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2023.05.27

建物の外部被害に関わる資料 その 17 『 台風 ② 』

顧問の坪内です。

今回から、また台風のお話に戻ります。
竜巻のお話から「藤田スケール」と建築基準法の「風圧力」のお話・更に風力階級迄、
風のお話を半年も続けてきました。
因みに竜巻のスタートが2022.11.19です。
これからがやっと「本番」というところです。
前回の台風のお話で、1950年の建築基準法における風の考え方の話を、
『建築物の強風災害 -100 年の教訓-』の題で「神奈川大学 大熊武司先生」の論文を引用して学びました。

現在使用されている「風圧力」の話は「室戸台風は我が国耐風設計法の近代化の原点ともいうべき事象で、
911hPaという極めて 低い中心気圧を維持して、1934912日未明、室戸岬に上陸した。この台風は正午には 新潟に達したが、その間、関西地方は京阪神地帯を中心に未曾有の風水害を受けた。

とこの「室戸台風」が原点とされています。

建築基準法は1950年に同施行令・同施行規則とともに制定され、
建築基準法の第1条に「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、 もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする」とあり、最低基準であることが明記されている。と記されていま
グーグル地図 赤色矢印破線が台風進路

独立行政法人 建築研究所 奥田泰雄氏は(日本金属屋根協会・日本鋼構造協会)の建築基準法の風荷重関係規定についてと言う講演で「建築基準法の風荷重関係規定の変遷」について分かり易く記されています。
以下引用しますと

建築基準法は最低の基準で
このときに風荷重に関する規定は、施行令第87条において、
p
c×q q60√h で示されています。
ここに、
p
:風圧力(kgf/㎡)、
c
: 風力係数、
q
:速度圧(kgf/㎡)、
h
:地盤面からの高さ(m)である。
この規定は、日本建築規格建築3001 JES30011947)に
速度圧qは、室戸台風(1934)時の室戸岬での高さ15mにおける観測値(最大瞬間風速約 63m/s)に基づいて規定されたものであり、全国ほぼ一律の風圧力を与えるものであった)


このようにして室戸台風を参考にした記録は建築界では
最低気圧911
hPa
最大瞬間風速63m/s
観測時の風速計の高さ 15m
が一般的になっています。

そこでこれらの測定記録値がどの様に決められたかを調べてみることにしました。
まず、「四国災害アーカイブス」の掲載文を参考にしてみます。

最初の数字 1.
1934 2.1972 3.1977 4.1979 5.2003 6.2003 は年台別の古い順です。
又、地図の中のア イ ウは地名場所です。
赤色矢印破線は室戸台風上陸進路です。


  グーグル地図 赤色矢印破線が台風進路


5.昭和9年の室戸台風 2003
概要 ア 羽根村

昭和9年(1934921日午前5時、室戸台風が奈半利町と羽根村の境付近に上陸し、
5
10分には
低気圧の世界記録である911.6ミリバール、瞬間風速65を記録した。
雨量も室戸岬町茶畑では総雨量684ミリを記録し、羽根村から室戸岬町には高潮が襲来し大被害を受けた。
高知県下の被害は死者81人、負傷者399人、行方不明34人、家屋の全壊1,815棟、半壊2,353棟、床上浸水3,711棟等であった。
県下では羽根村の被害が最も大きく、死者18人、負傷者49人、住家の全壊103戸、半壊95戸等に及んだ。

参考文献
山本武雄「室戸岬測候所と羽根を襲った台風」(土佐史談会「土佐史談第224号」、
2003
106-108
頁情報源の種類 学術論文、雑誌論文

3.
 室戸台風 気象観測 講演 
高知県室戸市 災害種類 風水害 1977
概要 イ 佐喜浜 
昭和9年(1934921日、室戸台風が襲来した。
室戸岬測候所の観測によると、
瞬間風速6570mの世界最大級の記録で、風速計が壊れた。
被害は、家屋全壊40戸、半壊500戸、負傷者20人であった。
この時の時化で、庄屋の山の名木「二本松」が倒壊した。
参考文献
佐喜浜郷土史編集委員会編「佐喜浜郷土史」(佐喜浜郷土史編集委員会、
1977)、
411-412
頁情報源の種類 市町村史、郷土史

4.高知県 災害種類 風水害  高潮 1979
概要 ウ 奈半利 ⑤室戸市耳崎
昭和9年(1934921日午前5時、台風が奈半利町に上陸し、その後東北進した。
室戸で観測した最低気圧は684ミリ、最大瞬間風速65、最大風速45mで、後日室戸台風と名付けられた。
県下では安芸郡の被害が最も激甚であった。
被害の最大原因は高潮で、高潮の高さは須崎港で4m、吉良川で67m、室戸付近で1213mに達した。
10
5日現在の県下の被害は、死者94人、行方不明28人、負傷者508人、
全壊851世帯、半壊1,997世帯、流失346世帯、床上浸水934世帯、床下浸水1,757世帯に及んだ。
室戸市耳崎には昭和風水害之碑が建立されている。

         室戸市耳崎


参考文献

高知県警察史編さん委員会編「高知県警察史 昭和編」(高知県警察本部、1979年)
1056-1059
頁及び1072頁情報源の種類 市町村史、郷土史

1.高知県室戸市 災害種類 風水害  1935
概要
昭和9年(1934921日午前5時、台風が室戸岬の西に上陸した。
その時の
気圧は684.0ミリ、風速は20分平均45m/秒、瞬間風速は60m/秒以上に達した。
この記録は、関西方面に未曾有の大被害をもたらした
室戸台風に関する気象観測の結果を説明した講演記録である。
参考文献
藤原咲平「(講演)関西風水害を起したる室戸台風に就て」
(土木学会編「土木学会誌Vol.21-8
1935年)

1049-1059頁 情報源の種類 学術論文、雑誌論文



2. 高知県室戸市 災害種類 風水害  1962
概要

昭和9年(1934921日、室戸町を中心に安芸郡東部は大暴風雨の襲来を受けた。
20
日の夕方はきれいな夕焼けで、町民は
台風はどこかにそれたであろうと安心感を持っていたようである。
ところが、21日午前4時頃突如として
風速66m、気圧684ミリの室戸台風が上陸した。
続いて10数mにも及ぶ海嘯が3回来襲した。
この台風により、室戸町では、死者10人、行方不明4人、重軽傷者118人、
流出・全壊住家239戸などの被害が出た。

参考文献
室戸町誌編集委員会編「室戸町誌」(室戸町、1962)、
468-471
頁 情報源の種類 市町村史、郷土史


   室戸市グーグルマップでのの建立碑位置


6.昭和9年の室戸台風 2003
災害年月日19340921日 市町村 高知県室戸市災害種類 風水害  高潮  

概要

昭和9年(1934921日、室戸台風が襲来した。
この台風を小学校1年生で体験した筆者が、台風の時の家の様子や台風後の浜の様子、
三高小学校の被害の様子などを記している。
また、室戸台風に伴う高潮襲来に関する碑等の記述のほか、被害状況を示す写真も掲載している。
室戸市室戸岬町の旧国道沿いには室戸台風に伴う高潮襲来地点に関する碑が建立されている。
参考画像
   
    ① の建立碑           ② の建立碑          ③ の建立碑           ④ の建立碑



参考文献
島村泰吉「記憶の中の室戸台風」(土佐史談会「土佐史談第224号」、
2003年)
111-114
頁情報源の種類学術論文、雑誌論文

7
.昭和9年の室戸台風
昭和9年(1934921日、室戸台風が襲来した。
室戸岬測候所
の風速計が60の風速を記録したまま吹き飛ばされたほどの猛烈な台風で、
高岡でも住宅の倒壊3戸、半倒壊4戸位、非住宅家屋の被害は甚だ多かった。
稲の収穫が終わっ []

8. 昭和9年の室戸台風

昭和9年(1934921日、室戸台風が襲来した。
室戸岬測候所の観測によると、瞬間風速6570の世界最大級の記録で、風速計が壊れた。
被害は、家屋全壊40戸、半壊500戸、負傷者20人であった。この時の時化で、庄屋の []

などの表現となっています。
因みに各々の数値と出典を比較すると
1.
60m/秒 藤原咲平「(講演)関西風水害を起したる室戸台風に就て」
         (土木学会編「土木学会誌Vol.21-8
1935年)
2.
66m室戸町誌編集委員会編「室戸町誌」(室戸町、1962)、
3 .6570m 佐喜浜郷土史編集委員会編「佐喜浜郷土史」(佐喜浜郷土史編集委員会、1977)、
4. 65m 高知県警察史編さん委員会編「高知県警察史 昭和編」(高知県警察本部、1979年)
5. 65m 山本武雄「室戸岬測候所と羽根を襲った台風」(土佐史談会「土佐史談第224号」、2003
6.無し  島村泰吉「記憶の中の室戸台風」(土佐史談会「土佐史談第224号」、2003年)
7.
60m 
8 6570
となっており63m/sは一つもありません。

ここで興味あるのは表記されている単位(m/s)(m/)です。
単位をm/秒まで記されているのは藤原咲平博士だけです。
発生した数値を大切に扱われたのは藤原咲平博士で、他の書籍は発生した事象が大切で、数字にこだわりは無かったような気がします。

今日はこの辺りで、

ありがとうございます。