2024.04.27
破損が一枚だけの場合は必ず何らかの理由があるはずです。
それ以外は施工ミスや強度不足等の
耐風性能低下による飛散が考えられるからです。
スレート系屋根一般部の被害②
3) 水平棟の被害(72件39%)
目立って多いのは水平棟の被害です。
水平棟は屋根全体の一番高い部位なので良く目立ちます。
水平棟被害のほとんどは金属板金(棟包役物)の飛散です。
原因としては、
金属板金固定下地笠木(貫板)に関わる事です。
まず初めに、笠木の寸法不足です。
メーカー施工説明書にはサイズは18×90と記載されていますが、
実際には寸法が15×90や12×90の物が多くあります。
更に悪いのは「ミミ付き」と呼ばれる端材を使用してある物件です。
いずれの材料も固定の釘が材料の真ん中に止められない事です。
特に薄い材料は釘を打ち込んだ時破損して、
正確な保持力が得られない事です。
又、後述しますが酷い現場では15×45の胴縁を
使用している現場もあります。
スレート系屋根水平棟の被害①
更に防腐処理していない笠木の経年による腐朽です。
古い現場では笠木のほとんどは防腐処理してありません。
屋根材メーカーは防腐処理していない笠木の場合は
笠木の上にはアスファルトルーフィング940を被せる事を奨励しています。
(この施工法は笠木の腐朽防止に良い効果を表しますので後述します)
更に固定釘の保持力不足です。
特にストレート釘は抜け易く、施工1ヶ月程度で浮いてきます。
又、固定釘の本数不足等もあげられます。
スレート系屋根水平棟の被害②
特に木製貫板の腐朽による釘保持力不足が主原因と考えられます。
木製貫板の腐朽に関しては、日中型結露に起因することが多く、
後で詳しく説明します。
4) 隅棟の被害(84件46%)
隅棟部の被害に付いても水平棟と同様に金属板金の飛散が多数です。
役物固定釘の保持力不足、
固定釘の本数不足等が上げられます。
釘の保持力不足については「水平棟」の笠木(貫板)と同様なことが言えます。
台風性能から考えると「笠木」に固定する釘の本数や
太さ、長さは重要な性能の一つです。
1本当たりの釘の性能を確信して、
計算された風圧力で固定しているからです。
スレート系屋根隅棟の被害①
例えば役物固定釘は半径2.7mmで長さ32mmの
形状はスクリュー・リング釘となっているのです。
標準地域では、この釘を450mmピッチ(間隔)で笠木に固定するのです。
風の強い地域・場所では釘のピッチ(間隔)は300mmです。
釘の材質はステンレス製(SUS304)です。
線形の形状は細い円柱ですので、通常は細いストレートの爪楊枝状です。
この形状では外力に振動や捻じれが加わると抜けてきます。
一番良く保持力が得られるのはこの円形表面に
円状ギザギザを付けたリング釘です。
ところがリング釘は円状ギザギザを付けるので
腰が弱く曲がり易いのです。
そこで腰を強くするには線形に
捻じれを加えたスクリュー形状にします。
スクリュー形状は線材を捩じり、加工硬化を加えて金属が硬くなります。
スクリューの形状だけではストレート釘と同様に
振動や捻じれが加わると抜けてきます。
そこで、スクリュー形状とリング形状を合わせたスクリューリング釘(リングスクリュー)の登場となるのです。
スレート系屋根隅棟の被害②
この釘の事は昨年の
2023.09.02 建物の外部被害に関わる資料 その 27 『 速度圧 ⑤ 』
のところで少し詳しくお話しました。
次の大きな原因は水平棟と同様に、金属板金固定下地笠木(貫板)の腐朽です。
特に木製笠木の腐朽による固定釘保持力不足が主原因と考えられます。
隅棟部の木材部は雨水の入水量が水平棟よりは多く、加えて結露現象も顕著です。
通常寄棟形状の屋根では1本の水平棟に対して
4本の隅棟があり、条件が複雑なことも考えらます。
又、隅棟の勾配は緩く、雨水も集中する形状だからです。
スレート系屋根隅棟の被害③
5) ケラバ部の被害9件0%)
スレート屋根材のケラバ部の納まりは色々あります。
その中でも風に強く雨漏りし難く、施工性の良い事が需要です。
今回の報道写真の中では被害件数は9件あります。
いずれもケラバ部が風により飛散したものです。
メーカーの進めているケラバ部の納まりは風に強い納まり(構造)です。
ケラバ金属役物をのぼり木に確実に固定すれば、
かなりの強風に耐えることが分っています。
ケラバに使用されている金属役物にはスレート本体が飛散し難いように
スレート本体を抑える形に凸状の爪が付いています。
この爪で強風時にフラッタリングと呼ばれる振動を抑え
スレート本体が飛散し難くなっています。
ケラバ金属役物が破損している現場の殆どは、
金属役物を固定する「のぼり木」が無い場合か、
のぼり木に役物固定釘が止められていないものが多いのです。
スレート系屋根ケラバの被害
下図は屋根メーカーが指導しているケラバの納まり図です。
①ケラバ水切り 輸入先の米国ではこの爪は無く、カラーベストのレジェンド益野浩氏の考案によるものです。
②下葺材増張り(500mm) ケラバ部からのホコリの侵入は300mm程度であり、500mmの増し張りで防水性能はアップ。
③のぼり木(18×45) 役物固定釘の止付けには必要。使用しないメーカーもあった。
④のぼり木固定釘 この固定釘も飛散防止に有効。
⑤役物固定釘 この釘で固定すれば容易に飛散する事はない。
スレート系屋根ケラバの納まり図
スレート屋根材の風被害を調査してみれば
メーカーの施工説明以外の施工が殆どです。
少なくとも私が調査した物件はそうでした。
工務店・施行者が勝手な施工を行った物件をどう解決するかが課題です。
今日はこのあたりで。
どうもありがとうございました。