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2025.06.07

建物の外部被害に関わる資料 その 66  『台風21 号 ㊱ 』

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援頂いてありがとうございます。

令和7年4日9日にも同様な手法で「2018年台風21号屋根被害」を分析しました。
6
年経過して情報がどの様に変化しているかも興味ある処です。
被害を屋根材別・部位別に分類し表・縦棒グラフにすると下表になります。
屋根材種類被害の多い順に見ると
1
位が瓦        99棟
2
位が化粧スレート     43棟
3
位が金属屋根     18棟
更に、屋根材別・部位別に分類し被害の多い順に見ると
①
瓦の一般部      30棟
②瓦の水平棟      28棟
③金属屋根落下塊    24棟
④化粧スレートの水平棟   21棟
⑤瓦の全体       15棟
⑤金属屋根の飛散中   15棟
となり、更に良く観察すると「金属屋根の落下塊」と
「金属屋根飛散中」は金属屋根被害の部位には関係なく
部位に関係ある金属被害は
金属屋根の全体     9棟
金属屋根のケラバ     4棟
となります。


台風201821号屋根材種類と部位物被害比較表(2025年)


2019年の情報と2025年の情報の①~③までは余り変わりません。
瓦では①一般部と②水平棟が入れ替わっただけです。
次の順位として
⑤金属屋根の飛散中
⑤瓦の全体
ブルーシートを被せた全体が入っています。
投稿者自ら撮影したもの以上に、同じ現場写真が掲載され、

報道(テレビ・インターネットから)を採用した映像が多くなっています。
又、飛散被害後の補修時の写真もあります。
ブルーシートを取ってすぐの写真は「飛散が何故発生したのか」の
原因を追究する事が出来ます。
「飛散被害を煽って不安を与え、注文を頂く」広告作りから、
「飛散原因を明確にして」理論に基づいた施工普及に努めたいものです。


台風201821号屋根材種類と部位物被害棒グラフ(2025年)


瓦は飛鳥時代から1400年ほどの歴史があります。
金属屋根は一般的に使用されだした明治から150年の歴史があります。
どちらも全国にしっかりとした施工組織を有しています。
瓦施工普及組織は一般社団法人「全日本瓦工事業連盟」
(
約2060社)程度が加入しているようです。
昭和52年9月社団法人設立の平成24年4月1日付けにて一般社団法人に移行。
以外にも50年前の設立で、意思統一は「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」時の歴史です。
金属屋根は「全日本板金工業組合」に(約6900社)が加入しています。
前身は全国板金工業会(昭和15年結成の任意団体)から始まり
設立認可は昭和41年12月7日となっており、
任意団体からすると80年、設立からは57年になります。
瓦は元々重量が重たいので、基本的には地産地消の考え方で
生産された場所の近くで消費されてきました。
従って地域々で、日本各地の気候風土に合った施工が基本になったようです。
施工法も地場に合った「昔から施工」と称した少し閉鎖的な施工法が発達してきました。
従って、地域によって異なる施工法で発達した経緯もあります。
歴史が古いと認識していても自然災害(台風・地震等)への
対応や手立では統一されない考え方があったようです。
勿論、神社仏閣等の著名な建物の屋根へは秘伝と呼ばれる方法で
秘密裏に高い技術が伝承されてきました。
①瓦の一般部被害写真
 ・この被害を観察すると、葺き土は併用されていないようです。
 ・被害の終わりが7枚分一直線上に外れています。

  ・左の3枚はほぼ同じ様に剥がされ下方にズレ落ち、
  4枚目は少しだけズレ落ちています。
 ・更に左側は盛り上がっています。
 ・ここでは上昇気流が発生したかも知れません。
 ・おそらく瓦が上に押されて左が持ち上がったように推測されます。
 ・この場所を一般部と表現しましたが、
  少し離れた左側には2階の壁があります。
 ・表現上は壁当たり部かも知れません。
 ・と考えると、ここでは右側から吹いた風が壁に当たって
  乱流を発生させたかも知れません。
 ・もしかして、下の軒先側からの風が再付着して
  乱流として作用したのかも知れません。
 ・明るい画面には写っていませんが飛散した瓦は
  手前軒先側と右側の一段落ちた屋根部に落ちています。
 ・一枚の被害箇所の被害原因の推測は尽きないのです。


        台風201821号屋根被害写真

      (2025年4月9日インターネット掲載写真)


②瓦の水平棟被害 
 ・水平棟部分の飛散落下の姿から、風の吹いた方向を推察します。
 ・手前の巴部は面戸部の土だけが残っています。
 ・次の被害箇所は熨斗瓦の半裁物が無くなって、
  同じように面戸が残っています。
 ・次の箇所は熨斗瓦が半分残っています。
 ・さらに次の箇所は半分ズラシの熨斗瓦が残っています。
 ・そして次には丸瓦が残っています。


         台風201821号屋根被害写真

       (2025年4月9日インターネット掲載写真)



③金属屋根落下塊の被害
 ・瓦棒の築50年以上物件です。
 ・落下の塊と言うより、全面に捲れた金属屋根材が
  電線に簸かかっているようです。
 ・屋根材は全面的に錆が発生しているようです。
 ・材料は嵌合されて一体化しています。
 ・という事は。飛散の原因は屋根材固定のビスか・釘が
  野地板から抜けてしまっているのです。
 ・経年によりビスか釘に錆が発生し保持力が低下したか、
  釘位置の野地板が結露で腐朽した事が考えられます。 
 ・1955年に三晃金属工業が「A号瓦棒葺」を開発し、
  『長尺屋根心木無し構法』の歴史が始まりました。

 ・三晃金属工業は1954年八幡製鐵、日本鐵板両者の資本参加を得ています。

  製造と施工開発の接点が早くも70年前にはできています。
 ・少なくとも金属屋根に関する総合的(科学的)技術が成されていると思われます。

     
台風201821号屋根被害写真

    (2025年4月9日インターネット掲載写真)


④化粧スレートの水平棟被害  
 ・下記は化粧スレートの水平棟の棟包板金飛散写真です。
 ・商品は旧松下電工製「フルベスト16」を再塗装しています。
 ・化粧スレートの被害の多くは水平棟板金・隅棟板金の飛散です。
 ・棟包板金飛散の原因は固定釘の抜けか、固定用木材(笠木)の腐朽によるものです。
 ・固定釘問題(板金固定用、笠木固定用)

①  釘の材質(SUS304)

鉄釘はやがて錆びてきます。ステンレス304が良いでしょう。

②  釘の太さ(径2.7mm以下)

メーカーは笠木の厚みを18mmと規定しています、ところが15mmを採用する会社もあります。

③  釘の形状(リング型・スクリュウーリング型)
ストレート形状は直ぐに抜け易く、スクリュー形状は回転して抜け易い。スクリュー形状は腰が強い。
最良はリング形状、ただしリング形状は腰が弱く曲がり易い。よってスクリュウーリング型か。

④  笠木固定釘はSUS304ストレート・スクリュー釘を垂木固定する事を規定しています。
・固定用木材(笠木)
①笠木のサイズ(18×90)
 メーカーは18×90のサイズを規定していますが、現場では厚み15~12mmや耳付き(端材)を使用
 木材の厚みが少ないと取付時に材料が割れ固定不良となります。
②木材の雨水進入による腐朽
 写真は雨水侵入による木材の腐朽にあります。
 雨水の進入している両側から腐朽しています。
 当該現場は約50年前の1/2.5勾配の切妻屋根と推測できます。
③木材の結露による腐朽
 一方結露による腐朽は棟側から腐朽して来ます。
 どうやらこの物件は雨水の進入・結露の二つの要因の複合的な腐朽と考えられます。
④近年はどちらも防腐木材を採用することで防いでいます。
⑤更に、メーカーは腐朽しない人工木材を使用するように啓蒙しています。
➅旧松下電工は「フルベスト16」を1971年から製造販売しています。
⑦化粧スレートのメインメーカー・クボタは「カラーベストコロニアル」を1966年から製造販売しています。
➇現在は両社で合併会社「ケイミュー」となっています。
⑨化粧スレートの製造販売メーカーは金属屋根関係と同様に屋根に関する
 総合的(科学的)技術を有していると考えられます。
➉両社は販売当初から独自の「説明会・学校」を開催して正しい施工技術を普及しています。
 施工会社の多くは瓦「全日本瓦工事業連盟」、金属屋根「全日本板金工業組合」所属会社です。


    
台風201821号屋根被害写真
   
(2025年4月9日インターネット掲載写真)


    正しい知識に基づいた施工を如何にするかが重要な事だと分かります。
それにはやはり適正なコストと時間が必要で、施工品質が確定されると思われます。

これらの事をもう少し考えて見ましょう。

ありがとうございます。