ブログBlog

2023.04.15

建物の外部被害に関わる資料 その 15 『 竜巻 ⑮ 』

顧問の坪内です。


竜巻のこの画像は現在のスマホやデジカメで撮影するものよりはかなり悪い画質です。
従って写真に映し出されている被害屋根から
種々の事を推察することは非常に難しいのです。
気象庁の発表資料をもう少し詳しく見ると
この竜巻の移動速度は60km/hです。
継続時間は15分で、北東に進んでいます。
又、低気圧性なので回転は反時計回りです。
発生場所は枕崎市塩屋南町とありましたが、
下の表ではその先の海上のようです。
以前に学んだ「空中竜巻」の渦まきの下端が
海上の空中に在
って、北東に移動しながら
塩屋南町に降りて来たのではないかと推察されます。

この地点で陸上竜巻になったようです。
日本は海に囲まれており、
米国のように地上で発生するホンマモンの「陸上竜巻」よりは、
台風や前線の発生により、海上で発生して、

陸上に移動する竜巻も多いのではないかと思われます。
別名「チューブ型砂塵竜巻」と言われるタイプより海上で発生した「空中竜巻」が陸上迄移動して
竜巻の先端(下降部)が地上に付いている状態「チューブ型竜巻」になったのではと思われます。
先端部が地上に接する大きさで被害の大小が決まりますので、
ここでは巾200m程度の大きさだったようです。


              気象庁(1990.02.19枕崎竜巻)発表


前回からのユーチューブの映像は
MBC
南日本放送(かごしま防災スイッチより)が作成されたものです。
この映像を参考にして、竜巻が発生した時の注意事項を宣伝したものです。
この資料では死者1名 負傷者18名の報告となっています。
負傷者の内訳は重傷者 不明 軽症者 不明です。
私が枕崎警察署に調査に行った時にも詳細が分からなかったのは
今残っている資料からも分からないようです。

 MBC南日本放送(かごしま防災スイッチより⑤)


更に住宅被害としては 全壊29棟 半壊88棟 一部損壊266棟となっています。
合計の被害戸数は383棟です。
又、非住家被害は 全壊 半壊 一部損壊は不明となっています。
これは消防署に行った時の混乱と同じでした。
もし竜巻が間近に迫った時には、
家の中では2階よりは1階に移動し、窓はカーテンを閉める方が良いとされています。
外出中の時にはRC造建物などのなるべく頑丈な建物の中へ避難することがお勧めです。

  MBC南日本放送(かごしま防災スイッチより⑥)


この写真は前回の写真と同様の空からのものです。
2
軒のお家とも屋根瓦は殆ど飛散しています。
そして右側のお家は野地板が一部飛散しています。


  MBC南日本放送(かごしま防災スイッチより⑦)


そして車の横転事故です。
横転事故は25件となっています。
竜巻発生の時は車に乗っていては危険であるということが良く分かります。
下の写真は飛散してグチャグチャになった瓦を降ろしています。

 MBC南日本放送(かごしま防災スイッチより➇)


屋根の上には沢山の人が上がって片づけています。
竜巻は被害範囲が狭いので、地域住民の協力が得やすいようです。
ビデオのテロップには車の横転 25例が続いています。

 MBC南日本放送(かごしま防災スイッチより⑨)


屋根の飛散現場の写真があるので少し見てみましょう。
大屋根の水平棟部分にはブルーシートが掛けてあります。
手前の少し下がった寄棟屋根の棟部分の瓦は無残に折り重なっています。
3
方の軒先部瓦は全て落下しています。
そして、軒の出部分の桁行近くの野地板が3050cm程度飛散しています。
屋根材は和型のセメント瓦です。

  MBC南日本放送(かごしま防災スイッチより➉)


下の写真も同じく和型のセメント瓦です。
野地は小幅板を30cm程度の間隔で施工してあります。
その上に杮板の幅広な板を縦葺きにして瓦を載せています。
この状態からは土は載せていないように見えます。

  MBC南日本放送(かごしま防災スイッチより⑪)


トラックを横付けして、瓦を載せています。
先の竜巻も同じように人々の協力で被害の後片づけをしていました。

  MBC南日本放送(かごしま防災スイッチより⑫)


今から30数年前の出来事なので少し記憶は曖昧でした。
前回に竜巻発生から2日後位に枕崎に行ったかなと思ったのですが、
そう言えば消防署に行った時、「23日前の水害被害が酷くて、竜巻被害どころではない」
と言われていたような気がします。
そこで枕崎の気象を調べて見ると222日に141.5mmの雨が降っています。
私が、枕崎に行ったのは24日頃になります。