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2024.07.20

建物の外部被害に関わる資料 その 51 『 台風21号 ㉑ 』

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援頂いてありがとうございます。

屋根材の部位別被害数・割合の表です。
すべての屋根材合計被害を部位別に分類して比較して見ます。
水平棟被害が一番多くて、軒先・ケラバ部被害が少なく表れています。
風圧係数が0.5とされる一般部被害も意外とあるように思われます。
市場にある瓦屋根全体面積の割合から考えると、
一般部の被害が多いのは当たり前かも知れません。
屋根材種類が一緒になっているので
各々の屋根材の特徴はこの表では特徴は表れていません。


         屋根材の部位別被害数と割合表


屋根の部位を大きく分けて、水平棟、隅棟、一般部、ケラバ部、軒先部で
被害数量を比較すると下記のような棒グラフとなります。
水平棟被害、隅棟被害が特に多くて次に一般部の被害です。
上述されている風圧係数が1.5とされる軒先被害、ケラバ被害が少ないのは
何か理由があると思われます。
風圧係数が1.5の水平棟被害、隅棟被害が多いいのは納得のいくところです。

      屋根材の部位別被害数の棒グラフ


更にそれらの数量を割合で表すと下記のようになります。
1)
一般部の被害(17327) 
2)
軒先部の被害(396) 
3)水平棟部の被害(21132)   
4)
隅棟部の被害(18328) 
5)
ケラバ部被害(487) 
これらを円グラフで表すと棟と付く(水平棟・隅棟)部位が60%になります。
同じように多いのが一般部被害で27%です。
軒先部被害とケラバ部被害をプラスしても13%です。
しつこいように部位別の被害数量を記述しましたので
何か特徴が見えて来るような気がします。

   屋根材の部位別被害割合の円グラフ


屋根材別の部位別被害の割合
調査内容分析の最後に今までの被害を細かく、
屋根材別の部位別被害数の表を作成してみました。
①は屋根材別に各部位の被害を表したものです。
更に比較的被害数の多い項目を黄色で示しています。

     ①屋根材別の部位別被害数



瓦屋根被害の一般部、水平棟部、隅棟部が多くあります。
瓦被害の多くは2000年以前の土葺き施工法です。
一般部、水平棟部、隅棟部のいずれの部位も
経年劣化で固定法が弱くなっています。
スレート屋根被害は隅棟部、水平棟部が多くなっています。
被害の殆どは棟包板金の飛散です。
この原因は新築時から固定法が曖昧な物件が有ります。
例えば、固定する笠木が既定の厚みが無く薄い事や
耳付きの端材が使用されている事です。
又、経年で笠木下地が防腐処理無しで
腐朽している等が考えられます。
これらの原因も後に深堀研究をしたいと思います。

    屋根材別の部位別被害数棒グラフ


②は屋根部位別に屋根材別の被害を表したものです。
先般の表にはありませんでしたが
「飛散中」「飛散落下」被害を付け加えています。
金属屋根の特徴として、m2重量が軽い事が上げられます。
そこで、通常は固定法は簡単で良いのではと考えます。
ところが「飛散中」と「飛散落下」被害の写真を合わせると
100
件を超す数となります。
実はこの「飛散中」と「飛散落下」被害が
金属屋根被害の原因に対して非常に重要な事となります。


②屋根材別の部位別被害数+飛散落下等表被害を屋根材別、部位別に表し、
飛散落下・飛散中もプラスした棒グラフです。
屋根材別とした表では50件を超える被害は
瓦とスレート屋根被害です。
金属屋根被害は有りませんでした。
ところが飛散落下下被害写真は97件もあり
被害箇所不明として表されたのです。
金属屋根の「飛散落下」被害写真の被害箇所は
「軒先部」「一般部」「ケラバ部」「棟部」と特定できないまま
処理していた事になります。
前述しましたが、瓦・スレート屋根被害の
全体としては水平棟の被害、隅棟の被害が多くあります。
また、一般部では瓦屋根の被害が大きいことが分ります・。

ところが「飛散落下」被害は材料が塊になって落下しています。
「軒先部」と「一般部」や「ケラバ部」と「一般部」などがあります。
そして広範囲に捲れているものもあります。

  屋根材別の部位別被害数+飛散落下等表


③はすべての被害を単独で表したレーダーチャートです。
被害の多い順に50件を超える被害者写真は
瓦屋根の水平棟部被害です。
瓦屋根の一般部被害です。
瓦屋根の隅棟部被害です。
屋根の飛散落下被害です。
スレート屋根の隅棟被害です。
ベランダ・駐車場のポリカ波板屋根被害です。
ベランダ・駐車場のポリカ平板屋根被害です。
スレート屋根の水平棟部被害です。


  ③屋根材別の部位別被害数+飛散落下等表


すべての被害を単独で表したレーダーチャートグラフから
被害の少ない順から並べて見ると、
スレート屋根の軒先部
金属屋根の隅棟部
金属屋根の飛散中
スレート屋根のケラバ部
金属屋根の軒先部
金属屋根のケラバ部

スレート屋根の一般部
瓦屋根のケラバ部
瓦屋根の軒先部
金属屋根の水平部
です。
同時に風圧係数が1.5の箇所を赤字で示して見ました。
更に金属屋根の落下被害に関わる次項を緑字で示して見ました。

   屋根部位別被害数等のレーダーチャートグラ


以上が台風201521号被害の集計分析です。


ありがとうございます。