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2024.01.27

建物の外部被害に関わる資料 その 36 『 台風21号 ⑥ 』

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援頂いてありがとうございます。 

前回、学んだ台風2018.21号の大阪湾内での被害は関西国際空港被害を代表とする高潮でありました。
大阪市では最
瞬間47.4m/sを観測し、45m/s以上を観測するのは半世紀ぶりであるとの情報もありました。一方、大阪府内の被害は車両の横転が発生したり、大型看板の破損などが多数発生しました。
また市内全域で約8,430本の樹木が倒壊したことも報告されています。

更に泉南地区を中心にした建物被害も甚大でした。建築用クレーンの転倒や、建築工事用足場の倒壊、
特に高層ビルでの被害はJR阪駅からほど近い、高さ173.05 m新梅田シティの梅田スカイタワー各部でガラス破損など被害を受けました。

    大阪管区気象台の場所(グーグルルマップ)


梅田スカイタワーの高層階でガラスが破損したとの情報があった時、
原因は何かの興味はありました。
ガラスの補修は201811月に行われています。下の写真はその時期のものと思われます。
この時のグーグルストリートビューで確認すると
①タワー・イーストの高層階で南側の窓ガラスは割れたままです。
②タワー・ウエストの南側、吹き抜け近くの部分の窓ガラスは補修されています。
③ビルの中程に②のガラスの補修用のゴンドラがあります。
 そして屋上で作業中のタワークレーンが見えます。
④屋上庭園の下の軒天が破損しています。


  梅田スカイタワー(グーグルルマップ年201811月)


台風201821号でタワー・イーストの高層階で南側の窓ガラスが1カ所破損しています。
ガラスの破損状況から考えると何か飛散した物体が当たり破損したように見えます。
おそらく窓の左下部分に衝突したと考えられます。


 破損したスカイビルの窓ガラス(毎日新聞報道より)


②台風201821号でタワー・ウエストの東側、吹き抜け部横に面した部分の窓ガラスが破損しています。
割れたガラスの隙間から構造部材と思われる部材が見えます。
2018
11月には補修されています。

破損したスカイビルの窓ガラス(毎日新聞報道より)


④空中庭園の下の軒天井のパネルが1枚落下しています。
この場所ではどのような風が吹いたのでしょうか。
又、このような箇所の被害はどの様にして補修するのでしょうか。
工事の様子を見るとなるほどと思うでしょうけれど。


破損したスカイビルの軒天井(毎日新聞報道より)


4日午後2時50分ごろ、大阪市西区江戸堀のビル解体工事現場で、
解体中のビル壁一面に組まれた足場が、台風201821号の強風にあおられて崩壊しました。
一部は道路を挟んで隣のビルにもたれかかるように崩れ、
足場の外側を覆っていた金属製のパネルがビルに面した歩道に大量に落下しました。
幸い怪我人はいなかったようです。

     仮設足場の風災(大阪市内時事通信)


下の写真は同ビルの向かい側から撮影したユーチューブの一部です。
少し危ない時からこのような状態まで撮影されたようです。

大阪府警西署によると、付近にいた男性から

「パネルが落ちてきた」と通報があったようです。


   仮設足場の風災被害(大阪市内時事通信)


一方、京都や奈良は内陸にあるので、他の関西圏と比較して、
比較的災害に強い都市と言われています。
京都の地方気象台は町中の京都市中京区西ノ京笠殿町にあります。
台風201821号時には平均風速21.8m/s・最大瞬間風速39.4m/sでした。


    京都地方気象台の場所(グーグルルマップ)

台風2018.21号で4日午後、京都・嵐山の観光名所、渡月橋(京都市右京区)
全長155mの東側の欄干が歩道側に倒れたと同市西京土木事務所から発表がありました。
ご覧の様に東(下流)のヒノキの欄干が100mほど歩道内に倒壊しています。

    道路側に倒れた渡月橋の欄干(共同通信)

渡月橋の歴史は836年(承和3年)に僧である道昌が架橋したのが始まりとされています。
当初は100m200mほど上流にあったと言われ、
橋の南にある法輪寺に因んで「法輪寺橋」と称されていたようです。
鎌倉時代に
亀山上皇が橋の上空を移動していく月を眺めて
「隈なき(雲の無い)月の渡るに似る」と感想を述べ「渡月橋」と命名されたと言われています。
付近は洪水が多く橋はたびたび流失し、応仁の乱など戦乱による焼失もあったようです。
1606
年(慶長11年)に
角倉了以によって保津川の開削工事とともに
現在の位置に架け替えられ現代にまで残る渡月橋の原型となり、
葛飾北斎の版画にもなっています。
1934
年 (昭和9年)に現在の渡月橋が鉄筋コンクリートで造られたため、
橋が流失、破損するなどの被害は抑えられたと言われています。(ウィキペディアよりをアレンジ)

     
渡月橋・葛飾北斎(ウィキペディアより)

次第に京都の神社仏閣等の建物や樹木の被害が報告され、貴船神社(叡電)・下鴨神社・平野神社・平安神宮・京都御所・二条城・建勲神社・北野天満宮・大覚寺・嵐山(嵐電)・車折神社・八坂神社・清水寺・西本願寺・伏見稲荷神社・宇治神社の被害状況が分って来ました。
201821号の影響で、西本願寺には重要化財「阿弥陀堂」の檜(ひわだ)葺き屋根の部がはがされたり「南能舞台」の南側の塀が倒壊しました。
右側写真が整備された能舞台で
赤い矢印の箇所が倒壊した塀です。
   
         西本願寺南能舞台裏の                 西本願寺南能舞台(西本願寺HP) 
       塀倒壊(時事通信) 

ここで少し屋根形状について学んでおきましょう。(ウィキペディアより)
西本願寺南能舞台は桁行一間・梁間一間で、切妻造(きりづまづくり)の檜皮葺(ひわだぶき)です。
切妻造は屋根の最頂部の棟(むね)から両側に葺き下ろし、その両端を棟と直角に切った屋根の形式です。
切妻造は本を開いて伏せたような形で、平行な面を平(ひら)、棟と直角な面を妻(つま)と言います。
切妻造は古くは真屋(まや)とも言われ、
伊勢神宮(いせじんぐう)・出雲大社(いづもたいしゃ)などの社殿に採用されています。
因みに四方向に傾斜する屋根面を持つ寄棟造(よせむねづくり)よりも格式が上とも言われています。
なお切妻造は世界各地で見られる屋根の形式です。
檜皮葺は屋根葺手法の一形式です。
檜皮葺では檜(ひのき)の樹皮を用いて屋根を葺きます。
檜皮葺は日本以外では見られない日本古来の手法です。
檜皮葺は飛鳥時代の668年(天智天皇7年)に
滋賀県大津市の廃寺・崇福寺(すうふくじ)の諸堂が檜皮で葺かれた記録が最古の記録です。
因みに西本願寺の北の能舞台は入母屋造りで、日本で一番古く国宝に指定されています。
下の写真の赤色楕円部が倒壊した塀です。

  西本願寺南能舞台裏の塀(グーグルルマップ )

建物の外部被害に関わる資料 『 台風21号 ① 』から『 台風21号 ⑥ 』で台風201821号の規模概要や被害の実態を知ることが出来ました。
次回からは屋根を中心にした被害分析の話に移ります。
宜しくお願いします。

どうもありがとうございます。