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2025.08.30

建物の外部被害に関わる資料 その 71  『台風21 号 ㊶ 』

顧問の坪内です。
いつも池本工務店の事業にご支援頂いてありがとうございます。

 ①CN小学校体育館屋根被害の細部をもう少し拡大して観察します。
 ②屋根は南側の半分以上が捲れて、東側の立樹に覆い被さっています。
 ③おそらく瓦棒屋根の金属「通し吊り子」を使用した「心木無し」施工と思われます。
 ④溝板と溝板の間には「通し吊り子」が確認されます。
 ④前述の写真赤色四角部には留め付けビスが確認されます。
 ⑤そこを拡大した写真です。
 ➅赤色破線上と赤色直線上部の「通し吊り子」には各々固定ビスが確認されます。
 という事はこの施工ではビスが残って下地から抜けているという事です。
 ➇ビスは下地の垂木に止められていたのでしょうか。
 ⑨下地への固定ビスが錆びて保持力が無くなっていたのでしょうか。
 ⑩固定ビスが結露して。材木が腐朽して保持力が無くなったのか。
 ⑪それともそれらの固定力以上の面圧力の風が吹いたのでしょうか。
 ⑫設計・施工を誤って、このような風を想定していなかったのでしょうか。
 ⑬数々の疑問が湧き、非常に興味あるところです。


台風201915号ある体育館解体工事(作新建装HP)


又この下の写真を見て見ましょう。
 ①他の箇所と同じように「通し吊り子」で固定されています。
 ②右下の方には学校沿いの路が見えます。
 ⓷その70『台風21号㊵』に掲載している写真で、下から屋根被害を見上げる写真の逆となります。
 ④四隅にある固定ビスは下地から抜けたような感じで「通し吊り子」に付いています。
 ⑤ただ赤色□形右下の固定ビスは引き千切られたようにも見られます。


台風201915号ある体育館解体工事(作新建装HP)


 ⑥固定ビスが引き千切れているようにも、
  横に倒れているようにも見えます。
 ⑦溝板に付着している防水シート(アスファルトルーフィング)
  ラインが縦に150mm程度の巾で確認されます。
 ⑧古い(昭和50年代以前の)一般的な瓦棒「心木有り」の現場では
  下地(バラ板)+アスファルシフェルト+瓦棒が多いのです。
 ⑨50年前当時での感覚では「瓦棒金属屋根」はそのような仕様なのか理解できませんでした。
 ⑩何かの折に「瓦棒」を捲ると「アスファルトフェルト」がフワフワと風に巻かれて飛んでいくのです。
 ⑪アスファルトを含侵させていた紙が経年劣化して、砕けてしまうのです。
 ⑫そうなると手で持つことも出来なくなるほど非常に脆くなってしまうのです。


台風201915号ある体育館解体工事(作新建装HP)


 更に、破損した金属屋根材を撤去するには固定ビスが邪魔になります。
 この様な金属ビスを破壊撤去する切断工具に
 「クリッパー」と呼ばれる工具が有ります。
 ①普通の「クリッパー」は「てこの原理」を応用した手動のものです。
 ②ここでは電動のカッターのようなもので切断しています。
 ③最初にこのような形で固定ビスを切断撤去してしまえば
  安全に作業が進むと思われます。

台風201915号ある体育館解体工事(作新建装HP)


  下は同じように固定ビスを撤去している写真です。
 ①溝板と「通し吊り子」が切断されて離されています。
 ②その下には「バラ板」下地が確認されます。
 ③まさか体育館の屋根下地が「バラ板」を使用してあるとは驚きでした。
 ④おそらく50年以上も経過した物件です。


台風201915号ある体育館解体工事(作新建装HP)


 ⑤「バラ板」下地に経年劣化した「アスファルトルーフィング」が散乱しています。
 ➅そして、その上には少し厚手の紙のようなものがあります。
 ③R型金属屋根の施工時、「アスファルトルーフィング」が熱で靴の裏地に熔着したので、
  厚手の紙を敷いて、着を防いだのかも知れません。
 ④屋根の施工現場では職人さんから良く出て来る要望です。


台風201915号ある体育館解体工事(作新建装HP)


 ⑤そしてこれが、金属屋根材、「アスファルトルーフィンク」等を
 ➅綺麗に撤去した下地状況です。
 ⑦R型金属屋根の北側上で東側を望んだ写真です。
 ➇左側が学校を囲む道路にあたります。
 ⑨そして軒先にはまだ体育館そばにあった立樹が載っています。
 ⑩バラ板下地を見てなるほどと感心したことは、
  やはり軒先には幅広の板を横使いしてある事です。
 ⑪バラ板を施工する場合は経年変化で板が痩せてきます。
 ⑫通常、15mm厚程度の板であれば、
  10年も経過すると10mm程度は空いてきます。
 ⑬そう言えば屋根下地に耐水合板を奨励したのは『カラーベスト屋根』です。
 ⑭『バラ板野地』下地は
   ・防水性が悪い。
   ・保持力が悪く台風で飛散し易い。
   ・撓みが大きく踏み割れし易い。
   などの欠点があり、昭和36年販売当初より「カラーベスト下地」には
   使用を控えるように指導をされていました。
 ⑮一方、瓦棒施工の下地は『バラ板』が採用されていました。
   ・金属瓦棒屋根は軒先から棟まで溝板が一枚物です。
   ・下地への固定は心木に対して、溝板を立上げた面を
    横から留めつけています。
   ・そして「心木」に「瓦棒包板」を被せます。


台風201915号ある体育館解体工事(作新建装HP)


 ⑮そして固定ビスを確認するためもう少し拡大してみますと
  上図の赤い四角部分を拡大してみす。
 ⑯やはりまだ固定ビスが残っているようにも見受けられます。
 ⑰さてこの体育館は鉄骨の上に木軸を組んだのでしょうか。
 ⑱良く分からないまま「通し吊り子」の固定がなされていたのかは不明です。
 ⑲下地は綺麗に清掃されましたので、この上に防水シート(アスファントルーフィング)等を施工して、
  その上から再度瓦棒金属屋根を施工するものと考えられます。


台風201915号ある体育館解体工事(作新建装HP)


 今回の流れから推察すると、当該現場は既存の下地を手直しして
 再度使用したのではないかと考えられます。
 この屋根の下にどのような形で、断熱材が使用されていたのか分かりませんが、
 今までの屋根金属屋根下地には野地板は無く、
 断熱材の木毛セメント板が経年劣化した状態で残っていました。
 施工年代によって、屋根下地に変化があるということが分かりました。
 下の写真は2011.2の当該現場の写真です。
  赤い四角は屋根の拡大写真です。
  少し分かり辛いですが、瓦棒金属屋根の溝板部に凸凹が表れています。
  体育館周りの付属建物で古い写真ということが分かります。


  CN小学校体育館(2011.02)グーグル写真


下の写真は2021.4の邸風補修後の写真です。
 赤い四角は屋根の拡大写真です。
 瓦棒金属屋根の溝板部に凸凹が殆どわからずフラットな面になっています。
 体育館周りの付属建物が有り、小さな小屋の屋根は青く再塗装されています。
 又、瓦棒包板も大きく押さえられているようなデザインとなっています。


  CN小学校体育館(2021.04)グーグル写真


出来上がりは全く同じように観察されます。
屋根下地を変更せずに再生されたのであれば、
下地への留め付けはどの様に工夫されたのか興味ある処です。
台風201821号の金属屋根飛散被害から「金属R屋根体育館被害」に少し脱線しました。
(
金属R屋根体育館被害については作新建装様の資料を参考にさせて頂きました。)
台風201821号以外による屋根飛散被害についてもう少し寄り道をして見ましょう。

ありがとうございます。