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2024.08.31

建物の外部被害に関わる資料 その 53 『 台風21号 ㉓ 』

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援頂いてありがとうございます。

台風や耐風試験との関わりについてもう少し詳しく書いて見ましょう。
強風の現場調査については先の「竜巻」や「速度圧」の章で少し述べました。
強風試験については先週に「セスナ機のプロペラ」での試験のお話をしました。
それから大型送風機の試験で「乱流」「突風」の試験を続けたお話でした。
それらの試験結果から平板系スレートト板の「高所施工法」「沖縄・離島地域施工法」が考えられました。
これらの施工を導いたのは古いタイプの公式で

などです。
それから19831985年までは東南アジアで、
遮熱屋根・バトン施工(通気施工)などを学びながら暫しの間、風との関わりは休止でした。
1985
1990年は以前にも話ましたが、九州に転勤です。
九州に赴任した時には、幸いな事に
「徳之島・奄美大島・種子島・対馬等」の離島廻りや
月に1度は沖縄出張で、q=90√h 」施工法の実戦です。

  沖縄・離島の位置関係(グーグルマップ)

沖縄では主に平板系スレート瓦の耐風施工法の普及です。
ご存じのように沖縄の住宅は鉄筋コンクリート造の建物がメインでした。
古くからの木造住宅には素焼きの赤瓦を漆喰で固めてあります。
しかも風対策とし、ほとんどが1階建て寄棟屋根です。
それでも本土から、「木質系プレハブメーカー」や
「鉄骨系プレハブメーカー」が進出しようとして、
実験住宅を建て研究中でした。
古くは木質系では2×4住宅も戦後直ぐに
米国軍基地の兵士軍住宅として建てられたようです。
そのほとんどの住宅がシロアリ被害にやられて速やかに撤去され、
その当時も残っているものが少ないと言われていました。
そんな訳で、沖縄では本島の北から南までをPRして歩きました。
特に読谷村の別荘村では何棟かの木造住宅に
採用頂いたのを覚えています。
(
この時に初めて温暖地型結露に遭遇したのです)
お陰で沖縄では知り合いも出来て、
今でも屋根工事店さんとは年賀状をやり取りしています。

ここから少し九州時代(19851990)年の台風発生について振り返ってみます。
実被害については先の「竜巻」や「速度圧」の章で少し述べました。
私が九州を離れた1990以降、台風が少し増加した時期もありました。
1985台風は、太平洋北西部で発生した熱帯低気圧のデータからみると、
台風発生数は27個であったとされています。

昭和60年台風第1319858九州地方に上陸した台風です。
藤原の効果により台風1214と共に複雑な動きをしたとされています。
「藤原効果の説明」 以下青色字の箇所(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)より)
8月26沖縄の南海上で発生した台風13号は、台風12号との藤原の効果により速度が遅くなり、沖縄の南海上を北東よりに進んでいます。
8月28には日本のはるか南で台風14号が発生し、日本近海には台風が3つも存在する状況になり、それぞれの台風が近くに位置することで台風が停滞して複雑な動きをする現象(藤原の効果)により台風予測が難しい状況でありました。
ゆっくりとした速度で沖縄近海を進んでいた13号は
8月30に進路を北に変えて、速度を上げながら九州に向けて進み始め、8月31には最盛期の勢力で鹿児島県枕崎市に上陸しました。
台風は九州を縦断し、
9月1には日本海を北上して北海道へ進み日本から遠ざかりました。
台風13号が九州に上陸する前日の830日には台風14号が
神奈川県横須賀市付近に上陸し、関東地方から東北地方にかけて被害をもたらしました。
台風13号が九州に上陸した翌日の91日には、829日に九州の南海上を西進し、
東シナ海で停滞していた台風12号が進路を北東に変え、831 - 91日にかけて五島列島を通り対馬海峡から日本海へと進み、九州では2つの台風が奇襲することとなり、高潮大雨、漁船の遭難が相次いだのです。