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2022.11.26

建物の外部被害に関わる資料 その 2 『 竜巻 ② 』

顧問の坪内です。
前回は2009.07.28日の朝日新聞の「竜巻」記事の話をしました。
記事中の写真を見て興味ある事象を解説しました。
一枚の写真の中に種類の異なる屋根材の被害があり、
各々の屋根材の特徴を学ぶことができました。

地震、台風、水害等自然災害の現場調査には建設省、大学、建築研究所等各種機関の報告書があります。そして多くの報道機関の写真や動画があります。それらの貴重な資料は早く正確に現実を知らせる等、多くの努力が見られます。
ここでは「建設省と建築研究所の館林竜巻被害の調査報告書」の内容を少しお借りして、被害内容をもう少し詳しく学びたいと思います。
(青色字は報告書の内容です。
竜巻被害調査は下記の喜々津仁密氏、奥田泰雄氏の両氏の報告書が多く、いつも参考にしています。)


平成21727日群馬県館林市竜巻被害調査報告
 国土交通省国土技術政策総合研究所総合技術政策研究センター 喜々津仁密
           独立行政法人建築研究所           構造研究グループ       奥田泰雄
はじめに
 平成2172714時過ぎに、群馬県館林市で住家の屋根が飛ばされるなどの竜巻被害が発生した。館林市の調査によれば、住宅等の被害が全壊25、半壊33、一部破損361の計419棟、車両の被害が全損4、半損14、小損15の計33台となっている(728日現在)。前橋地方気象台と東京管区気象台の現地調査結果 によれば、被害の範囲は同市大谷町付近から細内町付近までの東西約6.5kmにわたっており、藤田スケールF1又はF2の竜巻による被害であるとしている。

 
国土技術政策総合研究所と建築研究所は、国土交通省住宅局、館林市の協力により 7 28 日に現地調査を実施した。本報告はこの現地調査の結果を取りまとめたものである。
竜巻被害の概要
竜巻被害は、館林市内の大谷町付近から細内町付近にかけて発生し、その被害は概ね帯状に分布している。3に館林市内の被害分布状況、図4に調査対象範囲内での主な被害建築物等の位置をそれぞれ示す。図3中の灰色で示した主な被害確認地点は、館林市都市建設部建築課提供の調査結果をもとに作成した。

  3館林市内の被害分布状況(灰色の部分が主な被害確認地点)


上記地図上に示す番号写真は2009年の報告書(青色枠写真)に添付されたものです。
更に現在のグーグルマップを参考にして復旧後13年後の状況(緑色枠写真)を確認したいと思います

   4調査対象範囲(図中の数字は後掲の写真番号を表す)


写真1に、館林厚生病院屋上から撮影した屋根を覆ったブルーシートの分布状況を示す。 被害を受けた住宅の範囲が限定的であることがわかる(青枠写真)
下記写真の現在の状況を確認するにはグーグルマップのストリートビュー(緑色枠写真)で行うことが出来ます。
グーグル写真は現地(館林厚生病院屋上)からの写真ではないので、分割された写真となります。
①一番手前の赤色楕円の緑色陶器平板瓦
②その左の青色四角のブルーシート
➂その向こうの茶色楕円の瓦 (おそらく線路を渡って)
④その右の黄色の楕円陸屋根2階建のアパート などが確認されます。