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2022.05.28

住宅の外部環境と小屋裏・内部環境を考える その ㉝ 『 屋根の霜模様 ④ 』

顧問の坪内です。

いつも池本工務店の事業にご支援・ご協力いただきまして、ありがとうございます。
3回の「霜」の話は撮影日の中で奈良気象台での
気温が一番低かった(黄緑色四角) 2012.02.28 の写真を中心に通勤途中写真解説でした、
そして下記は2007年~2018年の間で16回の気温を示した表とグラフです。
今日はスタート日20071227日の写真を中心にお話します。
折れ線グラフの赤色太線が2007.12.27.のものです。
このような表とグラフをこれから時々使用します。
黄色で埋まった箇所は撮影の時間帯です。
青色で埋まった個所は「霜」が発生すると言われている気温4℃以下の時間帯です。


            2007年~2018年の撮影日の気温



さて今日は2007.12.27.7.15の時間からの撮影風景です。
今日の朝の気温は上記表から見ると0.1℃です。
前回の2012.02.28の気温はー3.7℃でした。
遠くから眺めると屋根に「霜」の多く降りた箇所とそうで無い箇所がハッキリとしています。
屋根面への天空からの放射冷却の強さはほぼ同じなので屋根の正面温度の違いでしょうか。

    気温0.1℃の屋根の霜模様


本当はここで「放射収支量」と「水蒸気量」を計れば良いのですが、出勤途中では無理です。
そこで、2007.12.27の奈良気象台の水蒸気量()を調べてみます。
前日から68.6hPaの間の低い水蒸気量で安定しています。
気温は1時が1.0℃で朝7時の0.1℃迄徐々に下がっています。
更に露点温度も朝1時がー0℃で、朝7時がー1℃と下がっています。
屋根材の表面で露点温度が霜点温度に変化して「霜」が降りて(着霜)していることが分かります。
おそらく屋根材の表面温度は放射冷却によりもっと下がっているものと思われます。

          2007.12.27の気温・露点温度・蒸気圧


さらに同時刻の風速を調べてみます。
1時は風速1.7m/sで、朝7時が風速0.7m/s でほぼ風速1.0m/s以下となっています。
レーダーチャートグラフの赤色楕円部がそうです。
前日朝方には4m/s近くあった風も徐々に穏やかになり夜中からは2m/s以下となってきています。
正に「霜」が発生し易い条件が整ってきています。


       2007.12.27の風速の推移


右下に小さく2012.12.28の写真があります。
前回に少し詳しく解説した屋根です。
この屋根の「霜模様」は4つの特徴があります。
1.
 屋根面で「霜模様」の濃淡が3種類あります。
2.
 縦ラインの模様の濃淡があります。
3.
 左側には均一で一定の模様があります。
4.
 平面の模様にも濃淡があります。

上記文章の中で大きく異なるのは 3. になります。
実は左端のタルキ2(半間)はこの5年の間に増築されているのです。
この部分は他の箇所と異なり軒先から棟迄同じように「霜」が降りています。
そこでこの部分は軒先から棟まで2階居室から熱が伝わらない構造にされているのが分ります。
一番興味あるのは 「 4. 平面の模様にも濃淡があります。」. です。
一般部が極端に白く多く「霜」が降りた部分とそうで無い部分があります。
そして 「 2. 縦ラインの模様の濃淡があります。」です。
この縦ラインは建築構造的にはタルキと呼ばれる屋根の野地板を固定している木材となります。
屋根面に多く「霜」が降りている箇所ではこのライン部分は濃く見えます。
屋根面に「霜」が少ない箇所はこのライン部分は白く見えます。
何故このような現象が起こるのか、もう少し良くこの二つの写真を観察して見ましょう。

       2007.12.27の風速の推移


次に隣の住宅です。
切妻で3.5寸・5寸の2種類の勾配の屋根があります。
左側3.5寸勾配屋根には均一に「霜」が降りています。
右側5寸勾配の屋根には変形した模様の「霜」が降りています。
隣の屋根に比較してこの写真ではどちらも「霜」が多く降りているように感じます。

        2種類の屋根勾配住宅


それから少し歩いて行くと右側に大きな切妻の屋根があります。
ケラバの出はかなり大きいような切妻デザインの屋根です。
初回に記した「この住宅の次ぎのお家は急勾配屋根のカラーベストです。屋根に霜が降りています。」
と説明した住宅です。
赤く囲った写真のオレンジ楕円部です。
左側には屋根から飛び出したようにドーマーがあります。
屋根の棟部、ケラバ部は少し濃く、中心付近は白く「霜」が降りています。
左側の飛び出した屋根部分も白く「霜」が降りています。
という事はこの箇所は野地板の温度は同じ程度と思われます。
ひょっとしてこの箇所は小屋裏部が通じているかも知れません。

        ケラバの出が大きい切妻住宅


2軒は全く同じデザインの住宅です。
テレビアンテナの位置で異なる住宅と分かります。
住まい方の違いで、屋根上の「霜模様」を観察することが出来ます。
左右の写真を比較すると、
(上記の文章は前回の文章と同じです。)
左側住宅のシャッターは全て締まっています。
右側住宅のシャッターは真ん中だけ開けています。
前回は右側住宅は右のシャッターも開いていました。
よく観察すると左側屋根の「霜」の付着量が多いようにも見えます。
  
   左側に電柱があり、テレビアンテナの無い住宅               テレビアンテナが中央にある住宅


更に歩いて、右側の住宅を観察します。
2
階建て住宅の下屋根のカラーベストの「霜模様」は一枚一枚霜の着き方が異なります。
隣同士の屋根材の温度が異なるのでしょうか。
どの様にしてこのような変化が現れるのでしょうか。

 一枚一枚「霜の付着模様」が異なる住宅


そして初回に観察した
これぞ「屋根降霜の見本」と呼びたくなるような住宅です。
落ち棟のある切妻住宅です。
非常に特徴のある住宅ですが。
換気棟の設置、軒部の出、ケラハ部の出、タルキの間隔等住宅の諸条件に寄り、
「霜模様」即ちの付着量、付着条件を観察できる住宅なのです。

   屋根降雪観察の見本のような住宅


暫らくはこれらの住宅の屋根観察にお付き合いいただきたいと思います。

テレビアンテナが中央にある住宅

 


ありがとうございました。