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2022.01.22

住宅の外部環境と小屋裏・内部環境を考える その㉒『 地衣類・屋根上面 Ⅰ 』 

顧問の坪内です。

いつも池本工務店の事業にご支援・ご協力いただきまして、ありがとうございます。
さて前回までは奈良地区住宅のカラーベス系屋根の切妻・寄棟屋根を
外観から見た「地衣類」「藍藻類」観察でした。
更に、少しの文献から学んだ「地衣類」「藍藻類」説明でした。

今回から本格的に屋根上面からの観察を行います。
さて、うろうろと「地衣類」を探して走っていると、
左前方にカラーベスト屋根の住宅を見つけました。
屋根上の「地衣類」の状態がどうなっているか調べたくなりました。


      2008年 生駒の住宅団地

もう少し近づいて見ると、寄棟屋根住宅が2軒あります。
左側のお家は水平棟が2本あります。
右側の住宅は水平棟が1本です。
どちらの住宅もテレビアンテナが設置してあります。
良く見ると右側の住宅の方がダイダイゴケの様な「地衣類」の付着が多いようです。
それでは「ピンポーン」を押して訪ねてみましょう。

そんなに上手く行く訳はありません。
まるで悪徳業者の手口です。

この団地内の建物管理をしている会社から相談があり、
左手のお家から「屋根診断」を依頼されて訪問した物件です。


         少し高台の住宅2棟

早速、屋根の上に上がって調査してみました。
この物件は大手ハウスメーカーの建物です。
建築して35年程度は経過しているようです。
構造は軽量鉄骨2階建てです。
日当たりも良く、通風も良い高台にあります。


屋根・外壁とまだ一度もメンテナンス(再塗装)はされてないようです。
水平棟は2本あり、谷が一箇所あります。
屋根は3寸勾配で寄棟形状です。
隅棟部は棟コーナーと呼ばれる金属で、
屋根材の一段毎に固定する施工です。
写真右側が北に当たります。
水平棟際のカラーベストは少し白っぽく見えます。
全体的には黒っぽい「藍藻類」が付着しているようです。
更に良く見ると、
何やら薄っすらとダイダイ色の「地衣類」が点在付着しているようです。

         少し高い方の棟

屋根北面から高い方の水平棟を観察します。
水平棟、隅棟部の板金材料周辺は
「藍藻類」「地衣類」の付着は少ないようです。
一般的に「地衣類」の付着の進行は遅く、更に当初は非連続で付着すると言われています。
この箇所の屋根への「地衣類」付着は、教科書通りのような付着模様です。
それに比較して、「藍藻類」の生育は早いようです。


         北側からの観察

次に高い水平棟から東に向かって観察します。
低い方の水平棟にテレビアンテナが設置されています。
先ほどの高い水平棟位置の「地衣類」の量と
低いテレビアンテナのある屋根の「地衣類」の量は随分違います。
水平棟と隅棟(南西部)は役物が経年変化で錆びているようです。


         2つの棟の位置関係

先ほどとは、反対側の水平棟と隅棟(東南部)役物も
経年変化で錆びているようです。
更に谷を隔てて、一段低い棟の観察です。
テレビアンテナの脚は東西の棟を跨いで、南北に2本ずつあります。
従って、左側が北、右側が南となります。
左側に多くの「地衣類」が付着しています。
黒い「藍藻類」も多いように思えます。
水平板金の上の茶色はテレビアンテナの貰い錆のようです。


         テレビアンテナのある棟

次に右側南面からの観察です。
全体的に「地衣類」の付着は少ないようです。
一箇所だけ集中的に「地衣類」が付着しています。
これは何故なのでしょうか。

       テレビアンテナのある棟の南側

テレビアンテナ線が通っている箇所と重なっています。
ただこの位置の上にはテレビアンテナの導波器部品があります。
「地衣類」の付着具合は、
ポツポツと点在していながら、

カラーベスト先端にはベッタリと成長しているようです。
かなり、ダイダイゴケ「地衣類」の成長に適しているようです。

     南側面に付着している「地衣類」

次に北面屋根の観察です。
棟包板金周辺と棟から一段目(棟板と呼ばれる)には地衣類の付着はありません。
更に、テレビアンテナ脚の二か所部分から、
垂直に雨水が流れる箇所にも「地衣類」の付着はありません。
その先に流れた箇所からは黒い「藍藻類」の付着が見られます。
その両側の少し乾いた箇所に「地衣類」が付着しています。
雨水の流れる位置が川とすれば、
この位置の上流には「藍藻類」や「地衣類」の付着は無く。
下流には「藍藻類」の付着があります。
そして雨量の流れの少ない山部には「地衣類」の付着があるのです。
更に少し離れた箇所にはポツポツと「地衣類」の付着が見られます。


     北側面に付着している「地衣類」


少し離れた箇所、
即ちテレビアンテナ横の三又部周辺から下部方向に向けて、
ポツポツと「地衣類」の付着が見られます。


   三又役物下に付着している「地衣類」

更に拡大して見ると
「地衣類」と「藍藻類」がまだらに付着しています。
白い箇所が有機塗料を混ぜたセメント質ならば
理論通りに脱色しているようです。
無機塗料ならこの脱色が少ないようなので、
少し異なる「地衣類」の付着が見られるかも知れません。


     まだらに付着している「地衣類」

初めての屋根面上の「地衣類」の観察が出来ました。
次回からも色々な屋根面上の「地衣類」の観察を行います。

どうもありがとうございました。