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2022.02.26

住宅の外部環境と小屋裏・内部環境を考える その  ㉕ 『 地衣類・屋根上 Ⅲ (セメント瓦の地衣類) 』 


顧問の坪内です。

いつも池本工務店の事業にご支援・ご協力いただきまして、ありがとうございます。
さて前回は2回に分けて、
百舌鳥・古市古墳群の中にある、
古墳のお濠に面した
カラーベス系屋根面上から見た「地衣類」や「藍藻類」観察でした。

屋根の観察を行って、黒い「藍藻類」や黄色いダイダイゴケなどの「地衣類」の付着し易い材料は、どうやらセメント系屋根材ではないかと思えます。カラーベストは、関東では関西と比べれば遥かに多くの量が、この60年間製造販売されてきました。更に関東は「関東ローム層」と呼ばれる火山灰が変化した土が、風に飛ばされて空中に浮遊し屋根上に堆積し易いと言われています。したがって、関東の屋根上には関西より「藍藻類」や「地衣類」が多いとされています。ただ私は詳しく調査してはいませんので何とも言えません。

2022.01.15 で学んだ「藍藻類」の成長するポイントは無機塩基( N . PK , Na , Mg ,)及びミネラル分( B , Mn , Zn , Cu , MO , Co ,)で、これらはセメント成分の中にも多く含まれています。
しかもpH生育適正では71で、かびと異なりアルカリ側はpH10程度まで生育が可能と言われています。
従ってセメント製品は「藍藻類」や「地衣類」の成長し易い盤状と言えます。

そこで今回はセメント瓦の代表である「モニエル瓦」の地衣類を観察して見ます。
元々セメント瓦は戦後、四国や九州で多く生産販売されていました。
昭和40年代の中頃からモニエル瓦が、海外から技術輸入されて製造販売されてきました。
デザインとして洋風山型「センチューオン」、平型「ホームステット」の2種類が多く販売されました。
それに遅れて、同業者が同系統の商品を多種類発売しました。
ただ住宅着工減少による販売不振で平成の10年代に廃業し、現在は経年劣化品が散在している状況です。

下記写真は某社より依頼されて、再塗装を行った現場写真です。
東面の水平棟部、ケラバ部、一般部です。
「地衣類」の付着具合が今までのカラーベストとはかなり異なります。
カラーベストの場合は「地衣類」の付着具合は屋根面の場所により異なりました。

この現場でのモニエル瓦の場合はほほ全面に「地衣類」が付着しています。
この写真は養生用シートによる陰の具合もありますが。
屋根面で、右側ケラバ部分の地瓦1列とケラバ瓦には「地衣類」の付着が特に多いように思われます。
各々の瓦1枚を観察すると瓦山部の半分右側の「地衣類」の付着が左半分より少ない様には観察されます。
谷部の「藍藻類」の付着は下方に行くほど多いように見られます。

     モニエル瓦の「地衣類」の付着



東西にある水平棟にアルミ製の換気棟が設置されています。
この換気棟は現在合併してリクシル社(旧新日軽アルミニュウム製)と呼ばれている会社の製品です。
昭和56年頃から、丸型・角型が販売されています。
日本には丸型デザインの換気棟は少なく、
ほとんどの丸型棟包瓦にこの商品が使用されています。
棟の左側が東で「地衣類」も良く付着しています。
そして西側には更に多く付着しています。
換気棟との接合部の棟包役物にも多くの「地衣類」が付着して、
一部は初めから付着しなかったのか、付着した後に剥げたのか分からない箇所があります。

  モニエル瓦のアルミ製丸型換気棟
換気棟の西側の地瓦部分を拡大して観察します。
手前の方の山部・谷部には少し大きな斑に「地衣類」が付着しています。
そして向こう側に向けては山部・谷部にびっしりと「地衣類」が付着しています。
何という美しさでしょう。

      モニエル瓦の「地衣類」付着

赤色四角部分モニエル瓦の縦接合部を見てみましょう。
モニエル瓦には横の接合は山部の頂点から少し右側にあります。
従って雨水は頂点部から侵入して下に落ち、溝穴の中にある水平の溝道を通り下の瓦の上に落下します。
ここでは溝の両側に「地衣類」が付着しています。
この瓦写真では溝上部の隙間上に当たる箇所が、少し「地衣類」の付着は少ないようです。

     モニエル瓦の「地衣類」付着拡大

まるでお花畑です。
やっと出会った『ツブダイダイゴケ』でしょう。
図鑑や多くの写真で見てきた『ツプタ゚イタ゚イ゙ケ』
こんなにハッキリと観察できるなんて、至福の喜びです。

   モニエル瓦のツブダイダイゴケ付着

さて今度は異なる屋根面を観察しましょう。
この面では山部と谷部では様子が異なるようです。
山の部分は全体的に白っぽく所々に「地衣類」が点在しているようです。
谷の部分は全体的に黒っぽく「藍藻類」があり、同じく「地衣類」が点在しているのです。
隅棟部分は白く剥げた箇所に「地衣類」の付着があります。

    モニエル瓦の隅棟瓦

下の写真はこの隅棟の頂部箇所の三又部です。
三又役物は白く剥げた感じで接合部の山の処に「地衣類」が付着しています。
手前の面にはかなり多くの「藍藻類」が全体的に付着し、「地衣類」が点在しています。
右の面も薄っすらと「藍藻類」が付着しているように見えます。

    モニエル瓦の三又部

次に異なる面の三又部を見てみましょう。
水平棟部・三又部・隅棟部・地瓦部のすべての箇所に「地衣類」が付着しています。
先ほどの縦の接合ライン部を観察するのに、赤の四角で囲っている箇所を拡大します。
更に特徴のある水平棟部を緑色の四角で示します。

    三又部の「地衣類
」付着

赤線四角で囲ったモニエル瓦接合部ラインです。
赤色破線部がこの瓦の頂点ラインです。
接合ラインは右側の少し下がった個所にあります。
「地衣類」の付着具合に特徴があります。
右側の接合ラインの直ぐ横にも「地衣類」が付着しています。
その直ぐ下は「地衣類」の付着が少なく、更に下は多くなっています。
付着の有無には我々の分からない環境が存在するように思えます。

     接合部の「地衣類」付着

緑色四角部の水平棟包の拡大です。
左側と真ん中部に「地衣類の付着の無い箇所があります。」
左側は下まで、中部は中ほど迄で各々に特徴があります。
左側は山部の付け根に棟包固定の銅線が影響しているのではと思われます。
中程は何か外圧によるものか ?と考えるところです。

     モニエル瓦の「地衣類」付着

このように、ここでも屋根の上では特徴ある「地衣類」の付着が見られました。
下記写真はインターネットにあった「地衣類」の写真です。
多くの写真を勝手に編集しました。
前回と同じ様に少しずつ掲載します。