2023.01.21
被害全体を毎日新聞の報道写真を少し南側から撮影した写真です。
先ほどの➂オレンジ楕円部石綿スレート(住宅平板スレート)瓦屋根「カラーベストコロニアル」と呼ばれるのは右端上です。
この角度から離れて撮影していると野地板が結露して薄赤くなっている箇所が分ります。
他の住宅の屋根も被害詳細が何となく分かりますが後述にします。
取りあえず、黄色い楕円部「カラーベストコロニアル」の拡大写真を見てみましょう。
上部が北で、下部が南の竜巻巾が丁度50m程度あります。
そこに約50m巾の赤色矢印で竜巻円形を落とし込み、
異動を黒色矢印で記すと下記写真のようになります。
屋根の飛散破片がどこまでどのように飛んだかは判りませんが、
この住宅には西面の南西側のケラバ角から西側屋根面、
東面の南側ケラバ部から東面、北側ケラバ部に
一気に上昇気流で持ち上げられたのではないかと推測できます。
40数年前、兵庫県香住町(現在は香美町)の
余部鉄橋の下にある温泉宿に
「春一番の風」が吹き『カラーベストコロニアル』が飛散し、
調査・補修に出かけたことがあります。
建物の形状と屋根形状は今回とよく似たものと記憶しています。
風の向きは逆で流れの長い屋根からの吹き上げでした。
屋根材破片が風下側に100m程飛散し田んぼに突き刺さっていました。
この時の飛散箇所はすべて風上でした。
この話は後日に大事件があり、胸を撫で下ろした事があります。
そして私が風について真摯に取り組み始めた事件でもありました。
さて、下の写真ですか、被害の5棟の屋根被害位置と
竜巻の通過位置関係に何か見えそうな気もします。
④ワイン色楕円部セメント瓦屋根
⑤茶色楕円部陶器瓦屋根
⑥緑色楕円部ブルーシート屋根
⑦黄色銅板屋根
➇グレー色楕円陶器瓦屋根
例えば一番下の⑤茶色楕円部陶器瓦屋根は
西南のケラバ角から屋根の飛散が始まっています。
同じようにその上の④ワイン色楕円部2棟続いたセメント瓦屋根の
左の切妻屋根の西南のケラバ角から屋根の飛散が始まっています。
ところがその上の⑥緑色楕円部ブルーシート屋根は
水平棟の箇所を中心にブルーシートが被せてあり、軒先部に被害はないように見えます。
⑦黄色銅板屋根の飛散箇所は2階屋根の南北の軒先側が捲れています。
➇グレー色楕円陶器瓦屋根は南、東面の一般部が中心です。
(ただここのお家の屋根は職人が片づけたような。詳細は後で確認しましょう)
などこの場所で住宅の屋根被害は色々です。
そして飛散箇所は竜巻の強さに比例しているのでしょう。
2009年毎日新聞の報道写真の一部
本題の「カラーベストコロニアル」屋根に戻ります。
さて前回の続きの観察に入ります。
カラーベスト系屋根施工に於いては、
防水シート(アスファルトルーフィング940)が経年変化で野地板に溶着している事です。
更に屋根固定釘廻りにアスファルトルーフィング940が溶着して、
釘廻りを包んでくれる事が重要です。
そこで、小屋裏が結露していると水蒸気が野地板を通して
アスファルトルーフィング940の裏面迄達し、野地板との溶着を阻害することになります。
この写真では野地板にアスファルトルーフィング940が
溶着している箇所は、屋根材の残っている棟部の一部です。
そして東面の南側ケラバ部にもわずかに痕跡が見られます。
詳しく観察するとこの住宅の小屋裏は何時ごろから結露していたのかが分かります。
例えばアスファルトルーフィングの溶着と結露の関係では
①新築当時から結露していた。 → アスファルトルーフィング940が野地板に殆ど溶着していない。
②暫らくして、子供が出来た頃から結露した。 → 稜線のわずかな部分が溶着している。
③かなり時間が経過し、老人が多くなった頃結露した。 → かなりの箇所が野地板に溶着している。
などの現象が現れます。
よく観察してみると野地板のあちこちが赤く変色しています。
東面の「カラーベストコロニアル」が残っています、
一般部箇所の周辺も野地板が赤くなっています。
特にタルキ位置の縦のラインで赤く変色している箇所が見受けられます。
そして赤色楕円部も薄赤色に結露しています。
この現象は
2022.11.05住宅の外部環境と小屋裏・内部環境を考える その 51『屋根の霜模様⑭』
でお話した結露発生のメカニズムの霜模様の箇所に一致します。
ただし、こちらは2階に部屋があり、さらに2階天井が続く構造です。
即ち
下記は小屋裏部屋のある桁側の写真です。
赤色楕円部は霜の付着が少ない処が2箇所あります。
その理由を考えてみました。
小屋裏の温度分布が屋根の「霜模様」に表れているようです。
下図の桁行場と小屋裏部屋の外廻りの暖気の通り道です。
室内側の暖気は天井内で種々の動きをします。
小屋裏部屋との境の暖気はハッキリと上昇気流となり、
野地板を温めていることが分かります。
この上昇気流が湿気を含んだものであり、野地板結露の原因となります。
結露発生のメカニズ ム
西側面に移ります。
写真の左上(西南側)のケラバ部の野地板が一部飛散しています。
さらに小屋裏は赤黒く変色しています。
タルキも赤黒く変色しているようです。
これは小屋裏が結露している証拠です。
北西部のケラバ角は屋根材が無く、溶着したアスファルトルーフィング940が残っています。
この状態が健全な施工法で強風に煽られた「カラーベストコロニアル」の状態です。
おそらく屋根材固定釘も残っていると思われます。
そして南西ケラバ角から軒先面の「カラーベストコロニアル」は残っています。
2009年毎日新聞の被害報道写真①
南側から観察すると妻部に換気口が見えます。
更に南西側のケラバ位置の野地板飛散がハッキリと確認できます。
この写真からこの住宅の2階小屋裏は明らかに結露していたことが分かります。
野地板がボロボロになるほどの結露ではない様ですが。
2009年毎日新聞の被害報道写真②
そして後日撮影された「防災システム研究所」の写真です。
屋根工事業者が来て、ブルーシートシートを被せたものと思われます。
ということはおそらく、毎日新聞の報道写真は
被害そのままでの状態の写真と言えるかも知れません。
2009年 防災システム研究所掲載写真
下記写真は2022年のクーグルストリートビューの写真です。
手前のセメント瓦屋根被害の住宅と同様に「カラーベストコロニアル」の住宅も撤去されています。
10数年の経過を感じる写真です。
2022年 ググルストリートビュー写真
屋根被害の実態について少し勉強することができました。
もう少し詳しく観察したいと思います。
どうもありがとうございます。