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2025.01.11

建物の外部被害に関わる資料 その 61  『台風21 号 ㉛ 』

 顧問の坪内です。
明けましておめでとうございます。
いつも池本工務店の事業にご支援頂いてありがとうございます。
今年も宜しくお願いします。

『台風21号』のブログを書き始めたのが、2023.11.11です。
その31回目という事で今年は始まります。
前回の金属屋根試験の続きです。
以下青色字はMSRW2014に掲載されている内容です。
1 試験体の仕様及び加圧方法
試験体は母屋間隔1,000 mmで支持された重ね形折板屋根に
   仕様を設定されています。
①軒出長さを折板の山高の5倍(試験体A440mm
②大きくはね出した10倍(試験体B880mm

  
Ⓕ試験体の使用部材(MSRW2014より)



③試験体には加圧時に軒先部と架台枠(ふさぎ板)との隙間からの漏気を防ぐために、
  ビニールシートを屋根材の変形を妨げないように注意して設置してあります。
④試験は、予備加圧500Pa、加圧ピッチ250Paで、破壊荷重まで−1,000Pa増分ごとに
  途中減圧段階を設けて除荷時の状態を確認しながら行われています。

   
Ⓖ写真左は試験体表面、写真右は
    試験体裏面
(
MSRW2014より)
軒出長さを折板の山高の5倍(440mm)に設定した試験体A
-1,000Pa
ごとに途中減圧段階を設けながら段階的に圧力を載荷したところ、
試験装置上限(-9,750N/㎡)まで破壊には至らなかったので、
この時点を最大圧力としています。
これは試験後の状況(写真2 a)にあるように、
負圧荷重によってはね出し部根元のタイトフレーム位置で折板山部の
曲げ座屈が発生し始めていることが原因と考えられます。

  Ⓗ写真左は試験体表面全体、写真右(2a)
  試験体固定①裏面
(MSRW2014より)


一方、軒出長さを折板の山高の10倍(880mm)に設定した試験体Bは
-4,000Pa
時の途中減圧段階において前後に
大きなたわみ量の進展や残留たわみは見られませんでした。
-4,750Pa
から次の加圧途中にはね出し部根元で
折板山部が座屈し破壊しました。(写真2 b

 Ⓘ写真左は試験体表面全体、写真右(2b)
  試験体固定位置裏面
(
MSRW2014より


3) 試験結果のまとめ
 軒出長さが異なる重ね形折板屋根の耐風圧性能の比較試験を行いました。
①軒出長さが山高の5倍(440mm)の試験体A
  装置上限-9,750Paまで破壊は見られませんでした。

山高の10倍(880mm)の試験体B-4,750Paで破壊しました。

  Ⓙ試験体の使用部材(MSRW2014より


同一圧力時における両試験体のたわみ量を比較します。
①軒出長さが大きな試験体Bの方がかなり大きい結果となりました。
②このことから分かるように軒部分における
折板屋根の耐力は
  軒出長さにより大きく影響を受けます。
③強風による被害を低減するには短い方が有効と考えられます。
  ここで軒の出部分の支点を「固定端」とみなした考えと
「自由端」にした考え方を図示すると下図のようになり
モーメント図に比較して撓み図は
圧倒的に自由端の方が大きくなります。
この試験では支点はあくまでもボルト・ワッシャ・ナットで
固定されているので「固定端」と考えるには無理があるようです。


  Ⓚ試験体の使用部材(MSRW2014より


軒の出部分の支点を「自由端」とし軒の出長さを3種類として、
曲げモーメントとたわみ量を考えて見ます。
その解析をそれぞれ軒出なし、軒出長さ440mm(山高×5倍)、
軒出長さ880mm(山高×10倍)の3種類の試験を行いました。
軒出なしを除く他の2条件の結果を比較します。
支点反力RA に着目し、
軒出長さ440mm(山高×5倍)までは
一般部の支点反力RB RFとの比較でも
大きく変化のない数値(4,000N/m台)となっています。
軒出長さ880mm(山高×10倍)ではRA のみが
7,000N/m台と、
一般部の2
程度の大きさとなります。
最大曲げ応力度の発現位置も
軒出部の起点、軒出長さ880mm(山高×10倍)では、
つまり支点RAの位置となり、
軒出部の起点は一般部と比較し
2倍程度の大きな支点反力

最大曲げ応力度を同時に負担する箇所となることが分かります。

Ⓛ試験のモーメント図・撓み量図(MSRW2014より


山高の5倍の軒出であればそれらが
一般部とほぼ変わらない
ことを考慮すると、

本解析結果に見られるように山高の10倍の軒出では、
軒出の起点が負担する支点反力および曲げ応力度は
共に一般部のそれを大きく上回りっています。
山高の10倍の軒出における軒出部の起点が
屋根全体における強度的な弱点
となっていることがわかります。
今回の試験では、
「軒出長さは山高の5倍を目安とする。」
という経験則の妥当性を確認することが出来ます。
山の形状や高さは製造メーカーにより異なりますので、
相対的な比較となります。

①写真は本題台風21号の金属屋根材一般部の被害です。
②瓦棒屋根材が屋根材まで持ち上がっています。
 (下地桟が横向きに施工してあるので構造が良く分からないところです。)
③屋根一般部で、軒から棟部まで捲れているのは
④瓦棒の芯木に留めてある釘の保持力が無くなったような状態です。
⑤風の性状と屋根形状、建築地域等を考慮しても興味ある被害です。
➅野地下地(胴縁下)にあるベニア板は健全に見えます。

Ⓜ台風21号被害写真(金属屋根材・一般部)より


風の飛散に付いての主な問題点は
野地板・桟木、鉄骨では下地C型鋼への固定の保持力です。
先の試験で野地別固定ビス保持力試験が有りました。
これは次回に説明します。

2023.11.11
 台風21号被害のスタート原稿では
我、池本工務店の裏(南側)隣りの倉庫屋根が飛散しました。
良く観察して見ると「瓦棒葺き」と言われる金属屋根です。
固定してある構造の金属棒に穴が開いていて、
周囲が錆びています。
金属棒の全体には錆びはありません。
また別の穴は引き千切られたような形です。
その金属の棒は600mmの間隔で固定されていたようです。
そして金属屋根材の巾は450mm程度のようです。
今回の『台風21号』の風で飛散したので固定された金物が
いくら位の数値で固定されていたのかが興味ある処です。

   Ⓝ台風21号被害瓦棒の裏面の状態


このような今年の始まりで、
『台風21号』の屋根被害ブログはもう少し続きます。
次に保持力と下地の関係を調べて見ましょう。

ありがとうございます。