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2024.05.18

建物の外部被害に関わる資料 その 47 『 台風21号 ⑰ 』

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援頂いてありがとうございます。

金属屋根材の飛散中・落下被害写真の種類です。
飛散・落下被害の写真は111件あります。
飛散中の写真6件と飛散落下・後の写真97件です。

1)
 飛散中の被害(6件3%) 
屋根材飛散の光景は近年テレビやインターネットでの動画配信もあり、
飛散の始まりから終わりまでの様子が詳しく報じられます。
非常にリアルであり、実際飛散する瞬間の映像も観察出来て、興味のあるところです。 
専門的には屋根の飛散箇所と飛散方向を考えると
屋根面に飛散発生する力は負圧で、飛散箇所は裏側と言われています。
映像からは正圧の正面側が飛散しているように見えるのですが。
どうなんでしょうね。
私が過去に屋根材の台風被害調査を行った時も、正圧の正面側の飛散が殆どでした。
飛散動画の中にはアスファルトシングルやカラーベスト系の屋根材もあります。
その中で帯状の形状を保ったものは金属屋根と考えられます。
金属屋根メーカーによれば大型物件「鉄骨造」への固定は鉄骨C型母屋への固定推奨です。
実現場では耐火野地板(野地板メーカーは野地板への固定で認可)へ固定してあるものもあります。
屋根材メーカーは固定金具までの指導はありますが、細部の納まりを曖昧にしてあります。
メーカー全体として金属屋根飛散のメカニズム解明がされていないのかなとも思います。
メーカー各社は色々と工夫された商品が出てきますが、和瓦の(瓦ガイドライン工法)の試験の様な
固定ピッチが細かくないと面圧以外の脈動圧が接合箇所に影響を与えているかなと思われます。

公的機関の台風性能評価も再考の余地もあり、充分とは思われないような気もします。


             金属屋根飛散中の写真



2) 飛散落下中・後の被害(97件46%)
報道写真の中で、一番強烈な印象を受けるのが、仮設足場の倒壊現場です。
台風被害の報道では必ずどこかの建築現場の足場被害が報道されます。
建築に関わるものとしては、足場設置指導書に異論を唱えるのは中々難しい処です。
次に金属屋根材の飛散落下状態です。
金属屋根がマフラーの様に電線・電柱に巻き付いています。
また、バスタオルのように街路樹に巻き付いた状態のものもあります。

     金属屋根飛散後の写真①

飛散している状態の映像が
金属被害の半分近くの映像を占めています。
屋根材が飛散して、何もない野地下地状態の
屋根がどこかにあるということです。
業界としては屋根が丸ごとなくなる事故が発生しないような
基本的な対策が必要と考えらます。


      金属屋根飛散後の写真②


金属屋根葺き材の破壊のメカニズムとしては,
金属屋根メーカーでは各種性能試験が行われています。
嵌合部の外れや長尺の金属板であることに起因した浮き上がりメカニズムと対策
それに伴う塑性変形をどの様な形状で対応するかなどです。
基本的にはメーカーで行われる試験は一般部と呼ばれる標準箇所です。
実際に破壊飛散しているのは軒先やケラバの端部からの剥離が多いのです。
この端部からの破壊・飛散の性状を掴む事は現在ではまだ解明されていません。
要因としては経年劣化や実施工の影響があるものと考えられます。
それには何故このような飛散が発生するのか、
①固定の方法に問題があるのか。
②固定金物が残っている場合
ア.固定位置と屋根材質の性状に問題があるのか。
イ.屋根材質と飛散風の性状を掴んでいるのか。
ウ.固定金具の数やピッチはどうなのか。
③固定部材や野地板は正常なのか。
等の原因追求と対策が重要と思われます。

      金属屋根飛散後の写真③


ここでもう一度、金属屋根被害の全体を見てみます。
前項の飛散中の被害(6件)、飛散落下中・後の被害(97件)を加えて、
表を書き直すと
1)
 飛散中の被害(6件3%) 
2)
 飛散落下中・後の被害(97件46%)
3)
 軒先部の被害(11件5%)
4)
 一般部の被害(46件22%)
5)
 水平棟の被害(31件15%)
6)
 隅棟の被害(2件1%)
7)
 ケラバ部の被害(18件8%)

    金属屋根飛散被害数(棒グラフ)


円グラフにして見ると飛散落下の割合が高いことが分ります。

    金属屋根飛散被害の割合(円グラフ)


7.建物の被害写真(171件)
今回は建物全体の被害で、構造を中心に観察して
神社・仏閣他、非木造、木造2階建屋根、
木造2階建、木造1階建、複数棟の被害に分類します。
この写真は住宅被害の起因分析というより、
前記述の分類から残された写真を、構造別に分類したものです。
屋根の種類分析にも分類できるものもあります。

以前経験した「阪神大震災の時の被害調査」での建物の分類は
 A.建築構造
 B.建築階数
 C.屋根材種類
 D.外壁材種類
 E.建築年数
で行い、被害の具体例としての分類は下記のように表しました。
今回はインターネットにある画像分類なのでここまで詳しく行うのは不可能です。

     阪神大震災時の被害分析頃


特に木造2階建屋根の写真は建物を遠くから撮影した画像です。
拡大して屋根種類別に分類して、分析に使用可能なものもあります。
非木造は住宅物件の木造1・2階等に分類できないものを集めたものです。
非住宅でもあり、住宅でもありそうな、少し曖昧な分類でもあります。

     建物飛散被害の総数(棒グラフ)


当初からの目的は、屋根の種類分類です。
更に、部位別の被害でした。

    建物飛散被害の割合(円グラフ)

次回はこれらの少し曖昧な建物被害の分類です。

ありがとうございました。