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2022.04.16

住宅の外部環境と小屋裏・内部環境を考える その  ㉙ 『 地衣類・屋根上 Ⅸ  』 陸屋根(屋上) 

顧問の坪内です。

いつも池本工務店の事業にご支援・ご協力いただきまして、ありがとうございます。
さて前回は50年前にデザインされた「屋根材かわら27型」と少し遅れて発売された「同質役物ハイリッジ」のお話でした。その材料は風に強い形状と言われ、沖縄や鹿児島の離島で活躍をし、「沖縄海洋博覧会」や「オクマリゾートホテル」でも採用されたとのお話でした。

さて今回は本土に戻ってのお話、ある飲料メーカーの建物で樋の不具合があり、その補修で調査の為に上がった陸屋根屋上のお話です。
ほとんどの建物は大きな折版で覆われています。
接合箇所に内樋があり、その竪樋の落とし口に不具合がありました。
写真は少しのR掛かった折版屋根です。
通常ならこの折版屋根と樋の話になるのですが、
今日はこの屋根と接する屋上の「地衣類」「藍藻類」「藻類」のお話です。

         大型折版屋根


さて屋上の東北角から南西隅を撮影したところです。
当日は天気よく快晴でした。
屋上の西側に付いているバラペットにより、パラペット東側は午後からは日陰になっています。
赤色矢印部は南西隅になります。
従って、この場所には殆ど太陽は当たりません。

    太陽の当たらない屋上の南西隅


同様に赤色矢印は午後から太陽が当たらない北西隅部
パラペットの下場と塔屋の角ですので、
午後からはパラペットの東面は太陽の当たらない条件です。


    太陽の当たらない屋上の北西隅

午後からは太陽が当たらない塔屋の西北隅の拡大
コンクリートのパラペット西壁箇所には「藍藻類」が付着しています。
更にその下には「地衣類」が付着しています。
同じ壁面でも付着の少ない箇所もあります。

一箇所は赤色矢印で雨掛かりのない箇所です。
もう一箇所は青色矢印の雨水の道になっているのがそれです。

       塔屋の西北隅の拡大



同じ塔屋の東側の西壁にも「地衣類」の付着が多くあります。
さらに下の屋上面に近い処には「地衣類」はありません。
しかし「藍藻類」は付着しています。
さらに下の屋上面には「藍藻類」と「苔類」が付着しています。
このように水分量から考えると生育環境としては
「地衣類」<「藍藻類」<「苔類」
と考えられるようです。


       塔屋の東側隅の拡大


この面の断面解説図を示します。
一番上の雨掛かりのあるところは何も無いような写真です。
次に少し凹んだ垂直な箇所には「藍藻類」が付着しています。
その雨水の流れる少し勾配になっている水平な面には「藍藻類」と少しの「地衣類」が付着しています。
更にその側面には多くの「地衣類」があります。
下の大きく凹んだ雨掛かりのない処は「地衣類・藍藻類」は有りません。
しかし凹んだ壁面の下端箇所には「藍藻類」が付着しています。
そして、屋上面と接する隅部には「苔類」があります。
それに続く屋上面には多くの「藍藻類」が付着しています。

         断面解説図


上記解説図の赤字の箇所が下記写真です。
その雨水の流れる少し勾配になっている水平な面には「藍藻類」と少しの「地衣類」が付着しています。
更にその側面には多くの「地衣類」があります。
の境目が良く分かるのが興味あるところです。

  水平面と垂直面の「地衣類」付着の違い


下記写真は同じ垂直面でも上部は「藍藻類」
下部は「藍藻類・地衣類」ある箇所と両方無しの箇所です。
こうして「地衣類」を観察していれば
全体的観察と部分観察の大切さが理解できます。

        花びら状の「地衣類」


次に屋上の南西隅を撮影したところです。
屋上の西側に付いているバラペットにより、パラペット東側は午後からは日陰になっています。
他の屋根からの雨水の排出口があります。
パラペット側面の上部には「地衣類」が付着しています。
さらに下部には「藍藻類」が付着しています。


 「地衣類」「藍藻類」「藻類」の宝庫南西部


写真を少し光補正して明るくします。
側面の「藍藻類」の付着箇所が気になります。
一番奥の隅には「苔類」が堆積しています。


       南西隅の雨水排出口


多くの土埃の堆積と「苔類」が観察できます。
特に「苔類」は良い土壌を確保出来て勾配屋根とは異なった生育環境が得られているようです。
樋の雨水排水口のお陰で「地衣類」「藍藻類」「藻類」の付着が観察し易い屋上でした。

        堆積した埃と「苔類」


2021.07.17住宅の外部環境と小屋裏・内部環境を考える 『 地衣類・奈良 』 
から屋根の「地衣類」を観察してきました。

日本には「地衣類」は1600種類ほど生育しているらしいとか。

「地衣類」は「菌類」と「藍藻類」の共生体だとか。
屋根上の観察に関わりすぎると何が目的なのか分からなくなります。

ここらで「住宅の外部環境と小屋裏・内部環境を考える
の目的に戻って次回からは「霜」について学びたいと考えます。