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2024.10.05

建物の外部被害に関わる資料 その 58  『台風21 ㉘ 』

顧問坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援頂いてありがとうございます。

前回の続きです。
化粧スレートの一般部被害です。

⑩写真はドローンで屋根被害を調査した時に確認できたものです。
⑪屋根材が1m(182×6)位切断されたように見えます。
⑫何かの金属片が飛散して来て、屋根面に衝突したものと思われます。
⑬台風の屋根被害の実態は屋根材が飛散すると同様に
  飛来物が屋根(外壁・窓ガラス等にも)に衝突して
  屋根材を破壊する場合も多いようです。
⑭そう言えば瓦被害の一般部被害写真にもありましたね。
⑮この写真では化粧スレートだけではなく、
  下地防水シートや野地板にも切断跡があるかも知れません。
⑯切断箇所に釘跡が確認されます。
⑰釘に錆びがあり、釘位置に円形の模様跡が確認されます。
⑱耐風性能には関係ありませんが、前回と同様な屋根材
  松下電工の屋根材「フルベスト20」です。

㋧台風21号被害写真(化粧スレート・一般部)より


4)
 水平棟の被害
①写真㋨は化粧スレートの水平棟部の棟包鉄板飛散被害です。
②この納まりでは問題点が2つあります。
③一つは棟の鉄板役物固定用笠木の木材(15×45)に胴縁が使用されています。
④これは、施工業者と元請の連携が悪く、棟仕舞いの時に
  メーカー指定の笠木(貫板18×90)が無くて、外壁サイディング下地に
  使用する胴縁(18×45)を代用で施工していることです。
⑤この様にメーカー指定を無視した施工レベルの低い工務店や施工業者も時々あります。
⑥しかも、その1/2のサイズの木材が片方1本ずつしか使用されていません。
⑦おそらく仕上がった棟包板金は踏み跡でベコベコしていたと思われます。
⑧もう一つは使用されている胴縁が防腐処理をされていないことです。
⑨棟包板金飛散の原因の7割以上がこの木材腐朽が原因となっています。

㋨台風21号被害写真(化粧スレート・水平棟部)より


⑥金属役物に覆われた、笠木は日中型結露のため、
  含水率が28%以上に高くなり箇所は腐朽します。
⑦そして、固定釘の保持力が低下し、飛散したものと考えられます。
⑧次に棟包板金内の結露発生について説明します。
①朝より晴天となり屋根全体に日が当たり、屋根面が暖められます。
②棟包金属役物・木材笠木が温められ木材の含水している水分が
  水蒸気となって排出されます。
③排出された水蒸気は棟包金属役物の裏面頂部で結露し、結露水となります。
④結露水は笠木頂部に水滴となり笠木に吸水されます。
⑤又、太陽が沈んで気温が下がると水蒸気が出て乾いた木材に集まります。
⑥笠木頂部には水分が集まり、木材の含水率が上がり、
  やがて腐朽してしまいます。
⑦この㋨の写真は胴縁が使用されていて、小屋裏の北面結露発生と同じメカニズムです。
  (北面結露発生は、他の項でお話します。)
⑧従って、写真の手前(北側)の胴縁が結露して、南側は余り結露していません。

㋩台風21号被害写真(化粧スレート・水平棟部)より


⑨写真㋪は前述の水平棟納まりと同様に笠木が
  防腐処理をされていない事です。
⑩しかし、この写真の笠木の腐朽はあまり進んでいないようです。
⑪役物を固定する両側にはまだ十分保持力可能な状態に見えます。
⑫このような状態で役物が飛散する場合はほとんどが
  釘の打ち損じか、固定釘の本数不足が多いようです。
⑬固定釘の本数は、強風に対して計算されて決められています。
⑭釘の本数不足は施工を安く抑えられる住宅会社・工務店等に対し、
  せめてもの抵抗として職人さんが行う手段でもあるかも知れません。
⑮健全な施工と適正価格を望みたいと思います。


㋪台風21号被害写真(化粧スレート・水平棟部)より


5) 隅棟の被害
①写真㋫は隅棟部の被害です。
②この写真は隅棟の笠木が結露して、木材の含水率
  が高くなり腐朽して、釘保持力が低下して飛散したものです。
③隅棟の笠木が水平棟の笠木に比較して、腐朽率が高いように思われます。
④その理由は隅棟の屋根納まり構造にあります。
⑤隅棟の屋根納まりとして、隅棟には屋根が2方向より直角に集まっています。
⑥従って、屋根材化粧スレートの重なり隙間が2方向から集中して
  雨水が集まり易い構造になるのです。
  (同時に隅棟勾配は主勾配に比較して緩勾配で水捌けが悪いのです。)
⑤笠木を固定した時の納まのとして隅棟の頂点に固定する時、
  化粧スレートの隙間から入水した雨水が排出し難い構造です。
➅余談ですが、隅棟部の笠木木材両側にはシーリングをしない指導となっています。
1 これも⑥と同様に水捌けが悪いのが理由です。

㋫台風21号被害写真(化粧スレート・隅棟部)より


⑦因みにメーカーの隅棟標準施工法を参考に上記写真を検証してみます。
1 2段目以降の屋根材の隅棟芯側を笠木側から多少出る程度
  (140150mm)斜めに切り落とします。(隅切り)
2 この隅切りをすることで前項⑥の水が集中して集まるのを防いでいるのです。
3 下図では化粧スレートの重なり部の水は
青色矢印で止まるのです。
4 従って隅切りをする事で、隅切りをした赤色楕円箇所は青色矢印より
   高い位置にとなり毛細管現象の水を切る事になります。
5 前項㋫の写真の隅棟部は赤色線のような隅切りをしていないのが分ります。

6 メーカーで行う施工学校講習会では、隅棟部の隅切りとケラバ部の肩落としは必修です。
7 従って㋫の写真の施工者は施工学校を受講していない事が分かります。
8 この二つの施工ポイントはメーカーでは60数年前の販売時から教えてきた事です。


KMEW(化粧スレート・隅棟部施工)カタログより


⑦写真㋬は棟巴の固定が悪い場合です。
⑧棟巴板金の取付不良です。
1 棟巴板金の「初め役物」を「終い」に使用しています。(ムダ折りが逆)
2 板金の被せが多き過ぎます。
    (100mm以上 → 50mm  接合箇所にシーリング)
3 継手板金のムダ折り爪をカットして被せて、しめてほしいのです。

⑨更に棟包板金飛散の原因は笠木に止める固定釘です。
1 この固定釘は笠木に効いているのでしょうか。
2 釘を笠木に止める時打ち損じがあります。
3 指定釘以外の形状は経年で抜けて来る場合があります。 
    (㋭写真右下はスクリュー釘が経年で抜けています。)


㋭台風21号被害写真(化粧スレート・隅棟部)より


⑩もう一度メーカーの隅棟標準施工法を参考にしてみます。
⑪水平棟、隅棟の基本的な納まりです。
⑫隅棟の場合は笠木との接点のシーリングは行いません。
⑬ここで示されている笠木に被せてある下葺材(アスファルトルーフィング)ですが
  非常に優れた利点があります。
1 アスファルトルーフィングを被せてある20年経過後の木材をチェックしてみると
    結露による腐朽はありません。
2 更に笠木の周辺に雨漏りを誘導するホコリの進入がありません。


 
 
KMEW(化粧スレート・隅棟部施工)カタログより


屋根材、外壁材等建築の各種仕様を決定するのに大切なのは「経年変化」です。
初期性能や複合サイクル試験はメーカーや大学、各種試験センターの確認試験で行えます。
「経年変化・劣化」のデーター分析はメーカーにしか出来ない作業です。
正に全項⑬図のアスファルトルーフィングの「経年変化」の確認等です。

ありがとうございます。