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2023.08.26

建物の外部被害に関わる資料 その 26 『 速度圧 ④ 』

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援頂いてありがとうございます。

2023.08.05
の速度圧②のブログで
風圧力の大きい箇所(軒先部、ケラバ部、棟部)の補強は接着剤です。
接着剤補強は上部材料の裏面と下部材料の重なり部に塗布します。
即ち、塗布されているか否いかの判定が出来ないのです。

例えば「この屋根材は風速60m/sに耐える施工法です。」
と言えるのは
①目視で確認できる事
 (補強部品が目で確認される。)
②防水性能が確実な事
 (防水試験で確認する。)
③耐風性能が確保されている事
 (耐風試験で確認する)
などが挙げられます。

下図の青色と緑色を合わせた形が発売当初のコロニアル形状です。
その屋根材に赤色部分に4本の釘を留めます。
4
本の釘で風速60m/s程の風に耐えるよう設計してあります。
標準施工の場合は緑色で囲んだ面積が暴露部分となります。
即ち耐風の時に風の負圧力を受ける箇所です。
この箇所に上向きの力が働きます。

中釘を1本打たずに3本で止めると例えば風速53m/sで材料破壊し飛散します。
中釘を2本打たずに外釘2本で止めると例えば風速42m/sで材料破壊し飛散します。
ところが釘が4本で留めてあるか否かは表面からは確認できないのです。

台風の飛散現場を調査するとこのように釘が留められていない現場があります。
職人さんに適正な施工費を支払っていれば、この様な事は無いのですが。
安くしろ、速くしろと言われる工務店には職人がたまに仕返しをする事があります。
台風の時に飛散して、結局はお施主様や世間に迷惑を掛ける事となります。

さて、補強対策に移ります。
現在のkmewの施工説明書には下図のように、
釘とビスでの補強位置が示されています。
補強箇所は茶色防水シートの箇所補強ビス()2本、
下端から80mm、両側から150mmの位置です。

     旧形状コロニアルの補強位置


この補強の位置を決めるには計算上で決まるのですが、
本当にこの位置が正しいのかを調べるには実験が要ります。
その実験の風景が面白く失敗をしたので紹介します。
暴露部分に等分布荷重が掛ると考えると
分布荷重で一番手っ取り早いのは小さな球状です。
重さが在り、均等な球状はパチンコ玉です。
重さも形も均一で、重心から重心までの距離も均一。
あっという間に均一に散らばってくれます。
早速、枠型を作ってパチンコ球を入れると
パチンコ球の荷重でⒶ Ⓑ Ⓐの先端部が撓み
バラバラと落ちてしまったのです。
何故こんな簡単な事が分らなかったのか、実験は失敗です。()
綺麗な等分布荷重にこだわり過ぎての失敗です。
次は落ちない工夫をして、この実験を成功させました。

         コロニアルの破壊試験


上図のコロニアルに2本の補強釘(ビス)を留める事で、
暴露部分の緑色部を6本の釘(ビス)で固定すれば良い事になります。
そうすればコロニアル形状図のⒶ部とⒷ部に大きな荷重が掛り、
コロニアルが破壊するのはⒷの箇所か
補強箇所の釘(ビス)廻りとなります。
この位置で十分余裕を持って補強施工とする事が出来ました。
これで当初計画の
①目視で確認できる事
 (補強部品が目で確認される。)
③耐風性能が確保されている事
 (耐風試験で確認する)
の二つの目的が達成されました。
次に②防水性能が確実な事
 (防水試験で確認する。)
です。
皆さんも良くご存じなようにこの「防水性能が確実な事」が一番重要で難しいのです。
しかも長期に(最低でも30年程度は保持させたいのです。)
下図はkmewの耐風施工法の施工説明書に書かれている断面図です。
この断面図で一番重要な箇所は何処だと思われますか。
屋根工事屋さんの殆どが「強風補強ビス():シリコンパッキン付き」と答えると思います。
そして、このシリコンパッキン付きのビス()の箇所にシリコンシーリングをたっぷりと塗布しますと。
シリコンシーリングは耐久性は良いのですが、
経年変化で添加剤の一部が流れ出し周囲を汚染します。
汚染しないためには加工したシリコンが必要です。
この補強ビス施工法の当初の構造は、
ワッシャ+パッキン+補強ビス
でした。
ところが私が知らない間にコストダウンの一環で、
ワッシャ+補強ビスの形のビスを開発され使用されたのです。
ワッシャ+パッキン+補強ビスの防水構造は補強ビスを締めると
ワッシャは垂直に移動し、パッキンを圧縮して防水性を発揮します。
ところが、ワッシャ付補強ビスはビスを締めると
パッキンも一緒に回転してパッキンがネジキレるのです。
この改良(?)の内容について私は全く知らなかったのですが、
事件の発生した営業より連絡があり、変更の事実を知ったのです。

水密性を確保するパッキン系やシーリング材の難敵は紫外線です。
この紫外線をカットすることが耐候性を高める最良の方法です。
次の改良形状は、ワッシャ付補強ビス頭の首下を座ぐり窪みを作り、
この中にパッキンの入る形状を考えY社に製作以来したのです。
怪我の功名から出た形状で、今ではY社の主力商品でもあるようです。

さて初めの質問の
この断面図で一番重要な箇所は何処だと思われますか。
に戻ります。
下の断面図で一番重要な箇所は屋根材と屋根材に挟まれている「防水補助シート」です。
そして、この補強ビスが留めてある位置も重要なのです。
そうです。両側から150mmの位置で先端から80mmです。
コロニアルの防水性能確保の考え方
先端から50mmを確保しています。
さて文章で書くと何のことやら分かりませんが、私が50年養ってきた
「化粧スレート系屋根材の防水理論」の1項目です。
2020
年から「イケコウブログ」を書いていますが、
建物の防水に関してはまだ少ししか触れていません。
2020
4月17日~74日まで「雨漏りの路」を考える題名で、
外壁の雨漏りの事を少し書いています。
興味のある人は振り返って読んでください。

一番重要な箇所は「防水補助シート」です。の考えです。
まず初め、この「防水補助シート」は屋根材と屋根材の間に挟み機能します。
なので、紫外線の影響は受けません。
開発当時の通称名は「ゴム化アスファルトルーフィング」です。
現在は「改質アスファルトルーフィング」と言っているようです。
このシートはH社にお願いして製造して頂きました。
通称は「K-8シート」と言い開発がK-1.K-2.K-3・・・・・・ K8
8
回改良を行って出来たシートです。
言わばこだわりKシートと言えます。
このシートは施工時に裏面にある剥離紙を外して、
粘着層を下にして施工します。
施工後直ぐに台風が来ても防水は大丈夫です。
シート基材は不織布ですので、
回転のあるビスで穴を開けても大丈夫です。
そして、熱を加えると表面が融けて、
上のコロニアルの裏面に接着されるのです。
このようにして開発した施工法は510年後とモニター施工をチェックすると
経年の水路やホコリ位置が分るのです。

        コロニアルの耐風施工法


先般、1968(昭和43)施工のコロニアルを葺き替えましたが、
屋根材はコロニアル
防水材はアスファルトルーフィング940(当時はアスファルトルーフィング22kgと呼ぶ)
野地板は杉の小幅板(縮んでいましたが)
は健全で、この耐風施工法も50年程度はOKの感を得ました。

以前にもお話しましたが、「化粧スレート」は1960(昭和35)に日本に上陸して、
1970
年~1980年代に掛けて30万坪/月~60万坪/月も生産されました。
この時代に法律に遵守した新施工法の開発や標準施工法の普及が活発に行われました。
その中の一つとして、「スカイモルの開発」や
「耐風施工法」(高層建物施工法・沖縄・離島地域施工法)
が行われたのです。
風を扱う私たちが信頼する「速度圧」は

の式なのです。

ありがとうございます。