この小屋裏には気になるシミ模様があります。
①釘廻りのシミです。
・釘周りには良く見ると一様にシミが有ります。
・このシミは釘を中心として出来ています。
・この釘は屋根材を固定する為に「野地板」に固定されています。
・この釘は間接的に外気(霜)と繋がっています。
・よって霜が降りている時はほぼ0℃に近い温度です。
・冬季の小屋裏は換気が良くない場合、殆ど露点温度は0℃以上です。
・したがってこの釘廻りで結露する事が多いのです。
・この釘廻りのシミも結露と言うことになります。
・この様な現象を建築専門用語でヒートブリッジ(熱橋)と言います。
②タルキ近くの野地板のシミです。
・前回学んだように屋根の上のタルキの「霜」は白く溶けていません。
・という事は室内からの熱気はタルキを通して屋根面には行かないのです。
・しかし野地板を通しては簡単に屋根面に移動しています。
・そして、逆に野地板面は冷やされているということなのです。
・タルキの際の白く乾いた箇所は野地板のシミ模様箇所に比較して温度が高い事になります。
➂野地板と野地板の接合部のシミです。
・通常、屋根の施工は屋根材の下に防水シートとしてアスファルトルーフィングがあります。
・アスファルトルーフィングの下には野地板として耐水合板があります。
・耐水合板は隙間なく施工されますが、少しの隙間があれば、
隙間には屋根から冷気が入り、隙間周辺の野地板の温度を下げます。
・更に隙間からは小屋裏の水蒸気が入り、アスファルトルーフィングの裏面で結露します。
・この結露は液体の結露水となり、野地板の隙間から流れ落ちます。
・このようなお話はもっと後の章で行います。
・この接合部の上下、特に上部も冷やされて多くの結露箇所が出来ています。

結露している野地板
結露模様は基本的に温度分布模様として現われます。
①結露水が多くなると木材の含水率も高くなり、周囲環境を常時高湿に保ちます。
②そしてカビ菌が発生し、更に木材の含水率が上がると腐朽菌が発生し、結露は助長されます。
➂更に結露が進むと、重力により結露水は下方に流れ、落下します。
④落下音で家人が初めて気づきます。
⑤現在であれば赤外線サーモ写真で証明される処です。
(残念ながらこの時にはその機器は持ち合わせていませんでした。)
⑥これらの写真は小屋裏で、野地板の結露前段の模様を撮影したことになります。
④屋根材固定釘廻り、中央部の野地板接合部縞模様と
タルキと野地板の接する部分の模様が結露始まりを待っている状態なのです。
⑤前回の霜の発生の写真と重ね合わせると、野地の冷たい部分で結露が発生し易いことが理解出来ます。
⑥水蒸気は小屋裏で気流に乗り分散しながら圧力差で移動します。
⑦温度に左右されながら野地板やタルキに吸収、放出して個々の環境を形成しています。
➇露点温度以下のところで多く吸収(結露)し、腐朽していくのです。
B 建物の外部被害に関わる資料
前にもお話しましたが、このシリーズは 『小屋裏換気の重要性に関しての知識を得る』 ことの雑学です。
小屋裏に結露が発生し、クレームとなるのは急速に被害が拡大した時です。
初めから換気口が無いか、換気口があっても機能せず、
家人の発生させる水蒸気量が多い場合(特に若い家族)
天井から水滴が落下し、天井や壁のクロスが剥がれて異常に気づきます。
小屋裏の異常に気づかずリフォーム時や台風・竜巻被害の時に発見される場合も有ります。
ここでは竜巻被害とリフォーム時等に発見される被害について解説します。

建物の外部被害に関わる資料
200907.28日の新聞に下記のような記事がありました。
非常に興味が沸き切り取って保存しました。
この写真を良く見ると色々な事が分かります。
新聞記事にはこの写真の内容については載っていませんでした。
記事内容は以下の通りです。
群馬県東部を中心に竜巻とみられる局地的な突風が発生。
27日午後2時15分ごろ、「竜巻が起きて屋根が飛んだ」などと、複数の通報が群馬県の館林地区消防組合消防本部(同県館林市)にあった。同本部によると、竜巻とみられる突風が複数の場所で発生し、市内のスーパー駐車場では車十数台が横転、13人がけがをした。いずれも軽傷という。
同本部によると、車が横転したのは「ベルク 館林大街道店」(同市大街道)の駐車場で、10~15台が横転し、運転手らが負傷した。市内ではほかにも数カ所で、計50棟前後の民家のガラスが割れたり、屋根が飛んだりするなどの被害が出たが、けが人の情報はないという。27日午後4時36分、群馬県館林市、朝日新聞社ヘリから、豊間根功智撮影(朝日新聞 2009年7月27日21時35分更新)

館林寺の竜巻発生の朝日新聞
私が過去に竜巻の被害調査に出かけたのは二度あります。
一度は今から45年ほど前の岐阜県の「下呂温泉」です。
飛騨川沿いに数百m程の被害があり、その中に 「Sハウス」 の2階建てアパートがありました。
屋根は切妻物件で棟板金役物とカラーベストの一部が数十m飛散しているのを記憶しています。
二度目は平成2年2月の「枕崎」です。
この時は町全体に巾数百mで、長さ数キロに渡っての被害でした。
初めて「竜巻被害」の凄さを実感したものでした。
さて『館林』竜巻被害に戻ります。
下記写真には4種類の屋根材があります。
①一番上の黄色い楕円部は(築50年以上)セメント瓦屋根の切妻の2階住宅です。
②次の青色の楕円部は(築20年程度)陶器瓦屋根寄棟のプレハブ2階住宅です。
➂その次の黄緑色の楕円部はカラーベスト(築20年程度)屋根の2階建て住宅で、
もしかしたら、アスファルトシングル屋根かも知れません。
④最後に赤色の楕円部は瓦棒(築30年程度)屋根の2階住宅兼事務所の屋根被害です。
築年数と屋根材の種類により「小屋裏被害」の状態が異なります。
興味ある事象が確認されますので少し学んでみましょう。
①最初の黄色い楕円部のセメンド瓦屋根の2階建て住宅です。
・この住宅は手前右側の棟が落ちています。
・初めから落ちていたのか、竜巻被害で落ちたのか分かりません。
・被害調査で現地確認したかったのですが、屋根野地板がボロボロでかなり腐朽しています。
・左側の瓦は健全に残っていますが、右側の瓦は8割方落下しています。
・風の強弱もありますが、野地の腐朽度もあるのではと思われます。
②次の青色楕円部の陶器平板瓦のプレハブ2階建て住宅です。
・この写真の中で私が最も興味を持った建物です。
・この住宅は日本で最も多く住宅を販売しているSハウスの物件です。
・陶器平板瓦を事前にプレカットして施工されたものです。
・写真を拡大して確認すると数か所は飛散した可能性はありますが、
・殆ど健全で、他から異物が飛散して来ての被害とも思われます。
・特にこの寄棟屋根形状で飛散し易い「隅棟」部の被害が少ない事です。
(2階の一箇所は他物件からの飛散物被害と思われます。)
・おそらく全ての瓦を釘留めされていると思われます。
➂その次の黄緑色楕円部のカラーベスト屋根です。
・屋根に凸凹が無く殆ど被害はありません。
・という事はこの物件は「アスファルトシングル」かも知れません。
(カラーベストなら棟部とケラバ部に金属役物の形跡が確認されるはずです。)
・しかも比較的新しい物件で。
・通常アスファルトシングルは経年劣化が激しく、接着剤で固定されているので不安定です。
・隣の物件が倒れて屋根に乗っかっています。
④最後に赤色楕円の瓦棒金属屋根です。
・この建物は3つの部分に分かれています。
・おそらく40年前に前後の建物の2棟をどちらも切妻屋根で建てています。
・それから10年位して真ん中部分の棟を直角にして、増築しています。
・そんな事が何故わかるか。
・真ん中の赤くなっているのは結露している箇所です。
・そして既存の野地板と増築部の野地板の接点を確認しますと、
・増築部の野地板は全て結露して飛散しています。
・初めの建屋の野地板は飛散しなくて残っています。
・この天井裏が結露した室内には何があったのでしょうか。
・特に2階奥の部屋の天井裏の腐朽が暗く顕著に変色しています。

朝日新聞掲載の竜巻被害写真
という訳で、「竜巻」についてはインターネットに載せられている「学術論文」「建設省建築研究所調査報告書」「朝日新聞」「毎日新聞」「グーグルマップ」等の写真を参考にして、『竜巻被害』を学んでみたいと思います。
どうもありがとうございます。