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2024.09.07

建物の外部被害に関わる資料 その 54 『 台風21号 ㉔ 』

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援頂いてありがとうございます。

さて、19904月、5年間の九州転勤生活をおえて、
再度大阪で屋根開発をする事となりました。
実はこの転勤も自分で起こした
「台風のような事件」が発生し
私は希望して大阪に飛ばされて、後任者にも被害を及ぼしたのです。

5年も大阪を離れていれば、
世間、特に屋根材開発内容もかなり変わっておりました。
そして配属先は尊敬していた、「拘りの伊藤孝司課長」です。
10
数年ぶりに一緒に仕事をする事となります。
早速、新入社員も入っての技術開発となります。
まず「新規瓦」の施工開発です。
それから新規部材(同質役物)
新規商材(接着剤・防水シート等)開発となりました。
更に、新技術開発としては
新規屋根材として「アルミ金属屋根材」の施工開発。
新規部材として「軒樋部材」の施工開発。
この「軒樋部材」の施工開発は「拘りの伊藤孝司課長」の
肝いりで、屋根一体化の樋として開発スタートしたものでした。
以上、新しい発想の必要な物などです。


「アルミ金属屋根材」施工開発をしている時に、
神奈川大学建築科出身の「横山慶一」先輩の学校に
風と金属屋根材に精通されている「大熊武司」先生がおられる
との情報を得て訪ねて見る事になりました。
すると先生は
「何時とは分かりませんが、耐風性能の考え方は
『建築基準法』から『建築学会指針』の考え方に替わります。」

とのアドバイスを頂き、なるほどと言うところでした。
以降は「平板系スレート瓦」の強度試験も公なデーターは
「金属系屋根材の試験法」と同様なものとなりました。
「アルミ金属屋根材」の耐風試験ではKハウスの大型送風試験機の
「乱流」発生装置では変化(飛散しないので)が現れないので、
外壁開発用の動風圧試験機を工夫して採用しました。

その内、社内で技術交流をするようにとの話があり
「社内の技術開発研究所」と風の研究をすることになりました。
「技術開発研究所」には「大阪府立大学機械科関係」の卒業生がいて
我々建築屋の知らない流体の情報を持っていました。
まず、京都の「大原」に行く途中にある『童夢』を訪ねる事になりました。
『童夢』では風洞装置を使用して、スーパーカーの設計をされておられました。
測定機器も情報も最新のお話を聞くことが出来ました。
特に測定機器はNASAで使用されている圧力センサーを
同時に測定できる優れものの装置が参考になりました。


その頃は、送風試験機と風洞試験機の違いも分からない時でした。
風洞装置とは風を流すことで物体に作用する空気の抵抗力や浮き上がる力など、
様々な特性を実際に計測する装置のことです

風洞装置の歴史は古く、1700年代初頭には(黒太字斜体FNの高校物理」より抜粋)
すでに簡易的な風洞による試験が開発されていたそうです。
古くはライト兄弟が飛行機の開発に用いたとされています。
そんな訳で100年以上もの昔から風洞が使われていたと言われています。
そこでライト兄弟の風洞装置について調べてみました。
彼らは、翼の様々なデーターを得るのに風洞を造り活用したらしいのです。
彼らの風洞試験は19019月~12月に行われています。
最初に簡単な風洞を試作して予備的な実験をしました。
その有効性を確かめてから下写真の様な風洞を造ったと言われています。
この風洞は適切に設計されていて揚力と抗力を
系統的にかつ広範囲に収集するために使用された
初めての風洞装置とされています。
測定装置はダクトの出口付近に設置されて、
上面のガラス窓から角度測定用の分度器目盛りを読み取りながら実施されたようです。
ライト兄弟の風洞装置の複製FNの高校物理」より風洞装置には現在使用されている方式は2種類あります。
ゲッチンゲン型(循環回流型)
ゲッチンゲン型は
流れが循環するのでエネルギー効率に
優れるため連続運転に向いていますが、
構造が少し大型化するので建設費がかかります。
エッフェル型(オープン型)
オープン型は入り口と出口が開放され超大型風洞や、
安価な研究用小型風洞などによく使用されます。

早速、大阪府立大学に伺い
風洞実験設備を使用させて頂く事になります。

(
以下青字箇所は大阪府立大学・現大阪公立大学風洞試験室案内を転用)は、
1970
年に大阪府が万博景気で潤っている時代に、
当時の遷音速流が専門である宮井善弘教授
「2ストラッド型島津製三分力天秤」を組み込んだ低速風洞を企画され、
宮井善弘教授自らが風洞本体を設計されたものらしいのです。