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2024.03.23

建物の外部被害に関わる資料 その 43 『 台風21号 ⑬ 』

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援頂いてありがとうございます。 
それでは屋根の種類による被害分析に移ります。
瓦屋根の被害(378)
 ほとんどの瓦下地は土葺きで、2000年以前の物件です。
 特に関西では瓦文化が主流でしたので、
 19601985年代の築年数が30年以上の物件被害が多かったようです。
 (写真をよく観察すると1970年前後流行の青緑瓦も多いようです)
 瓦の被害を分類してみますと
 軒先部の被害(26件 7%)
 
一般部の被害(108件 33%)
 水平棟部の被害(126件 36%)
 隅棟部の被害(67件 19%)
 ケラバ部の被害(21件 6%)


  瓦屋根の場所別被害数(棒グラフ)

瓦の被害件数は一般部と水平部は30%でほぼ同じ件数です。
両部を合わせると70%近くになります。

   瓦屋根の場所別被害数(円グラフ)

1) 軒先部の被害(267)
  土葺きの屋根も軒先瓦は銅線等で固定されているものもあります。
  固定法や施工法により被害に差があると考えられます。
  軒先部が破損している現場は、ほとんど同時に樋も破損している場合が多いようです。
  一体化して風の影響を受けていると考えられます。
  下記が軒先部被害の26件の被害写真です 。
  被害の詳細検証はもう少し先で行います。

台風2018 21号時の和瓦軒先被害(インターネット被害写真より)

2) 一般部の被害(10833)
  2000年以前の陶器瓦・粘土瓦で波型の物件はほとんどが土葺きです。
  陶器瓦も粘土瓦も焼き物です。
  特に古い瓦は登り窯で焼きますので、火の通りが均一ではありません。
  微妙に歪んだ瓦になります。
  私の田舎は島根の石見です。
  特産と言えば高温で焼いた凍害に強い「石州瓦」赤瓦・黒瓦です。
  高温で焼くので歪が大きく良品率が悪く高価になります。
  この歪んだ瓦を真っ直ぐに見えるよう施工するのが、
  職人の腕、土葺きの技術・技量と言われています。
  瓦の講釈はこれ位にします。(私は瓦の専門家ではありませんので)
  下記は瓦の一般部の被害108枚の写真です。