位置に
ダイダイ色をした「地衣類」の付着があります。
黒く流れたような「藍藻類」の付着は明確には見えません。

      煙突周りの「地衣類」 

更に軒先部のテレビアンテナ固定番線周辺を観察します。
テレビアンテナ固定は前の住宅と同様に隅棟の剣先位置にあるようです。
その番線の下辺りがやはりダイダイ色をした「地衣類」があるように観察できます。


   剣先部の番線固定指定所の「地衣類」

奈良地区住宅屋根の「地衣類」、「藍藻類」付着の観察を行ってきました。
まだまだ奈良から枚方に掛けて収集している屋根の観察写真はありますが、
少ししつこくなってきました。
次回からはそろそろ屋根の上からの観察に移ります。
ご期待ください。

どうもありがとうございました。