2024.09.14
建物のケラバ側から直角な風の被害箇所
2) 斜め(剣先)方向からの風
①一般的には風の直接当たる3箇所の軒先2箇所・隅棟部の(瓦)
金属役物等の被害が多いです。
②経年劣化により、水平棟部の破損もあります。
③風がけらば角に当たり発生する乱流が、ケラバ角より少し離れた
一般部(赤色破線楕円部)の屋根材に損傷を与える場合もあります。
建物のケラバ隅側から直角な風の被害箇所
3) 正面(軒先)方向からの風
①一般的には風の直接当たる2箇所の水平棟・軒先(瓦)
金属役物等の被害が多いです。
②経年劣化と施工不良による、水平棟部の破損が特に多いです。
(屋根材の種類により、被害内容は異なる)
③経年劣化により、水平棟部の破損もあります。
④風が軒先に当たり発生する乱流が、軒先より少し離れた
一般部(赤色破線楕円部)の屋根材に損傷を与える場合もあります。
建物の軒先側から直角な風の被害箇所
3. 瓦屋根(軒先部、ケラバ部、一般部、水平棟部、隅棟部の被害)
1) 軒先の被害
①㋐の写真は寄棟屋根の平板系陶器瓦の軒先被害です。
②平板系陶器瓦は桟施工の釘留めです。
③この写真では隅棟の被害は見当りません。
④正面からの強風による被害と考えられます。
⑤損傷した瓦は小さく砕かれた物もあります。
⑥屋根面には桟留め用の胴縁のようなものも見受けられます。
㋐台風21号被害写真(軒先部)より
⑦㋑の写真は2~3階建て住宅のベランダにポリカボネード屋根の付いた軒先部で
波形セメント瓦の被害です。
②軒先の持ち上がりも無く、破損の形から推測すると
飛来物による破損と考えられます。
③写真を良く観察すると、ポリカボネート屋根の
左側と右端の材料が破損して穴が開いています。
④損傷部は軒先部(4箇所)の先端から20cm程度の箇所です。
飛来物はホリカボネード屋根にバウンドして当たった可能性があります。
㋑台風21号被害写真(軒先部)より
2) ケラバ部゙の被害
①㋒の写真は切妻屋根のいぶし瓦のケラバ瓦の被害です。
②ケラバ瓦と下り棟丸瓦(風除け)の役物が飛散しています。
③ケラバ瓦の飛散した部分は瓦葺き用の土が露出しています。
④下り棟丸瓦(風除け)役物は2列あり、
両列とも棟部分接合部より損傷しています。
⑤固定してあった土が軒先近くまでずれ落ちています。
⑥右側からの風によるものと考えられます。
㋒台風21号被害写真(ケラバ部)より
⑦㋓の写真は昭和40年代に流行した青緑と呼ばれる陶器瓦です。
⑧したがってこの建物は50年以上を経過している事が分かります。
⑨ケラバ瓦の被害です。
⑩損傷した箇所を観察するとケラバ部中ほどから軒先にかけた箇所です。
⑪これは風が軒先よりの左側・ケラバ角から吹いたことが分かります。
⑫瓦の形状・重さから考えると、ほとんどの瓦は落下破損したものと考えられます。
㋓台風21号被害写真(ケラバ部)より
⑬㋔の写真は昭和60年代から流行したセメント平板瓦です。
⑭ケラバ瓦が1個だけ落下しています。
⑬写真を観察すると屋根下地材に使用されているアスファルトルーフィングが確認されます。
⑮アスファルトルーフィングはしっかりと破風板に被せてあるので、雨漏りすることはありません。
⑯写真で見る限りケラバ役物瓦は風で4枚動いており、その内の1枚が落下しています。
⑰この瓦は横からの釘止め用の穴が2個ありますが、通常は1個しか止めていません。
⑱落下した瓦の固定が他の箇所より緩かったのか、
この箇所の風が強かったのかは不明です。
㋔台風21号被害写真(ケラバ部)より
瓦系屋根材の軒先部、ケラバ部の被害です。
被害写真を観察する事で、風の吹いた方向、強さ、施工法、経年度合い等色々と分かります。
勿論、他から飛散して来た物体での損傷もあります。
もう少し被害写真を観察して考えて見ましょう。
ありがとうございます。