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2024.03.02

建物の外部被害に関わる資料 その 41 『 台風21号 ⑪ 』

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援頂いてありがとうございます。 

以前にもお話しましたが屋根の被害を調査するのに重要な事は調査母体がどの様になっているのかです。
住宅支援機構の平成29年度屋根データーでは
1.
度別屋根材(平成7年度、平成11年度、平成14年度、平成19年度、平成24年度、平成29年度)
2.地域別屋根材(平成29年度)
3.屋根形状別屋根材(平成29年度)
のデーターが発表されています。
時間があれば過去の諸書のデーターを調査出来ますが、
現実被害前の情報を得る事は不可能です。
地震被害調査の場合は事故後の現地調査でいくらか分かります。
少し感触を掴むためここでは過去の住宅着工戸数と地震・台風の発生災害年度を調べて見ます。
赤印縦ラインの箇所は住宅支援機構が発表している①平成7年度、②平成11年度、③平成14年度、④平成19年度、⑤平成24年度、⑥平成29年度の住宅着工数です。更に国土交通省の発表している総戸数は①148万戸②123万戸③115万戸④104万戸⑤99万戸⑥91万戸です。
戸建住宅がどの程度あるかの統計は無く、住宅着工戸数の半数程度とされています。
更にここ数年の住宅着工戸数は85万戸前後で推移しています。
従って1988(166万戸)に比較すると35年で半減しています。

過去の台風・地震と住宅着工戸数の推移(国土交通省発表を参考)


ここで過去の住宅ストックの量を考えてみます。
下記は国土交通省が平成30年に作成した建築年代別の住宅ストック総数です。
丁度、台風21号が上陸した年です。
平成30年には住宅ストックが総数約5,362万戸あります。
その内、昭和55年以前の旧耐震と言われる地震に弱いとされる住宅が1,162万戸あります。
そして、昭和56年度以降に建築された住宅が3,612万戸あります。
3,612
万戸の住宅の内、少し地震に弱いと考えられている住宅(19811999)1,957万戸あります。
今の時点で地震に強いと考えられている住宅が1,655万戸あります。

建築年代別住宅ストック数の推移(国土交通省資料)


次に現状で分かる住宅支援機構データーを調べて見る事とします。
新築屋根材種類の項目としては下記の様になっています。
①和瓦 ②スレート瓦系 ③ガルバリュウム鋼板等 ④ガルバリュウム鋼板等以外 ⑤屋根一体型太陽光パネル ⑥その他

1.
年度別屋根材(平成7.年度、平成11年度、平成14年度、平成19年度、平成24年度、平成29年度)
平成7年年度から平成29年度の屋根材シェアー推移をみます。
①和瓦               27.4% 18.7%
②スレート瓦系           46.4% 32.7%
③ガルバリュウム鋼板等      22.6% 37.8%
④ガルバリュウム鋼板等以外     0% 4.3%
⑤屋根一体型太陽光パネル    0% 1.4%
⑥その他              3.5% 5.2%
③④と合わせた金属系屋根材の伸びが顕著に表れています。
金属系屋根材としては42.1%でこれからは半数を超すのは確実と思われます。
和瓦系が少なくなり、金属系が伸びた一番の理由は
やはり地震の影響と思われます。実情もデザインも。
確実に重たい屋根(重厚感)から軽い屋根(軽快菅感)への移行です。


        年度別屋根材のシェア表 


これらの資料を棒グラフにして見ます。
先の調査で平成7年度の全国シェアーが近畿地区のシェアーに近いことが分っています。

     年度別屋根材のシェア比較棒グラフ


2.地域別屋根材(平成29年度)
近畿地区シェアーと全国平均シェアーの屋根材シェアー比較をみて、更に平成7年度と比較します。
緑色数値が平成7年度
①和瓦               18.7% 16.1%27.4%
②スレート瓦系           32.7% 44.9%46.4%
③ガルバリュウム鋼板等      37.8% 31.8%22.6%
④ガルバリュウム鋼板等以外    4.3% 1.5%
⑤屋根一体型太陽光パネル   1.4% 2.4%
⑥その他              5.2% 3.3%3.4%
近畿地区シェアーは②のスレート系屋根材⑤の屋根材一体型太陽光パネルが
全国平均より高いシェアーに表れています。
和瓦は平成7年度では27.4%のシェアーを持っており
それ以前では60%以上のシェアーを持っていました。


     地域別屋根材のシェア表


これらの資料を棒グラフにして見ます。
全国平均に似たシェアーの地域は近畿地区と関東地区と言えます。
そして首都圏でのスレート瓦のシェアーは高く61.9%あります。
首都圏では40年以上この傾向は続いています。

    地域別屋根材のシェア比較棒グラフ


3.屋根形状別屋根材(平成29年度)
屋根形状別のシェアーは黒色数字をみます。
①和瓦               18.7% 50.0%(入母屋屋根)
②スレート瓦系           32.7% 54.3%(寄棟屋根)
③ガルバリュウム鋼板等      37.8% 70.1%(片流れ屋根)


      屋根形状別屋根材のシェア表


これらの資料を棒グラフにして見ます。
切妻屋根と寄棟屋根は和瓦とスレートが多くあります。
入母屋屋根は歩と等が和瓦となっています。
寄棟屋根はスレート瓦が多いようです。

  屋根形状別屋根材のシェア比較棒グラフ

一方、台風201821号屋根被害の項目としては過去使用された屋根材が主体で調査したインターネットの写真を見て
和瓦(陶器瓦、粘土瓦、セメント瓦、洋瓦等)              
スレート(フルベスト、パミール、カラーベスト、ナチュール、大和スレート等)
金属(折版・瓦棒・横葺き・平板系の亜鉛鉄板)      
波スレート(大波スレート、小波スレート等)   
アスファルトシングル(日本製、アメリカ製、カナダ製等)  と分類しています。

住宅支援機構の屋根材分類項目
①和瓦②スレート瓦系③ガルバリュウム鋼板等④ガルバリュウム鋼板等以外⑤屋根一体型太陽光パネル⑥その他
を見て私にはどうも違和感があり、支援機構の過去・分類を探して見ると平成11年度の屋根種類の項目は
①粘土瓦(和形)②粘土瓦(洋形)③セメント・スレート瓦:和形④セメント・スレート瓦:洋形⑤セメント・スレート瓦:彩色石綿板⑥ 金属板⑦その他
となっており、屋根種類を分類した雰囲気が少し分るのようです。
例えば重量・素材系で分類するのなら①粘土②セメント③金属(耐震資料に使用可)
形状系で分類するのなら①厚型②薄型
デザイン系で分類するのなら①和型②洋型③自由変形
などの組み合わせとするなど、何らかの方向性を示して提案して欲しいものです。

住宅支援機構平成11年度素材・形状・デザイン比較によるシェア表



住宅支援機構平成11年度素材・形状・デザイン比較によるシェア棒グラフ

今後は何かもっと興味ある分類でシェア比較ができるデーター発表を期待します。

ありがとうございます。