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2025.03.21

建物の外部被害に関わる資料 その 62  『台風21 号 ㉜ 』

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援頂いてありがとうございます。

前回の金属屋根「台風21号被害」の続きです。
屋根材が固定されていた下地箇所を拡大して見ます。
左側の穴は錆びて、固定孔が大きくなっているようです。
右側の穴は固定物が引き千切られているようです。

Ⓞ左穴は錆びていて右穴は引き千切られています




一般社団法人 日本鋼構造協会・一般社団法人 日本金属屋根協会の行った
「平板ぶき屋根の野地板直留め構法確認試験」の内容を確認してみましょう。 
 (温度伸縮繰り返し試験、引張試験)
よく似た写真がMSRW2014に掲載されています。

Ⓟ写真は試験後の固定穴の状態(MSRW2014より)



(以下青色字はMSRW2014に掲載されている内容です。)
平板ぶき屋根は、留め付け用部品を垂木もしくは母屋へ
固定する構法をSSR2007 では標準構法としています。
高圧木毛セメント板やALCパネル等の
野地板に
直留めする場合には、経年劣化による留め付け部の
影響など充分な強度検討が必要とされています。


平板葺き屋根の中でも『立平葺き等の屋根面に
平行に取り付ける縦葺きは、横葺きとは異なり、
水下から水上まで継手なしの1 枚物で施工されるため
比較的長尺で用いられることが多のです。
そのため、過去には温度伸縮に起因すると考えられる
留め付け部の損傷によって強風被害も発生しています。』

そこで、さまざまな野地板に直留めした平板葺き屋根材に
温度伸縮を想定した繰り返し変位を与え、
どのような影響が生じるかの確認試験を行ったので
以下に実施例を提示してあります。

試験体仕様及び試験方法


ⓠ試験体仕様及び試験方法(MSRW2014より)



試験体は母屋に固定した野地板に
かん合形立平葺きを606mm 間隔で直留め固定したもので、
野地板には住宅等の小規模建築物を想定した構造用合板と、
非住宅で一般的に使用されている高圧木毛セメント板、
硬質木片セメント板、ALCパネルの4 種類を設定しています。
各試験体に使用した屋根葺き材及び野地板用の
留め付け部品を下記表にしました。


    Ⓡ試験に使用した野地板と留め付け部品(MSRW2014より)



試験方法は、SSR2007 において参考試験として扱われています。
温度伸縮繰り返しによる二重折板屋根の断熱金具評価方法を参考にして、
屋根葺き材に水平方向の繰り返し変位載荷を与えた後に
鉛直方向へ引き上げ載荷試験を行いました。


          Ⓢ繰り返し変異の設定(MSRW2014より)



更に繰り返し変位載荷の有無による引き上げ性能の比較を行っています。
想定温度差を50℃、屋根材長さを試験体A
では住宅等の小規模建築物を想定して10m
それ以外は20mと設定して算出しています。
(
試験方法の他の詳細は省略興味のある方は
一般社団法人 日本鋼構造協会・
一般社団法人 日本金属屋根協会の行った
(MSRW2014)を参照下さい。


                    Ⓣ温度伸縮試験結果(MSRW2014より)



4種類の野地板(1.構造用合板 2.高圧木毛セメント板
 3.硬質木片セメント板
 4.ALC
)
嵌合立平葺き屋根材温度伸縮を想定した
水平方向の繰り返し変位を与え、
その後垂直方向への引き上げ載荷試験を行います。
試験後の固定位置の破壊写真を考察します。

1.
構造用合板
構造合板では変位量3mmでは
いずれも野地板からネジの抜け出しが生じたため
耐力に大きな差は見られなかった。
繰り返しありと無しではいずれも屋根材留め付けネジが
野地板より抜け出し(赤色楕円部)破壊に至っていす。
両者の引き上げ耐力には著しい差はありせんでした。
赤色楕円箇所が固定ネジと抜けた孔箇所です。

Ⓤ構造用合板の試験体(MSRW2014より)



2.高圧木毛セメント板
繰り返し変位を6mm与えた試験体は
いずれも留め付け部分の鋼板に長孔が生じて
ねじ頭が抜け出して破壊しています。
引き上げ耐力は繰り返し変位を与えた方が
いずれも低い耐力となっています。
繰り返し変位を与えない試験体は
野地板よりネジの抜け出しに伴う嵌合外れで破壊しています。

Ⓥ高圧木毛セメント板の試験体(MSRW2014より)



3.硬質木片セメント板
繰り返し変位を6mm与えた試験体は
いずれも留め付け部分の鋼板に長孔が生じて
ネジ頭が抜け出しで破壊に至っています。
引き上げ耐力は繰り返し変位を与えた方が
いずれも低い耐力となっています。
繰り返し変位を与えない試験体は
ネジを野地板に残しての嵌合外れで破壊しています。

Ⓦ硬質木片セメント板の試験体(MSRW2014より)



4.ALC
野地板よりネジが抜け出して破壊に至っています。
繰り返し変位を与えた試験体を確認すると
ネジ部の野地板が若干長孔になっています。
試験体(2.高圧木毛セメント板 3.硬質木片セメント板)
同様に引き上げ耐力は繰り返し変位を与えた方が
低い耐力を示しています。 
野地板自体に長孔が発生したため、
引き上げ耐力は低下する傾向が見られました。

ALC板の試験体(MSRW2014より)



以上のような試験から、屋根材が台風性能に影響を受ける問題点は
「固定釘・ネジ」と「野地板」で
両者とも経年で強度低下を起こす事です。

ありがとうございます。