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2024.09.21

建物の外部被害に関わる資料 その 56  『台風21 ㉖ 』

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援頂いてありがとうございます。

前回の続きです。
瓦屋根被害です。
①写真㋕はいぶし瓦一般部の被害です。
②中央部の地瓦が持ち上がり、連鎖して右側に風が異動しながら
  浮き上がった形になっています。
③最初に地瓦が持ち上がった部分は瓦葺き用の土が露出しています。
④写真左上にはしっかりした無被害の水平棟があり、
  風を受け止めて跳ね返った風と
  次の風がぶつかり地瓦に影響を与えた可能性もあります。

    ㋕台風21号被害写真(一般部)より



⑤写真㋖もいぶし瓦の一般部の被害です。
➅㋕の写真と同様右側には無被害の水平棟があります。
⑦上方側から則ち屋根面の左側からの風により捲れたものと思われます。
➇乱流の強弱により瓦が屋根上で飛散し割れています。
⑨捲れている瓦のほとんどは下地の土が見えています。
➉㋕の写真に比較して土が多く見えます。
⑪勾配もあるので捲れた瓦は落下したように思われます。
⑫㋕の写真より風が少し強かったと思われます。


    ㋖台風21号被害写真(一般部)より


⑪写真㋗は桟施工に調整として土葺きを合わせた施工法です。
⑫飛散瓦の下に、桟と土が確認されます。
⑬したがってこの建物は比較的新しい建物である事が分かります。
⑭㋕㋖の写真に比較して、被害箇所が横に広がっています。
⑮右の軒先側からの風が軒下壁に当たり、
  一般部で再付着した可能性もあるような写真です。

    ㋗台風21号被害写真(一般部)より


⑯写真㋘は一般部の地瓦に
  飛散物が落下して地瓦が破損した被害です。
⑰破損した箇所を観察すると、
  地瓦の山部3箇所に物が当たり、
  周囲が破壊した状態が確認できます。
⑨瓦の形状・重さから考えると、ほとんどの瓦は
  落下破損したものと考えられます。

    ㋘台風21号被害写真(一般部)より


水平棟の被害です。
①写真㋙はいぶし瓦の水平棟部の被害です。
②強風による屋根被害は、風の力そのものが屋根材に直接作用される力と、
  風が建物の構造体に作用し建物に振動を与えてその振動で
  屋根材が破壊することが考えられます。
③この写真は水平棟が大きく曲がっています。
④正面には2階の壁が有ります。
⑤右側の地瓦が何枚かずれているように見られます。
➅左側の被害状況が定かではありませんが、
  水平棟の頂部の破壊は少ないようです。
⑦地瓦の頂点部と熨斗瓦の位置から
  手前に移動している不思議な写真です。
➇構造体の動きによる被害と
  風の直接の被害が一緒になったようにも考えられます。


    ㋙台風21号被害写真(水平部)より


⑨写真㋚は水平棟が少し蛇行しています。
⑩棟の丸瓦は熨斗瓦からの落下は免れています。
3段熨斗瓦の一番下部瓦が大きく破壊されています。
⑫少なくとも棟瓦は銅線で固定されて、
  一体化された形で移動しています。
⑬棟、熨斗瓦の葺き土は片方、手前側に落下しています。

    ㋚台風21号被害写真(水平部)より


⑭写真㋛も棟丸瓦はしっかりと固定されています。
3段熨斗瓦の一番下の熨斗瓦が
  破損しているのが確認されます。
⑯水平棟被害に差がありますが、いずれも棟瓦は一体化されて、
  熨斗瓦の一番下の瓦が移動破壊しています。
⑰㋙の写真と同じように、風の力そのものが
  屋根材に直接作用される力と、
  風が建物の構造体に作用し
  建物に振動を与えてその振動で
  屋根材が破壊したように考えられる写真です。

   ㋛台風21号被害写真(水平部)より


隅棟の被害
①写真㋛は陶器瓦の隅棟部の被害です。
②この写真は隅棟が2段熨斗瓦の上の
  熨斗瓦と棟丸瓦が落下しています。
③正面に隣の家の壁が見えます。
④風は写真の右から左に向かって流れていったと推測できます。
⑤その風が隣のお家の壁に当たり、
  乱流を引き起こしたのではと思われます。
⑥被害瓦の多くは左側の屋根面に落下しています。
⑦上部熨斗瓦と棟瓦を固定してあった土は
  そのまま下部の熨斗瓦部に残っています。
⑧飛散した熨斗瓦は半割り瓦が多いようです。
⑨左側には左側の熨斗瓦の半割が自重で落下したようです。

㋜台風21号被害写真(隅棟部)より


⑩写真㋝はいぶし瓦の隅棟部の被害です。
⑪軒先部近くの瓦は左側の一般部に落下しています。
⑫手前の棟に近い箇所は右側の一般部に落下しています。
⑨落下した熨斗瓦は真物です。
⑩同じ隅棟施工でも、写真㋜と施工法が異なることが分かります。