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2024.06.08

建物の外部被害に関わる資料 その 49 『 台風21号 ⑲ 』

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援頂いてありがとうございます。

その他の被害中で前述しましたが、「仮設足場の倒壊」の
被害が目立ち報道機関のニュースの標的になっていたようです。
更に同じ建物被害でも、外壁の損傷もあったようです。
そこで仮設足場の写真を集めると下記のようになります。
1)
 仮設足場の被害(4731) 
  仮設足場倒壊の大きな事故写真のほとんどが、防音シート・防音パネル等
非メッシュ型の養生材で足場を覆った物件です。
一見して非常に安全に養生されている現場と思われます。
スマートに見えますが、風をまともに受け止めるタイプのものが多いようです。
養生材の留め付けに対しては詳細な施工法は規定されているようです。
台風情報が入っても簡単にたためないので設計施工に細心の注意が必要です。

    仮設足場の被害写真(インターネット画像)①

養生材がメッシュシートの場合は台風が接近すると、
係員が一斉にシートをたたみに現場に駆け付けます。
シートが掛ってたたみ切れない現場は足場が倒壊しているようです。

  仮設足場の被害写真(インターネット画像)②


2) シャッターの被害(43) 
 シャッター構造も風に対する考え方を強く勧める業界では無かったようです。
シャッターを多用するのは「大きな倉庫」や「室内に物を収める店舗」です。
風か吹いてくる風上からの「正圧」を考えると
室内に物がどれくらい詰まっているかによって「耐圧」は変化すると考えられます。
安定した試験方法を考えるとするならば「住宅の窓用シャッター」となります。
住宅の窓用シャッターの耐風圧を考える場合は風上側の正圧よりは
風下側の負圧を考えるのが良いと
窓用シャッターの試験は負圧を中心に考えられています。

    シャッターの被害写真(インターネット画像)


ただ近年高層建築の高層階にもシャッターを付けるようになり
「耐風シャッター開発」も盛んに行われるようになっています。
下記は一般財団法人「ベターリヒング」が決めている
窓用シャッターの風圧試験で採用されている風圧等級です。
「日本シッシ協会」の規定数字の半数程度となっています。

  耐風圧性試験(一般財団法人・ベターリビング)


シャッターを取り付ける理由としては一番に防犯が上げられます。
更に今回のような台風対策です。
先にお話しをした「耐風シャッター開発」製品は風の強い沖縄でも採用されているようです。
台風時には他の被害と同じように飛来物等よる破損が有ります。
下記試験は「飛来物衝突に対する安全性試験」です。

C
2は瓦の破片程度の衝撃
JD
3は瓦本体程度の衝撃とされています。

  飛来物衝突(一般財団法人・ベターリビング)


3) 外壁の被害(3221)
外壁の被害の多くは経年劣化によるモルタルの脱落です。
外壁パネル(金属板・石綿スレート・窯業系サイディング+断熱材)外壁の留め付け不備による落下、
飛来物の衝撃による破損等もあげられます。
モルタル外壁の被害は下地ラス固定の金属ステップルの錆びや
ステップル固定下地の小幅板が経年劣化により腐朽し脱落する事が多いのです。
壁体内結露を含めた施工法の検討・普及が課題となります。