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2022.11.12

住宅の外部環境と小屋裏・内部環境を考える その 52 『 屋根の霜模様・かな? ⑮ 』 

顧問の坪内です。
先週は「霜撮影」の当初から疑問であった A邸 の小屋裏構造について考察してみました。
屋根表面に多くの霜が付着するのは 屋根裏面からも冷やされていることが理解されました。
一方、断熱が良く効いている屋根も室内からの熱気が伝わらないので、
「屋根に霜模様」が残るのではないかという疑問です。
下図はその概念図、即ち「勾配天井」の場合です。
勾配天井の場合は多くの現場でタルキとタルキの間に断熱材を入れます。
それもグラスウール系の断熱材です。
下図はタルキ間に緑の矢印で「通気」と図示しています。
グラスウール系断熱材は断熱材を押し込んで、時々この通気路を塞ぐ場合があり、結露を誘発します。
発泡系の断熱材はタルキとタルキ間の野地板に密着させるように施工すると結露を発生させます。
どちらも施工を簡単に済ませようとして、大工さんに適切な指示をしない設計士のミスです。
この2~30年で「断熱・気密住宅」が提唱され、天井裏ではこのような事故が多発しています。
「勾配天井」の場合は、
タルキ間は通気路として使用し、その下に断熱材を入れて天井を仕上げて欲しいのです。
そして換気棟も、すべてのタルキ間の通気層が排出するような工夫が必要です。
(この図では換気棟を図示していませんが。) 特に2×4住宅は構造上、枠材同士の連結が必要で空気の流れを阻害しています。
特に難しいのが寄棟の納まりです。
水平棟部に水平天井を設けて空気の流通を容易にする工夫が必要です。

     勾配天井の概念断面図


右隣の B邸 霜模様屋根です。 左の4.5寸勾配屋根には一様に霜が降りています。
右側の急勾配屋根には斑に霜が降りています。
さて、屋根により白く霜の降りている箇所は 外気が侵入して、小屋裏が冷やされているのでしょうか。
それとも、勾配天井になって、室内側の暖気を穏やかにしているのでしょか。
A邸 のように棟に近い処にあれば小屋裏部屋も考えられます、
中間部にあるとすると階段があるのかも知れません。
などと考えるのもなかなか楽しいことです。


    斑な霜模様のある B 邸


次に近鉄電車の向こうの C邸 を見てみましょう。
線路手前の土手には霜らしきものは少ないようです。
窓のシャッターは3箇所とも上がっています。 屋根上に霜は全体に降りているようです。